【ドイツ語文法12】“es”の使い方7パターン


ドイツ語基礎文法一覧

-Wie geht es dir?
= 元気?

Es tut mir Leid.
= 申し訳ございません。

Es ist mir kalt!
= 寒いよ~!

Es gibt eine gute Nachricht.
= 良い知らせがあります。

-Er hat es eilig.
= 彼は急いでいる。

これらの文の中にはすべて“es”という語があります。日本語訳と比べてみてください。何か共通点は見つかりましたか?esっていったいどういう意味?

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“es”という単語は、人称代名詞の表の中にすでに一度出てきています(人称代名詞の格変化表)。

ドイツ語の人称代名詞の三人称単数にはer/sie/esの3種類があります。それぞれ男性・女性・中性の性があり「彼は」「彼女は」「それは」と理解したはずです(文法1)。

その後esの格変化が es-seiner-ihm-es になり、四格もes=「それを」になることも勉強しました。

では上記の文の“es”は中性の三人称単数として「それ」という意味になるでしょうか?・・なっていません。

上記の文を見る限り、esにはさまざまな解釈がありそうです。意味もひとつふたつではありません。

“es”は、代名詞としての「それ」という意味のほかに、文法的な機能を果たす意味を持たない語でもあるのです。

そのため、ドイツ語の会話でも文でもとてもよく出てくる単語のわりに「なんでここにesがあるんだろう?」などと疑問がわくことも多いはずです。そんなドイツ語の“es”の用法について、ここにまとめておきます。

1)代名詞「それ」として使う。

単数の中性名詞の「それは」または「それを」と訳せる、理解が容易なパターンです。主語としても述語としても使えるパターンです。

-Wo ist mein Buch?     Ich habe es auf dem Tisch hingelegt.
(私の本どこ? 答:机の上に置いといたよ。※直訳は“私はそれを机の上に置いた”)

Es war auf dem Stuhl.
それは椅子の上にあった。)

 

2)非人称の動詞の主語として使う。(文法的主語)

非人称動詞とは、人称変化ができない動詞です。

たとえば「雨が降る」という語は、regnenという1つの動詞です。regnenを人称変化させたらich regne(私は雨が降る??), du regnest.(君は雨が降る??)..このような表現は不可能です。人が気分によって雨を降らせるわけではないから。

しかしドイツ語では主語なしの動詞だけ(regnen)で使うことはできません。

じゃあ何を主語にすればいいの?

といったときに“es”を使うのです。

日本語では「雨が+降る」と2語で表すので主語に問題がありませんが、ドイツ語では「雨が降る」をひっくるめて動詞一語で表せるため、主語を補ってあげるだけの機能を果たす、意味を持たない単語をつけることで文を完成させます。

天気・音を表す語などがあります。

・天気

Es regnet.(雨が降る。)

Es schneit.(雪が降る。)

Es donnert.(雷が鳴る。)

Es blitzt.(稲妻が光る。)

・音

Es klopft.(ノックが鳴る)

Es klingelt.(チャイムが鳴る)

Es läutet.(鈴/ベルが鳴る)

Es pfeift.(笛が鳴る)

Es raschelt.(こすれた音/ガザガサする)

 

3)主語がない時の代わりを果たす。

・時間&曜日&季節

時間や曜日の場合も日本語なら「今日は日曜日です。」と言えますが、ドイツ語の今日(heute)は副詞です。
ドイツ語は副詞を主語にすることはできません。
「今何時?」といった時間に対する問いも主語がないため、esをつけて補足する必要があります。

Wie spät ist es?    Es ist 10 Uhr.
(10時だ)

Es ist schon spät.
(もう遅い。)

Es wird bald Mitternacht.
(もうすぐ深夜になる。)

Es wird Frühling.
(もうすぐ春だ。)

※時間・曜日・季節の単語表はこちら

・昔話の出だし

お決まりの言いだし。メルヘンの出だしはesから始まります。

Es war einmal ein kleines süßes Mädchen…
(むかしむかしあるところに、とても可愛らしい小さな女の子が・・・)

 

4)身体の状態や感覚器官の刺激に対して。

「元気」「痛い」「かゆい」「寒い」「おいしい」「香りがいい」など。
これらは日本語だと「私は~」のように人または生き物を主語にして言うことができます。
が、一定のドイツ語の健康状態や感覚器官への刺激(五感で感じるもの)の中には人を主語にできない表現があり、そのときにesが主語としてつきます。
自分でコントロールできないこと、外からの刺激を受けて感じることは自分を主語にできないといった感覚ですね。

