derとein☆定冠詞と不定冠詞の使い分け【ドイツ語実践の基礎】
ドイツ語文法の冠詞(derとeinなど)は変化表を覚えるのも大変ですが、実用するのはもっと大変ですね。
英語などのヨーロッパ言語が実用的に使いこなせる人は感覚があるかと思いますが、日本語母語者はこの感覚を知識から経験である程度習得しなければなりません。
これは初級だけではなく、中・上級になっても重要です。
C1やC2のテストを合格した、という人でも適当に選んで変な文になっている人がたくさんいます。
またレベルが上がるにつれて、文を作るにも考えることが多すぎて冠詞まで頭が回らない、という人も多いです。
中級になった時にそうならないために、derとeinの選択の基礎的な知識を今のうちに入れておきましょう。
また、知識はあるか実践で使えないという人も、もう一度復習を兼ねてやってみてください。
しかしそもそもどうやって始めればいいのかすら分からないですよね。
なので少しアドバイス。
まずは入門です。derとeinの格変化を覚えて。これは暗記です。
そして覚えたところでスタートラインです。
Kasus(格) | maskulin (男性) |
feminin (女性) |
neutral (中性) |
Plural (複数) |
Nominativ(一格) | der | die | das | die |
Genitiv(二格) | des -s | der | des -s | der |
Dativ(三格) | dem | der | dem | den -n |
Akkusativ(四格) | den | die | das | die |
Kasus | maskulin (男性) |
feminin (女性) |
neutral (中性) |
Nominativ(一格) | ein | eine | ein |
Genitiv(二格) | eines -s | einer | eines -s |
Dativ(三格) | einem | einer | einem |
Akkusativ(四格) | einen | eine | ein |
頭の中で格変化表を出すことができたら、次はどのシチュエーションでderとeinのどっちを使うえばいいのかという知識を入れましょう。
まずはこのページを読んでください。シチュエーション例が10種類ほどあります。
覚える必要はないので、読んで「なるほど~そういうことね。」程度の理解をしてください。
今回はこの理解をした内容をシチュエーションで勉強します。
知識の上に実践を、ということですね。
まず、この絵を見てください。
この絵に何がかかれているかを今から日本語で簡単に説明してみます。
そしてそれをドイツ語に直していきます。その際にderとeinのどちらを使うかを考えていきましょう。
女性と子供、どちらを主役にしてもいいと思いますが、私はまずこんな感じに書いてみました。
説明文
女性がいます。
女性は公園のベンチに座っています。
本を読みながら太陽にあたっています。
その隣で子供がボールで遊んでいます。
突然、そのボールが女性の方へ転がってきます。
子供はベンチへ走ってきます。
女性はにこっとして、子供にボールを返してあげます。
このような感じで分かりやすいでしょうか?
この日本語文の中のマーカーの部分に定冠詞または不定冠詞が格変化した形を入れる練習をしたいと思います。
一度考えてみてくださいね。
女性がいます。
女性は公園のベンチに座っています。
本を読みながら太陽にあたっています。
その隣で子供がボールで遊んでいます。
突然、そのボールが女性の方へ転がってきます。
子供はベンチへ走ってきます。
女性はにこっとして、子供にボールを返してあげます。
日本語はマーカーでひいた名詞の前に何もつけなくても正解ですよね。全然変じゃない。
しかしドイツ語はこれらの名詞の前には必ず冠詞がいるのです。
日本語のように何もつけない、という選択肢がないのです。
いいですか。
必ず何らかの冠詞をつけなければなりません。
冠詞にもたくさんの種類がありますが、今回の文は定冠詞か不定冠詞のどちらかが入るものを選んでいます。
それでは初級の方のために、黄色の名詞のドイツ語を先に冠詞つきで見ておきましょう。
女性=die Frau
ベンチ=die Bank
本=das Buch
太陽=die Sonne
子供=das Kind
ボール=der Ball
それでは、自分でドイツ語に訳せそうだ、という人は一度全部自分で訳してみましょう。
間違っても全然大丈夫。そして、訳す際に、定冠詞と不定冠詞をしっかり意識して。
また格変化も一格だけじゃありませんので、意識して。
また、すべてを訳すには難しい、という人はこちらの翻訳された文に定冠詞と不定冠詞を入れてみましょう。
Da ist ( ) Frau.
