一歩一歩テクノロジー化する私たち


先日、贔屓にしているメーカーの全自動ロボット掃除機を買いました。

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このロボットは私が出かけている間に携帯から操作するだけで、家の床をぜーんぶキレイに掃除してくれている!しかも人間だったら滅多にしないソファの下とかベッドの下のほこりや、死角になりそうな場所までピカピカになってる。

さらにホコリやゴミをあつめるだけでなく、中にあるトレーに水さえ入れておけば水拭きまでしてくれるんです。なんて便利なの!?掃除の時間を短縮できる上に人間の私がやるよりよっぽどキレイに、しかも早く、人間の邪魔もせずにやってくれる。メリットしかないまじで。

使ってから感じた。この掃除ロボット、これからの私の人生に欠かせない存在になるわ。と。しかも中国語をしゃべるので愛着がわいていつも「よろしく!」とか声かけちゃうし。名前もつけちゃったし。

 

そして同時に思った。

 

私たちが当たり前に使っている全自動洗濯機だって市場に出た時、それを使った人たちも今の私と同じような感激を味わったのだろうなと。私が毎日服を手洗いすることなど想像もできないのと同じで、これから先日本で生まれる子供たちも自分で床掃除をするなんて想像もできないぐらい面倒くさく感じるんだろう。専業主婦がやることなくなるのも時間の問題だよね。

このように私たちの生活のまわりのものは少しずつ、私たちの自覚がないままにテクノロジーに置き換えられています。あまりの便利さに機械が恐ろしく感じることさえある。

 

全自動洗濯機や全自動掃除ロボット、食器洗浄機やオーブン、電子レンジが専業主婦の仕事を徐々に奪っていくのと同じように、ブルーカラーの仕事はすでに人間の代わりにほとんど機械がこなしています。そして今はホワイトカラーの仕事の中に機械化が進んでいますよね。書類仕事なんか人間よりコンピューターのほうがはるかに速くしかも正確に仕事をこなすのは確実です。

 

もうそろそろ市場化されそうな自動運転車だって私は喉から手が出るほど買いたい。お金持ちじゃないけどちょっと無理をしてでも買いたいと思う。

私は車の免許はいちお持っていますがほとんど運転はしません。海外にいるからではなく日本にいてもしてないです。理由は運転の時間がもったいない上に運転もうまくない&リスクも大きいから。いくら注意してても避けれないことも起こるし、人轢いちゃったりなんかしたらその人も私の人生も台無しになる。そんな可能性のあるものにはいくら便利でも乗らないと思っています。

でも自動運転車が出たら話は別。買えるならば速攻買ってEU内どこでも快適に行きたい。市場化を今か今かと楽しみに待っています。その傍らでタクシーやバス、トラックの運転手は徐々に需要がなくなっていく。便利になればなるほど、私たちがテクノロジーの恩恵にあずかればあずかるほど役に立つ仕事ができない人が増えていきます。ほんとに便利すぎて、機械が優秀すぎて喜ぶと同時に我に返ると恐ろしくなります。

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私が高校生だった16~17年前、初めて皆が一人一台の携帯電話を持つことができて1回2円という安さで友達にメッセージが送れました。どこにいても待ち合わせの約束を電話やメールひとつで連絡できるようになり本当に便利だった。メッセージのやりとりにハマって授業中もしょっちゅう携帯を見ていました。

家に初めてパソコンが来たのは私が19歳の時。見知らぬ相手と文字でやりとりできるチャットにハマったり、スカイプを通して中国に住む中国人としゃべることができました。このおかげで私はめちゃくちゃローコストで中国語を習得できた。

しかしその後、台湾に1年間留学した時は分厚い紙の日中辞典を毎日使っていました。ノートパソコンは高すぎて買えなかったから。学生用の狭いアパートにはインターネットもありませんでした。勉強はすべてアナログ。本を買って単語は一つ一つ辞書で調べて会話の練習は外で台湾人の友達をつかまえてやってました。

お金に至っては現金ですべて持参し(100万とかですよ)、銀行で台湾元に換えて新しく作った自分の口座にそのお金を入れておくというなんともアナログな方法を使いました。

 

それが13年前です。

 

