gehenの使い方(4)【ドイツ語動詞】angehen, draufgehen, umgehen, eingehen, begehen【上級】


今回は日常会話でよく使われるが、いろんな意味があったり、理解が意外と難しいgehenのつく表現を集めてみました。

一つの動詞と一緒につかう単語によってどれだけ意味が変わるのかという例であり、簡単にこの動詞はこの意味!と決めることのできないところが複雑です。

gehenがつく表現はまだまだたくさんあるのですが、きりがないので5つに絞ります。

 

angehen

1.Das ist nicht mein Ding. Das geht mich nichts an.
(それは私のことじゃないから私には関係ない。)

これは典型的な決まり文句です。
Das geht mich nichts an.(=Das hat nicht mit mir zu tun.)
(私には関係がない。)

Das geht dich nichts an.(=Ich möchte mit dir darüber nicht erzählen.)
(君には関係ないだろ。)

Das geht dich nichts anの意味をドイツ人に聞くとだいたい「このことを君には話したくない」という解説を受けます。仲良くもない人にプライベートなことを聞かれて鬱陶しい時に使う、けっこう失礼な文とのころです。日本語では君にそれを話したくない、つまりおまえに関係ないだろ、と同じ意味ととらえています。

nicht angehen +4格で、誰(4格)には関係ない。という感じでしょうか。

 

2.Wir müssen das Problem geschickt angehen.
(私たちはこの問題にそつなく取り組まなければならない。)

このangehenはドイツ語ではMan versucht, das Problem zu lösen.という意味で置き換えられます。

前つづりan-には「~をし始める」という意味があります。
たとえばansprechen=話しかける。

das Problem angehenも解決できるよう動き始めるというニュアンスがあります。

 

3.Man sollte dieses Thema auch mit Humor angehen.
(このテーマのことは深刻になりすぎてもよくない。)

かなりの意訳ですが、日本語ではユーモアをもってといってもあまりピンとこないのでこの訳のほうがいい気がします。

このangehenは1と2のどちらのangehenともまた意味が違いますが、日本語でぴったりの言葉がありません。
あえていえば「ユーモアも入れて軽くいこう」という感じでしょうか。

これは、汚言症(罵倒語を不随意的に発する病)という難病を持つ人の動画の中で使われていた文です。罵倒語が面白かった時は笑ってもいいのかというテーマに、同情して深刻にならず、ユーモアをもってつきあってくれると嬉しいという会話でした。

 

4.Wenn ihr zwei Wochen auf Zucker verzichtet, was den Geschmack angeht, werdet ihr merken, dass ihr viel besser Süß wahrnehmen könnt.
(君たちがもし2週間、砂糖を放棄したら、味に関しては甘さに敏感になっていることに気づくでしょう。)

この例文で出てくるwas den Geschmack angehtは味については、という意味です。いろいろな場面で色々な意味での使い方がありますね。

 

eingehen

1.Ich hoffe, dass ich auf die Frage gut eingehen konnte.
(しっかりと質問に対応できたと思っている。)

2.Ich habe Kommentare ausgesucht, auf die ich genau eingehen möchte.
(僕は細かく答えたいと思う質問をコメントから探した。)

eingehen auf + 四格=~(四格)に対応するという意味です。

答えるというとドイツ語ではantwortenという動詞が出てくるかと思いますが、ドイツ人がよく使っているのはeingehenのほう。前置詞はantwortenと同じくaufです。

またeingehenのもうひとつのスタンダードな使い方は

3.Die Pflanz geht langsam ein.
(植物が枯れていく。)

4.Mein Pulli ist bei der Wäsche eingegangen.
(洗濯したらセーターが縮んでしまった。)

「縮む」や「しぼむ」、または「死ぬ」という意味でも使われます。Meine Fische sind alle eingegangen=魚が死んでしまった。のようなニュアンスで使われます。

 

draufgehen/aufgehen

1.Beim Onlinespiel ist er schon nach fünf Minuten draufgegangen.
(オンラインゲームで彼は5分後に逝ってしまった。)

2.Sie ist beim Fahrradunfall fast draufgegangen.
(彼女は自転車事故で死ぬところだった。)

「死ぬ」という意味の口語がdraufgehenです。正式書法ではないため、会話でのみ使われます。sterbenやtot seinよりも間接的な表現なので聞こえがいいのかもしれません。

3.Sie geht in ihrem Beruf auf.
(彼女は仕事が好きだ。)

4.Sie geht in ihrem Beruf unter.
(彼女は仕事でいっぱいいっぱいだ。)

aufgehen/untergehenの表現ですが、反義語ではありません。Sie geht in ihrem Beruf auf.は仕事がうまくいっているという意味ではなく、彼女の仕事への感情が良い、という意味です。

逆にSie geht in ihrem Beruf unterのほうはSie ist überfordert.=余裕がない、いっぱいいっぱいだというニュアンスです。

 

umgehen

umgehenには分離動詞と非分離動詞がありますが、今回紹介するのはすべて分離動詞です。

1.Ich weiß nicht, wie ich damit umgehen soll.
(私はそれをどう扱っていいのかわからない。)

2.Er kann mit Stress nicht gut umgehen.
(彼はストレスをうまく発散できない。)

umgehen+mitは~とうまくつきあえない/扱えないという意味です。もちろん人や動物についても言うことができます。
(Ich kann gut mit Tieren umgehen。など)

3.Ein Gerücht geht um
(うわさが広まっている。)

4.In der ganzen Welt geht der Corona-Virus um.
(世界中でコロナウイルスが蔓延している。)

こちらは自動詞のumgehenで主語は人以外の何かが広まるという意味を持ちます。sich verbreitenと同義語でしょうか。

 

begehen

非分離動詞です。

1.Du begehst gerade einen großen Fehler.
(君、今すごい大きな間違いを犯してるよ。)

2.In Japan begehen täglich durchschnittlich 60 Menschen Selbstmord.
(日本では毎日平均60人が自殺する。)

Fehler begehen, Verbrechen begehen, einen Mord begehen, Selbstmord begehenなど、犯罪などに関するネガティブな行動を行うときにbegehenという動詞と一緒に使われます。

しかし興味深いのが次の意味。↓

3.Wir haben den Geburtstag festlich begangen.
(私たちは誕生日を盛大に祝った。)

「祝う」というおめでたい意味もある!

ただ祝うほうのbegehenはネイティブにいわせるとたとえば

Wir begehen den Geburtstag.という現在形の表現はまず使えないんだそうです。現在完了形だと違和感がないんだそう。
現在形は普通はWir feiern den Geburtstag.とよく言っていますね。

文法が正しくてもニュアンス使えない、という表現はかなり多いのでネイティブはどんな表現をしているか、と常に研究する必要があるな、と思います。

動詞gehen1:移動のgehen
動詞gehen2:移動以外のgehen
動詞gehen3:自動詞のgehen
動詞gehen4:5つの複合動詞gehen