一生ドイツ語(1)上半身裸・肺は1こ?2こ?他


ドイツ語を一生かけて勉強している私の日常の学び。

2011年から断続的にドイツに住み、ドイツの大学を出て、ドイツ語を日常言語とする私ですが、毎日知らない表現に出くわしています。

その一部を紹介します。

 

上半身裸

先日こんな言葉を耳にして、へ?ってなった。

Er ist oben ohne.

oben ohne!?

そんな文法ある!?

obenは副詞、ohneは前置詞だけど、これは前置詞の法則ガン無視。

まぁでも口語ではガン無視する表現も多いですよね。これもそのたぐい。

でも断じて意味が理解できない。

 

oben ohneが「上半身裸」という意味らしい。

説明してもらってやっと理解した。そうなんや~。

 

使い方としては

Er läuft oben ohne rum.

=あの人は上半身裸で歩き回ってる。

Mein Vater läuft immer zu Hause oben ohne rum.

=父はいつも家で上半身裸で歩き回ってる。

Er liegt oben ohne in der Sonne.

=あの人は上半身裸で日光浴してる。

こんな感じでしょうか。

 

ここでいっこ疑問がわいてきそうですね。

unten ohneって言ったらもしかして下半身裸・・・?

 

それはないそうです。oben ohneだけ。

☆☆

 

 

die Tage/in die Tage

der Tagの複数形die Tageの微妙な使い方です。

 

der Tagは「日」という意味ですが、他の使い方もありますよね。

たとえば「生理が来た」というとき

Ich habe meine Tage.

といいます。

もちろんこれも口語で、この表現でしか使えません。

「生理が遅れている」とか「生理が不純」とか生理に関する他の表現をしたいときはdie Periodeのほうが使い勝手がいいですね。

 

die Tageは「近いうちに」という意味があります。

副詞的にそのままつけるだけです。

たとえば

Ich komme die Tage wieder vorbei.

=また近いうちに寄るね。

Hast du Lust, die Tage etwas zu unternehmen?

=近いうちにまた遊ばへん?

日常ではよく使える表現です。

 

しかし、前に前置詞inをつけた場合。

Ich bin in die Tage gekommen.

=私歳とったわ。

という意味になります。

これはある種の言い回し表現なので、知っていないと意味が理解できないたぐいですね。

 

ちなみに時間の前置詞の中で使うinはものすごい端折って説明すると「~後」と「~(時間の)中で」という意味がありますよね。

たとえば

Ich komme in zwei Tagen wieder vorbei.

=2日後にまた寄るね。

しかしこの場合はin+三格になります。

年を取ったという場合はin+四格(die Tage)を使っているので、「数日後」という意味ではないわけです。

☆☆

 

 

肺は1つか2つか

二つある身体の部位はドイツ語ではだいたい複数形でいいます。

たとえば目、耳、手、足、肩など。

「肩が凝ってるわ~」って言いたかったら肩は複数形で言わなきゃです。

Meine Schultern sind verspannt!

 

「目が痛い」だったら

Meine Augen tun weh.

目は複数形です。

 

じゃあ内臓は?

内臓も2つあるものがあります。

たとえば肺、腎臓、卵巣など・・・・・

いや、ちょっとまて、肺は本当に2つなのか?

単語に複数形のない言語の話者はこんなこと考えたことないですよね。

 

最近、ドイツ人は肺を1つだと認識していることを知りました。

なぜ?

だって肺って真ん中でつながってるやん!

だからドイツ語では

Menschen haben eine Lunge.

=人は肺を1つ持っている。

 

じゃあ、右肺・左肺と言いたかったらどうするの?

片方の肺のことはder Lungenflügelと言います。

der Flügelとは翼のことです。飛行機の翼などもこれです。

 

Menschen haben eine Lunge, aber zwei Lungenflügel.

=人は肺を1つ持ってるけど、肺は2つ持っている。

・・・日本語ではこうとしか訳せませんが、2つ目の肺の意味は片方の肺のことを刺しますね。

ややこしい。

翻訳家は大変だ。

ちなみに右肺と左肺は

der rechte Lungenflügel

der linke Lungenflügel

といいます。

 

ちなみに腎臓は?

腎臓はこんな形ですね。

当然臓器は体のどこかでつながっています。

が、肺のように真ん中を軸に分かれている感じではないためか、腎臓は2つとカウントするようですね。

eine Niere / zwei Nieren

Menschen haben zwei Nieren.

=人は腎臓を2つ持っている。

 

言語を知れば知るほど、常識が覆される気がする肺1こ説を知ったのは、ドイツ語を勉強し始めて10年以上たってからの話でした。

☆☆

 

 

heuer

これは方言のお話です。

オーストリアの方言です。

ある年配の方が書いたアナログの手紙を読んだときに

Er wird heuer 80 Jahre alt.

っていう文が出てきて、なんやろ?と思いました。

文脈からするとschonかな?と思ったんですが、違うみたいですね。

Er wird heuer 80 Jahre alt.

=今年80歳になる。

 

heuer=今年

だったそうな!

ドイツに住んでて聞いたことは一度もないし、ドイツ人に訊いても知らない言葉でした。

スイスに住んでいる生徒さんからはよく、スイス方言を教えてもらっていますが方言ってけっこう恐るべし。

☆☆

 

 

warten / waten

最後は発音が同じ動詞のせいで意味を間違えた話。

最近、友達にギリシア神話を読んでもらっていた。

テキストを見ながらではなく、私は聴いていた。後で聴いた内容を要約する練習をするから、すごい頑張って聴いていた。

その中でこんな文があった。

Sie waten durch den Fluss.

私はこの文を「川を通りながら誰かを待ってる (warten) の?」と思った。

でも文脈がとても変。

 

でもそれ以外の単語を知らない。

後で聴いたら、これは

watenという動詞で、「渡る・どこかの中を歩く」という意味らしい。

warten(待つ)と発音は全く同じ。

 

wartenはaufとつくけれど、自動詞なので必ずしもaufをつけなきゃいけないことはないです。

Ich warte.だけでも大丈夫。

 

待っている対象が明らかな時は

Ich warte am Fluss.

=川のそばで待つ。

と言ってもいい。

 

だからIch warte durch den Fluss.も「待つ」って意味だと思った。文法的にはOK。意味はまあ変だけど。

でもwartenではなくてwaten=渡る、という動詞もあることを知った。

Wir waten durch den Fluss.

=川を渡る

という意味だったんですね。

 

ちなみに「渡る」は移動する動詞なので現在完了形になったときはhabenじゃなくてsein.

Wir sind durch den Bach gewatet.

=小さな川を渡った。

となります。

水だったり泥だったり、何かしらの中を渡った時に使える、動詞がwatenらしいです。

いい勉強になった!

☆☆

 

それでは今回の復習。

以下の文を訳してみましょう。

1.Sie sind oben ohne.

2.Ich bin in die Tage gekommen. / Ich komme die Tage bei dir vorbei.

3.Jeder hat nur eine Lunge, aber zwei Lungenflügel.

4.Sie ist heuer 50.

5.Das Auto fährt rückwärts.

6.Wir waten durch den Fluss.

日本語訳は動画の中でも言っています。

おわり!またね!

動画解説はこちら↓

一生ドイツ語(2)象は鼻が長いんじゃない他

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