( ) Frau sitzt auf ( ) Bank im Park.
Sie liest ( ) Buch und genießt ( ) Sonne.
Neben ihr spielt ( ) Kind mit ( ) Ball.
Plötzlich rollt ( ) Ball zu ( ) Frau.
( ) Kind läuft zur Bank.
( ) Frau lächelt und gibt ( ) Kind ( ) Ball zurück.
先ほど言ったように、定冠詞と不定冠詞を入れる時は適当に入れないように。
「なぜここは定冠詞にしたのか」「なぜここは不定冠詞にしたのか」を説明できるようにしてください。
ヒントは先ほどの使い方のページを参考にしてください↓
またもう一つのヒントは、日本語ではなくてもいいけど、もしいうとしたら「ある女性」と「その女性」どっちがふさわしい?
「あるボール」と「そのボール」どっちがこの文にふさわしいかな?
というように知識だけでなく、ご自身の日本語の感覚に頼って考えてみるのもいいと思います。このような基礎的なものだとこれで行ける場合も多いです。
それでは答え合わせです。
1)Da ist (eine) Frau.
2)(die) Frau sitzt auf (einer) Bank im Park.
3)Sie liest (ein) Buch und genießt (die) Sonne.
4)Neben ihr spielt (ein) Kind mit (einem) Ball.
5)Plötzlich rollt (der) Ball zu (der) Frau.
6)(Das) Kind läuft zur Bank.
7)Die Frau lächelt und gibt (dem) Kind (den) Ball zurück.
訳ももう一度。
女性がいます。
女性は公園のベンチに座っています。
本を読みながら太陽にあたっています。
その隣で子供がボールで遊んでいます。
突然、そのボールが女性の方へ転がってきます。
子供はベンチへ走ってきます。
女性はにこっとして、子供にボールを返してあげます。
解説。
最初の文は日本語で考えても明確です。
絵をみて「ある女性がいます」または「その女性がいます」のどっちがふさわしいかと言えば前者ですね。
「その女性」というと、知り合いの女性などを想像した上で言っていますから、ふさわしくないです。
この絵の女性は私を含め、みなさんも今初めて見たばかりでしかも名前も何も知りません。なので不定冠詞がふさわしい。女性一格なのでdieです。
そして2)の文はもう一度その女性が出てきます。
これは「ある女性が公園のベンチで座っています」「その女性が公園のベンチで座っています」のどちらであるべきでしょうか。
「ある女性」と言ってしまうと、さっき言及した女性とは別の女性になってしまいます。
さっき言及した女性のことを言っているのだから「その女性」がふさわしいですよね。つまり定冠詞の女性名詞一格、dieを入れるのがふさわしいです。
これは先ほどの使い方10パターンのページの4番目です。
初めて出てきたときは不定冠詞、そしてもう一度言及する場合は定冠詞!
このさっき読んだ知識が、実践に結びつきましたか?
このように知識を実践に結び付けて何度も練習すると、実践でも正確に話せるようになっていくのです。
実はこの作文はほとんどが
初めて出てきたときは不定冠詞、そしてもう一度言及する場合は定冠詞!
を実践する場になっています。
たとえばベンチ、子供、ボール。
初めて出てきたときは不定冠詞、次に出てきた場合は不定冠詞が使われています。
確認してみてね。
しかし格はそれぞれの文で違いますので格変化には注意してね。
しかし、「太陽」。
これはなんでdie Sonneになっているのでしょうか?
なぜeine Sonneじゃないんですか?
これも先ほどのページで言及しています。知識と実践が結びついた人は答えられます。
これは何番のパターンですか?
答えは7番のパターンです。
だって、太陽は世界で一つしかないから!
世界で一つしかないものには定冠詞、と書いてありますね。
地球、海、のように二つないものに不定冠詞をつけるのは変です。不定冠詞は「たくさんある中の一つ」という意味なのだから二つ以上存在するものに対してしかつけれません。
ということで、今回はたった2つのパターンの知識があれば、定冠詞と不定冠詞をいとも簡単に使い分けれる、という練習でした。
さらなる似たような練習問題がここにもありますので、一度やってみてね。
動画解説はこちら
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