was für einとwelcherの違い【ドイツ語文法7-2】


ここは疑問詞でもあり冠詞でもあるwas für einとwelcherの使い方とその違いを見ていきます。

どちらにも後ろには必ず名詞がつきます。だって冠詞だから!格変化もします。変化表は最後にあります。

 

文法的には同じである二つの違いは簡単に言えばwas für einは不定冠詞、welcherは定冠詞の使い方に相当します。

が、そんなこと言われても日本語母語者はピンときませんね。

 

なので簡単な例をひとつ。

あなたは友達と本屋に行きます。

本屋の入り口に着くとあなたは友達に

Was für ein Buch willst du kaufen?

=どんな本を買いたい?

と友達に訊きます。

 

すると友達は

Ich will einen Roman kaufen.

=小説を買いたい

と答えました。

この時はwas für einで訊ね、答える人はein(不定冠詞)を使っています。

 

よし分かった、答えを聞いてあなたは友達と小説が並んでいるコーナーに向かいます。

 

小説のコーナーに来ました。

2人で本を眺めます。そしてまた友達に訊きます。

Welches Buch willst du kaufen?

=どの本買いたいの?

と友達に訊きます。

 

すると友達は

Ich will das Buch kaufen.

=これ買いたい。

と本棚の中から一つ本を選んで手に取りました。

この時はwelcherで訊ね、答える人はdas(定冠詞)を使っています。

 

おぉ、友達が取ったのは村上春樹の最新作「街とその不確かな壁」。いいね。と思ってその本を眺めました。

完。

オチはない。

☆☆

 

まとめます。

was für einのほうは日本語でいうと「どんな本買いたいの?」つまり本の種類・ジャンルを尋ねています。

だからマンガとか恋愛小説とか探偵小説とか実用書とか辞書とかといったジャンルを答えるイメージ。

 

しかし答え方は種類でなくてもかまいません。

ある小説家の名前でもいいし、ストーリー的なのを言ってもいい。

とにかく頭の中で想像している本を表現する感じです。

そして答える時は定冠詞(der)をつけないように。必ず不定冠詞(ein)。またはゼロ冠詞。

「村上春樹の本が欲しいんだ」であれば

Ich will ein Buch von Murakami Haruki.です。不定冠詞(ein)です。

 

逆にwelcherは「どの本?」「どれ?」と目の前にある本を見ながら尋ねています。

だから答えるときは指を指したり、その本を手に取ったりして

「この本かな」と答えるのです。定冠詞で!

 

was für einのほうが漠然としていて一つには特定できないことから、不定冠詞で答える

welcherはさらに追及し、一つに特定できるので定冠詞で答える

ということですね。

 

それでは練習です。

welcherについてはこちらの練習問題で大量の例文があり参考にできるのでここではwas für einを中心に見ていきたいと思います。

【初級】welcherの変化をひたすら練習するページ【ドイツ語文法練習】

 

さらに、Was für ein Buch willst du kaufen?のwas für einは中性名詞・四格ですが、なんで四格になるの?格ってどうやって決まるの?が知りたい方はこちらの文法へ↓

動詞と格:三格と四格支配の動詞【ドイツ語文法27】

 

 

それでは格に気を付けて質問にドイツ語で答えてみてね。

Was für ein Auto fährst du?

=どんな車運転してるの?

 

日本で一番多い例は

Ich fahre Toyota.

=トヨタの車だよ

かな?

そう、先ほどのように車の種類、つまり車種を尋ねられていますよ。

他にもHonda, VW, BMW, Hyundai, Volvo…..などありますね。

もちろん車種以外にも車の特徴、ボックスカーだとか、色とか特徴を答えるのもOKです。

 

じゃあこれは?

Was für einen Hund findest du süß?

=どんな犬が可愛いと思う?

 

私も真面目に答えると

Ich finde Shiba sehr süß.

=柴犬が可愛いと思う。

犬種ですね。

他にもHusky(ハスキー), Schäferhunde(シェパード), Pudel(プードル), Dackel(ダックスフンド), Möpse(パグ)….

 

他にもwas für einの例を。

X: Was für eine Person ist dein Vater?

=お父さんってどんな人?

Y: Er macht gern alles im Alleingang.

=全部ひとりでするのが好きな人。

 

X: In was für einer Stadt möchtest du leben?

=どんな街に住みたい?

Y: Ich möchte in einer Stadt wie Osaka leben.

=大阪みたいな街に住みたい。

*街の例文は was für einが三格になりeinerと変化している形です。前置詞があった場合は前置詞の後、つまりいつも冠詞がある場所にwas für einを放り込みます。

☆☆

 

それでは簡単な穴埋め。

買い物でwas für einとwelcherを使い分けましょう。

どちらかを( )に入れてみてください。

Xが店員さん、Yがあなたです。

 

X: Kann ich Ihnen helfen?

Y: Ich suche eine Hose.

X: (       ) Hose suchen Sie? Eine Jeans, eine Jogginghose oder eine kurze Hose?

Y: Eine Jeans.

ジーンズ売り場に移動して・・・

X: (       ) gefällt Ihnen? Diese schwarze, diese blaue oder diese?

Y: Diese blaue Hose gefällt mir ganz gut. Kann ich sie anprobieren? …..

 

日本語訳

X: なにかお探しですか?

