es gibt vs. sein【ドイツ語動詞】
ひとつ前の記事でes gibtの複雑さについてボヤきましたが、、、
ここではもう一度実践的にes gibt とseinの「ある・いる」の使い方を例文とともに学びます。
ある・いるという肯定文の例と、ない・いないという否定文に分けてみていきたいと思います。
es gibtの基礎はこちらです↓
肯定文
まずは肯定文のある・いるのほうからの例文です。
es gibtの例文からいきましょう。
1)Es gibt in Tokio viele Leute.
2)In Berlin gibt es viele Museen.
3)Es gibt viele Cosplayer in Japan.
4)Heute Abend gibt es bei uns Pizza.
5)Im Keller gibt es eine Waschmaschine.
6)Bei Ikea gibt es günstige Möbel.
7)Die Schuhe gibt es in rot und in weiß.
日本語訳例
1)東京には人がいっぱいいるよね。
2)ベルリンには美術館がたくさんある。
3)日本にはコスプレイヤーがたくさんいる。
4)今夜はうちでピザがある。(=ピザを食べる予定だ)
5)地下室には洗濯機がある。
6)イケアには安い家具がある。
7)この靴は赤と白がある。
それではseinの例文をどうぞ。
1)Im Park sind viele Cosplayer.
2)Die Schuhe sind hier.
3)Im Regal sind viele Bücher und Spiele.
4)Die Taschentücher sind auf dem Tisch.
5)Viele Wolken sind am Himmel.
6)Die Pizza ist dort auf dem Küchentisch.
7)Das Museum ist in der Wagnerstraße.
日本語訳
1)公園にコスプレイヤーがたくさんいるね。
2)靴はここにあるよ。
3)棚には本やゲームがたくさんある。
4)ティッシュは机の上にあります。
5)空に雲がたくさんあるな~。
6)ピザはそこのキッチンテーブルの上にあります。
7)博物館はワーグナー通りにあります。
☆☆
日本語ではどちらも「ある・いる」と訳して問題のない文です。文法も同じ。
しかし意味的にはes gibtのほうはどちらかというと一般的な供述、seinは具体的な供述という感じがあります。
es gibtは間接的、seinは直接的、ともいえるでしょうか。
しかしこんな説明じゃあとても分からない。ですよね。
es gibtは実際にその場にいなかったり、頭の中の想像であったり、遠くから客観的に眺めていたり・・・という感じ。
seinはその場にいて具体的に見ている、直接関与している…という感じ。
実際に例文を比べてみましょう。シチュエーションを想像しながら見るとわかりやすい。
ちょっと例文を比べてみましょう。
Es gibt viele Cosplayer in Japan.
日本にはコスプレイヤーたくさんがいる。
Im Park sind viele Cosplayer.
公園にコスプレイヤーがたくさんいるね。
↑の文は日本語ではどちらも同じ言い方をしますよね。しかしドイツ語のほうは違う。
ドイツ語は「いる」の何を分けているのか?
前者は明らかにあなたの前にコスプレイヤーが立っているのではなく、一般的な供述です。
(一般的に)日本っていっぱいコスプレイヤーおるよな。って。
後者の文はあなたがこの公園に実際にいてコスプレイヤーを見ている状況です。
ImはIn demの縮約形で、定冠詞ですからこの公園は特定していますよね。適当にいろんな公園でという意味ではありません。
なので「この」公園であそこにいるコスプレイヤーたちを見ているという具体的な供述です。
この具体的なシチュエーションで
×Im Park gibt es viele Cosplayer.
はふさわしくありません。
Im Park gibt es viele Cosplayer.と言えるシチュエーションはありますけどね。難しいですね。たとえば今日コスプレイベントがその公園で開催されることを知っているがあなたは公園にはいない時とかね。
Im Park gibt es bestimmt viele Cosplayer.
=公園にいっぱいコスプレイヤーおるやろな。
みたいにひとつ副詞をつけるだけでニュアンスや使うシチュエーションががらっと変わります。
とにかく具体的に「あそこに〇〇がある・おる」っちゅーときはseinやねんって覚えとき!もーそれ以上説明できひん。
他のseinのほうの例文を見てみると全部具体的ですよね。
Viele Wolken sind am Himmel.
空は雲がたくさんあるな。(空が曇ってんな~)
なんて言うときは絶対空見てるやろ。今この空を見てなかったらこの表現は使えません。
他の例文も具体的かどうかチェックしてみてね。
逆にes gibtの例文は一般的かどうかチェックしてみてください。ほとんどは問題ないはず。
しかしこれはどうでしょうか?どんなシチュエーションやと思う?
4)Heute Abend gibt es bei uns Pizza.
