アパート内で起きた盗難事件とセキュリティーのずさんさ【ドイツ生活】


先日、同じアパートに住む女性あてに送られた配達物がこつぜんと消えた。

ふだん配達人が来て本人が不在であった場合、次に一階に住む人の呼び鈴が鳴る。一階⇒二階・・・と誰かが出るまで順番に鳴らされる。

誰かが出て行って配達物を受け取ると、受け取った人がサインをして階段に置いておくのが普段のやり方だった。

私たちは一番新しい住人なので、隣の人がそうやっていたのを見て真似していた。

しかし今はコロナウイルスのせいで、サインをしないで受け取ることになっている。

さらにうちの建物のドアは古すぎて、鍵を差し込んで回せば閉まるけれど、
推しただけではきっちりと閉まらないのでほとんど微妙に開いており、いつでもだれでも入れる状態になっている。

だからコロナが広まってから配達人は、ドアが開いているときは勝手に入り、そのまま階段に荷物を置いて帰って行く。

サインがいらないので誰にも渡す必要がないのだ。

それが先日までは問題なく機能していた。

でも機能していたほうが実は幸運だったのかもしれない。

先日、配達人は開いているドアから入り、階段に住人の女性の荷物をおいて写メを撮り、女性宛てに送信して荷物が来たことを知らせた。

その30分後に女性が家に帰ると、その荷物はなかった。

驚いた女性はすぐに私のところへ来た。私は一階の住人だから荷物を見なかったか聞きに来たのだ。

私は全く知らなかったし荷物も見ていなかったのでその時は知らないと答えた。

一階には私たちのほかにもう一つ部屋があり、住人がいる。彼らは不在だった。

その女性は全住民(8部屋)に聞いて回ったみたいだけど、見つからなかったらしく、翌日こんな紙をドアの横に貼った。

住民のみなさん

今日、アディダスの配達物が私に届き、階段に立ててあったのですがそれから行方が分かっていません。

戻ってくることを願っています。ありがとう。

内容はこんな感じで書いてあった。

日本語訳すとニュアンスがあいまいだけれども、最後のドイツ語の文

Ich freue mich über eine endgültige Zustellung.

という表現は、住民のだれかが故意に盗ったことを疑っている書き方で、私の夫(ドイツ人)は、怒っているのはわかるがかなり失礼な書き方だと言っていた。

ドアが開きっぱなしなので外からの可能性だって否定できないからだ。

確かに「もし何かあったら知らせてください」ぐらいのほうが、いろいろな可能性を考えているように見える。

この女性は前回私のところに聞きに来た時、私たちの家の中に目を泳がせていた。

あの時一階にいたのは私だけだったし、私は荷物が置いてあった階段に一番近い部屋に住んでいる。

さらに一階の住人が配達物を受け取る可能性は普段から高いので、私が一番に疑われているのでしょう。

 

気持ちは分かる。

でも私は盗っていない。

 

今日、女性がもう一度私のところへ来た。

全員に尋ねたのだけど誰も知らなくて、私にもう一度情報はないかと話しに来た。

私は、当日何をしていたのか話し、荷物は一度も見なかったことも言った。

外からの可能性を聞くと、彼女はやっぱりその可能性はかなり低いと思っているようだった。

はっきりと、この中の誰かが盗ったとしか思えないといっていたけど
最初に来たときとは違い、表情はやわらかくて会話もしやすかった。

高価なものだったのかと聞いたら、それなりのものだったそうだ。

私たちは次はほかの人の荷物を受け取ったときは、部屋の中に置き、ポストにメモをいれることで合意し、彼女はあきらめて帰っていった。

彼女は私に対して明らかに疑っていたわけではない。

最初に来たときは荷物がないことにびっくりして冷静ではなかったことは理解できるし、2回目はちゃんと落ち着いて私の言い分も聞き、疑いは少なくとも見せなかった。

 

でもとても後味の悪い出来事だった。

私は盗っていない証拠が提示できないし、彼女にとっては私よりさらに不快だったことは間違いない。

ーーーーーーーー

去年の12月ごろ、うちのアパートの地下室で盗難事件があった。

外のドアだけでなく、地下室のドアの鍵も閉まらないのだ。

いちおう地下室には各部屋に鍵があるけど、鍵はかかったままでこういう状態になっていた。

力づくで引っこ抜けるぐらいの弱弱しいものだった。

木も古いし釘もとっても細い。子供でもできたかも。

これに気付いたある住民の男性が警察に届けを出し、数週間後、警察は犯人をつきとめた。

犯人は飛び入りの空き巣で、古いアパートを夜な夜な回っては色々なものを集めていたらしい。

警察から来た手紙には「押収物がありすぎてどこで盗られたものかわからない、自分のものがあるかどうか警察に見に来てください。」と書いてあった。

それに対し、アパートのポンコツ大家さんは何をしたかというと

住民あてに一斉にメールを送信し、地下室のドアと鍵をつけかえることにしたと書いてあった。

そしてその数週間後に現れたのがこのドア。

持ってきたけど、隣の部屋の前に放置して帰ってしまった。

そこから待つこと数週間。

たまりかねたドアの向こうに住む隣人が、このドアなんとかしてくださいといってやっと、ドアがあるべき場所につけられた。

その後、イースターの時期(4月)になってやっと、ポンコツ大家からみんなに鍵が送られてきた。

この地下室のドア用の鍵だったが、試してみても開かない。

住民の一人が大家にメールしたところ、大家から手紙がきて

「鍵が合わなかったのでイースター休暇が終わったらもう一度正しい鍵を送信する。今の鍵はポストに入れておいてください。」と書いてあった。

試しに新しい鍵でドア開けてみてからみんなに配布しなさいよ・・・。

そして5月になった今も音沙汰がない。

もちろん、地下室へのドアは今も開いたまま。誰でも入れる。

とにかく私が言いたいことは、今回の荷物消失事件は短時間で起こったことではあるが、外からの可能性も決して低くないってこと。

その原因はうちのアパートのセキュリティーが適当すぎること。

その原因は120%無能な大家さんにあること。

そしてこのコロナでサインのいらない時期、配達の車が来るのを待ち、荷物を配るのを待ってそれを狙う泥棒がいないとは限らない。

古いアパートはセキュリティーがしっかりしていないことが多いことを知っている彼らは

いや、知らない人でも簡単に誰でも入れて誰でも持って行けてしまう。

今まで1つも荷物がなくならなかったのがラッキーだったのだと思う。

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