Es geht mir gut./Es geht mir nicht so gut.
(私は元気だよ/あんまり元気じゃない。)

Es tut mir weh.
(痛い)

Es juckt mich am Bein.
(足がかゆい)

Es ist mir kalt.
(寒い)

Es schmeckt gut./Es schmeckt nicht gut.
(おいしい/おいしくない)

Es gefällt mir gut./Es gefällt mir nicht gut.
(気に入る/気に入らない)

Es riecht gut.
(いい香りだ)

 

5)話題をふったり、テーマについて話すときの主語に。

この2つ言い回しはとってもよく出てきますので丸暗記を。

・es geht um ~(四格)/es handelt sich um ~(四格)=~について

Es geht um dich.
(あんたのことなんだけど)

Es handelt sich um einen Roman.
(ある小説について)

 

6)esを主語にする決まった表現

よく使われるes+動詞の表現の一部です。初級で知っておくと便利な表現のみをここでは紹介します。

・es gibt ~(四格)=~があります。

Es gibt eine gute Nachricht.
(いいニュースがあるよ)

・es kommt auf +~(四格) an.=~次第である。

Es kommt auf dich an.
(きみ次第だよ。)

・es hängt von ~(三格)ab=~に左右される。

Es hängt vom Wetter ab.
(天気に左右される。)

※esがつく特別な動詞の一覧:
-es bedarf G
-es bleibt bei D
-es eilt mit D
-es fehlt an D
-es mangelt an D
-es gefällt D
-es geht um A
-es handelt sich um A
-es klappt mit D
-es kommt an auf A
-es kommt zu D
-es sieht Adj aus mit 1

G=二格、D=三格、A=四格

 

7)esが主語にならない決まった表現。(目的語として)

これまで、代名詞としてのesの使い方以外はすべて主語として出てきました。
しかし、目的語として登場するesの表現もあります。
決まった使い方なので理屈で考えても意味がありません。こちらも丸暗記が便利です。ここでは初級で知っておくと便利な表現だけをとりあげます。

er hat es eilig.
(彼は急いでいる)

Er hatte es schwer.
(彼にとって困難だった)

Sie meint es ernst.
(彼女は本気で考えてる)

Ausländer haben es in Japan nicht leicht.
(外国人は日本で苦労します。)

※esが目的語としてつく決まった表現一覧:
-es abgesehen haben auf A
-es aufnehmen können mit D
-es eilig haben
-es ernst/leicht/schwer haben/nehmen
-es ernst meinen mit D
-es gut/schlecht haben
-es gut/schlecht haben mit D
-es gut/schlecht getroffen haben
-es in sich haben
-es sich bequem machen
-es sich gut gehen lassen
-es verderben mit D
-es weit bringen
-es zu tun haben mit D
u.s.w.

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ここで紹介したesの用法は、初級で出てくる使い方や決まった表現です。ここに紹介した以外にもまだまだたくさん出てきます。

今のうちに上記で紹介したesの基礎をしっかりと理解しておきましょう。とても大事な文法です。

※会話のなかでesは完全に省略することはできませんが、短くして使われることが一般的です。

Wie geht es dir? ⇒ Wie geht’s dir?(元気?)
Mir schmeckt es prima! ⇒ Mir schmeckt’s prima!(最高においしい!)

このように、文の途中に来るesのほとんどは短くして表現されます。あくまで会話のみ、書くときは使えませんので参考までに。

動画解説はこちら↓

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  1. http://www.dietz-und-daf.de/GD_DkfA/Gramminfo/txt_MII1/es%20(Info).pdf

2 コメント

  1. ありがとうございます。
    勉強になります。ここまで詳しくわかりやすい参考がありませんので、助かります。

  2. ドイツ語学びたて屋

    これはめちゃくちゃ大事なことだと思いました。なぜなら、この「es」という単語は単語帳には載っていなかった物だからです。私はこれからドイツ語を必死に勉強して、ドイツ語話者としてしっかりと地に足をつけて頑張りたいと考えていたところでした。

     今はまだ、私のレベルはブロガーの方のように凄くはないですが、四年後の大学卒業後はもっと自分のドイツ語を好きでいたいです。ですから、私はこの「es」の使い方にとても関心を持ちました。私は精一杯、このサイトを熟知出来るようこれから頑張りますので、追加情報がございましたら、誠によろしくお願いします。