今夜はうちでピザがある。(=ピザを食べる予定だ)
これは目の前にできたピザがあってもう食べる寸前・・・に言っているのではありません。
( )に書いてあるように、今日のメニューをピザに決めているという意味です。目の前にはまだありません。
これは「今夜」という特定の時間があるので一般的な供述ではないのでは、、、、と思うかもしれませんが、es gibtの目的語は「ピザ」ですので、ピザの供述が一般的か具体的かといえば、ピザは目の前にないのでes gibtなのです。
どの表現もそうですが100%こっち、と分けることのできる文法はそれこそ存在せず、ほとんどにおいて境界線があいまいな表現が存在します。どっちも使える、という場面も存在しますので絶対はないですよ、具体的なときでもes gibt使える時あるし、一般的な時にsein使うときもありますよ。
なんでかっていうと言語の表現なんか誰かがある時点で「今からこれはこう使おう」と100%の線引きをしたうえで作ったわけじゃないから。自然の産物だから曖昧なんて当然なのです。日本語ももちろんそうです。
否定文
次は「ない・いない」という例文。こちらは境界線が曖昧なものも少し出します。
まず否定文の場合、めずらしく100%線引きができるものがあります。
それはes gibtは「〇〇に存在してない・いない」という意味があり、seinのほうは「存在はしてるけど・あるけど今〇〇にはない」という意味になります。
「今」が大事ですよ!
それを踏まえて、以下の文はどちらが正しいでしょうか?考えてみてね。
1)ゾンビはいない。
Es gibt keine Zombies.
Zombies sind nicht da.
2)ディープステートはない。
Es gibt keinen Deep State.
Der Deep State ist nicht da.
3)この村に映画館はない。
In diesem Dorf gibt es keine Kinos.
In diesem Dorf sind keine Kinos.
4)クジラの肉はドイツにない。
Es gibt kein Walfleisch in Deutschland.
In Deutschland ist kein Walfleisch.
どうでしょうか?
正解はすべて前者のes gibtのほうです。
なぜ?
1と2は明確ですよね。そもそもこの世に存在していないから。
3と4はこの世には存在しています。別の場所にね。でもその場所には存在していないからes gibtです。
でも3と4は後者のseinの文じゃあかんの?と思った方は上の文を思い出してくださいね。「今」ここにはないときだけseinってことは、つまりそのときにkeinは使えないですよね。nichtしか使えない。
もしその村に映画館があるけど、その映画館に行くつもりだったが道に迷ってまだ着けてなかったりしたら
Das Kino ist nicht hier.
=その映画館は(今いる)ここにない。
またその迷って立っている場所が駅の前とかだったりしたら
Das Kino ist nicht am Bahnhof.
=その映画館はこの駅の前にないやん。
というようにnichtがつくはずなのです。
いいですか。
正しく使おうと思えば、定冠詞不定冠詞の違いも含めて全ての文法が大事ですね。
いやいやこんなややこしいやつ初級じゃ無理やろ、もっと上級になってからやな、と思った方はそれでも全然かまいません。
でも初級でこの違いに気づいて質問して来る方もいます。
勉強方法は人それぞれですので、これを初級のうちから覚えておくキャパがなさそう、またはもっと浅いところから広く勉強した方がいいと思うのであれば、今回のは聞かなかったことにしましょう。自分のキャパをしっかりコントロールしてくださいね。
しかしその場合でもes gibt=「ある・いる」と覚えてしまい、もういけるわ簡単やわ、と安易に思わないように。
頭のすみにでも「自分のes gibtが正しいとはかぎらないぞ」「まだ浅いぞ」ってことだけは知っておきましょう。
そのためにこのブログサイトや動画があります。
それでは次。次はseinが正しいもの。
こちらについてはこちらで詳しく解説していますのでご覧ください↓
しかし↓
×Es gibt niemanden zu Hause.
〇Niemand ist zu Hause.
誰も家にいないという言い方は後者が正しいです。
これはes gibtが使えない例外かもしれません。
×Es gibt keine Schlappen.
〇Da sind keine Schlappen.
↑これも前回解説したそのままです。
またどちらも使えるもの
〇Im Regal gibt es keine Bücher.
〇Im Regal sind keine Bücher.
☆☆
〇Im Kühlschrank gibt es kein Gemüse mehr.
〇Im Kühlschrank ist kein Gemüse mehr.
これらは発言者が今いる場所や具体的か一般的かによってどちらも使うことができます。
基本的には棚や冷蔵庫の前に立ってみている時はseinのほう、頭の中で思い出している時はes gibtのほうを使うと間違いはないかと思います。
長くなったので今回はここまで。
下に貼ってある「es gibtの難しさ」という記事は、私がes gibtの使い方の間違いを指摘されたエピソードを紹介しています。
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