久しぶりに台湾に戻ってきた私の生活は今振り返ってみるとあまりにも変化しています。今の私はインターネット回線の速度が最も早いプランと契約をすることが一番の関心事で、2台のノートパソコンを持っています。

中国語を勉強しようと思えばリスニングならユーチューブを開いて音読内容を選び、速度を2倍にして聞く。文法なら太宰治の人間失格の中国語訳のサイトを開いてそれぞれの文法の使われ方を研究する。読解ならグーグルニュース台湾を読めばいいだけ。理解できない単語があったら?ネット辞書で調べて終わりさ。

さらにインターネットの中で仕事をして報酬を受け取り、それがインターネットバンクに振り込まれる。さらに日本円を台湾ドルに変えたければトランスファーワイズがインターネット上で、どこよりも格安の手数料で自動的に日本のネット口座(円)から台湾のネット口座(台湾元)に移行してくれる。

関空で大量に本を買って持って行く代わりにキンデル一つで台湾にいながら日本語やドイツ語の本を買えるようになったし、海外にいてもネットで経済新聞やクーリエジャポンが読める。

家にいる時は大半の時間をパソコンかキンデルの前で過ごしています。

 

グーグルはきっと私より多く私の興味のあるものを知っているだろうし、私がどこで何をしているのか、近い未来にどこに行く予定なのかなどを私よりも正確に把握しているはず。さらに、怖くてあまり考えたくないけど、私がどんなテーマに関心があり、どんな内容を読んでいてどんな知識を蓄積していてその結果、どんな思考を持っているか・・・なんてことも・・・。

キンデルはすでに私が次に買いそうな本を先回りしてピックアップしているし・・・ってそういえば!!いつの間にか私はこんなものも四六時中、腕にはめている!

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このスマートウォッチは私が運動するときに心拍数を逐一携帯と連動して映し出してくれるので、上がりすぎを防いでコントロールするために使っています。さらに毎日の歩数やふだんの心拍数も測ってくれる。健康管理には非常に便利。

そして私の携帯はまた、私の健康状態や心拍数、身体の状態などを把握していることになります。パソコンと携帯に刻刻と人間のデータが(知らぬ間に)蓄積されている生活・・・!

 

中国政府の「すべての国民のデータ化と点数化そして監視状態」を恐ろしやと批判しながら見ている私たちも実はなにひとつ変わらず、テクノロジーにおおかたの情報を把握されている事実!

 

私の身の回りのテクノロジーは別に私が先進的なわけではなく、ほとんどの先進国の人間はすでに違和感なく日常的に使っているものです。しかも目先の「便利だ!」という理由から無自覚に少しずつテクノロジー化している状態。これは私たちの世界が資本主義である限りさらに進化を続けていくだろうし、もうすでに誰も止められない。

誰もが目を見張る状態で突然変わるのではなく、日常的に少しずつ少しずつ浸透していき結果無くてはならないものになる。ちょうど先日私が買った全自動ロボット掃除機のようにスッと人間の生活に、しかも感激を与えながら入ってきて一生依存させてしまうテクノロジー。

そのうちハッと気が付いたら私の身体の中や脳の中にもチップみたいなコンピューターが埋め込まれてそう、とか最近思う。だってたとえば身体に埋め込むことで異変察知して病気になる前に教えてくれる身体検査チップ、とかできたら「なんて便利!埋め込む!」とか普通に思いそうやもん。
実際スイスには、すでに社員全員が手にチップを埋め込んでいる会社があります。

そしてそのまま身体の情報がデータ化されていつのまにか私たちは遺伝子をも操作されるようになり、デザイナー人間、そしてゆっくりと、でも着実に少しずつ人間ではなくなっていく・・・・。

それもいきなりパッと変化するのではなく徐々に徐々に、誰も気づかないうちに・・・。

 

ああっこわい!

私のようにこわいと思う人に非常に大事な一冊。
ホモ・デウス(上):テクノロジーとサピエンスの未来

ホモ・デウス(下):テクノロジーとサピエンスの未来

キンデル版(上下)

 

全自動掃除ロボットを眺めながら感激と恐怖を同時に感じる私ですが、それでも当たり前に稼働させている。このロボットを毎日。きっとこれから一生使っていくんだと思います。

https://amzn.to/2ztrvuM

 

晚安!