Y: ズボンを探してるんですけど・・

X: どんなズボンですか? ジーパンとかゆるゆるのとかハーフパンツとか・・

Y: ジーパンです。

ジーンズ売り場に移動して・・・

X: どれが好きですか?この黒とか、この青とかこれとか・・

Y: この青のいいですね。試着してみてもいいですか? …..

 

 

もうひとつ似たやつ。でもちょっと注意して。

X: Kann ich Ihnen helfen?

Y: Ich suche Schuhe.

X: (       )  brauchen Sie? Turnschuhe, Hausschuhe, Stiefel oder Pumps?

Y: Turnschuhe.

スニーカー売り場に移動して・・・

X: (       ) gefallen Ihnen? Diese schwarzen, diese weißen oder diese?

Y: Diese weißen Schuhe gefallen mir ganz gut. Kann ich sie anprobieren? …..

 

日本語訳

X: なにかお探しですか?

Y: 靴を探しているんですけど・・

X: どんな靴ですか? スニーカーとかスリッパとかブーツとかパンプスとか・・

Y: スニーカーです。

スニーカー売り場に移動して・・・

X:どのスニーカーがいいですか?この黒いのとか白いとかこれも・・

Y: 白のいいですね。試着してもいいですか? …..

 

どうでしたか。実際の買い物の場面でもwas für einとwelcherはよく出てきます。

知っていると旅行先でも店員さんとちょっとした会話が聞き取れたりするかもしれません。

 

答えについては下の動画の中で解説していますので確認したい方はどうぞ。

☆☆

 

ということは今までは日常でまず使えるようにするための基礎を見てきました。

最後にちょっとややこしい応用。

基礎を理解し、読みたい人だけ読み進めてください。

先ほどまで説明したwas für einとwelcherの違いは基礎的なもので、明確に分かりやすいものです。

 

しかし目の前にあるものだけ、目に見えているものだけにしかwelcherを使えない、ということではありません。

たとえばA1の最初のほうで習う疑問文

X:Welche Sprachen sprichst du?

=何語を話せるの?

 

Y:Ich spreche Japanisch und Chinesisch.

=日本語と中国語だよ。

ここのWelche Sprachen(何語・どの言語)はもちろん中国語や日本語が目の前にあって、この中から「どの言語?」と言っているのではないのは明確です。

先ほどの解説と矛盾していますね。

 

そのほかにも

Welchen Sport machst du gern?

=どのスポーツするのが好き?

 

Welche Instrumente spielst du?

=どの楽器弾くの?

などとたくさんあります。

これらは答える時には「バスケ」や「ギター」などのゼロ冠詞(die Gitarre=そのギターとはいわず、Ich spiele Gitarre.=冠詞なし。)で言うため、welcherと訊かれたら定冠詞(derなど)で答えるという認識とも矛盾しますね。

 

さらに

Welche Sprachen sprichst du?

Was für eine Sprache sprichst du?

 

Welchen Sport machst du gern?

Was für einen Sport machst du gern?

のように、どちらでも使えてなおかつ意味は全く一緒です。答え方も一緒です。

 

いやいやでも、さっきの例、本や靴や車の時は

Welches Buch möchtest du kaufen?

Was für ein Buch möchtest du kaufen?

を使うシチュエーションが違ったし、意味も答え方も違ったやん。矛盾!言語に矛盾はつきもの。

 

これはなぜかというと、スポーツや音楽、楽器、言語などは種類に制限があるからです。

無限に作り出せる本や車や靴や服は制限がありません。またこちらは同じものがいくつも複製して作られる商品でもあります。

 

いやいや、そんなこというても言語だって6000?とかものすごい数あるやん、と思うかもしれませんが、これらは「今から製造します」といって同じものをたくさん作れるものではないため、ある程度は制限がかかっていると捉えることもできるのです。

なので「どのスポーツが好き?」と尋ねる時、質問者はテニスとかバスケとか陸上とか相撲とか・・・という特定の中から何が好きなの?という常識的に知っているスポーツの中から、という制限が働いているため、welchen Sport magst du?ともいえるわけです。

なので、ある程度質問者の自由にwelcherとwas für einを選べるものもあるということですね。

「趣味」なんかもどちらで訊いてもかまいません。

趣味は無制限でいくらでもあるし、自分の知らない答えが返って来る可能性が高いと想像する人はWas für ein Hobby hast du?=趣味何?と訊くだろうし、ある程度制限されている、想像ができると捉える人はWelches Hobby hast du?と訊く可能性も高いかもしれません。

ある程度無意識的なイメージであったり、その人のとらえ方によってwas für einとwelcherの選択が変わってこともたくさんあるよ、ということでこれ以上はまたいつか。

 

最後に両者の格変化表です。

welcher maskulin(男性) feminin(女性) neutral(中性) Plural(複数)
Nominativ(一格) welcher welche welches welche
Genitiv(二格) welches  -s welcher welches -s welcher
Dativ(三格) welchem welcher welchem welchen  -n
Akkusativ(四格) welchen welche welches welche

was für einは最後のeinだけが変化。

welcher maskulin(男性) feminin(女性) neutral(中性) Plural(複数)
Nominativ(一格) ein eine ein なし
Genitiv(二格) eines -s einer eines -s なし
Dativ(三格) einem einer einem なし
Akkusativ(四格) einen eine ein なし

 

格変化には共通性が多いので他の単語と一緒におぼえるのもおすすめだよ。↓

【ドイツ語】名詞と代名詞の格変化一覧

動画解説はこちらから↓

 

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副詞 vorhin vs. vorher【ドイツ語表現】

 

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