なるべく早い段階で読むべき本:『1984』ジョージ・オーウェル
英語で書かれた20世紀の小説ベスト100に選ばれた大ベストセラーでもあり
英国の読んだふり本ナンバーワン(!)でもあるらしいジョージ・オーウェルの1984年。
私も何度も聴いたことはあったのに読んだのはつい最近でした。
もっと早くに読んどけばよかったな・・・と後悔したぐらい素晴らしかったので一言だけ感想を。
この本は1949年に、当時35年後だった未来である「1984年」の世界が空想的にかかれています。
いわゆるディストピアで、主題は究極の全体主義について。
それは、今まで必ず倒されていた帝国、入れ替わっていた権力の構造の歴史から原因を学び、永遠にかつ完璧な権力を手に入れるために一握りの人間(摂取側)が構築した完全なる全体主義システム社会が舞台です。
つまり相当怖い。
四六時中監視され
言動や行動のすべての自由をコントロールされ
無駄な仕事で体力を奪われ
生産力は戦争で繰り返し破壊され
エネルギー発散は憎悪と戦争への勝利のみ許され
違反者への罰にはありとあらゆる拷問を受け
すべての人の命の操作は支配者に決定権があり
恐怖と自由を抑圧された中で暮らす
・・・んだけれども、これよりもっと重要で恐ろしいのが
「思考の操作」
です。
本では「二重思考」と表現されていますが、この本のポイントは、思考コントロールとその究極の方法です👆
簡単にいえば、意識を(支配者の思惑通りに)コントロールするのはやろうと思えばできるし、やってるふりもできるかもしれないが、それだけではなく
無意識をもコントロールする能力を要求される、ということが重要な点。
これが、一握りの支配者が永遠に権力を維持できる完璧で唯一な方法だと
本は説きます。
私がぞっとしたのはその方法。おもに2つですね。
・歴史の改ざん⇒意識と無意識に新しい歴史を完全に信じ込ませる能力。
・語彙を減らす⇒たとえば「美しい」「綺麗」「醜い」「ブス」などの様々な表現は反義語をもそぎ落とし、全部1語で表す。つまり、「美しい」または「非美しい」。言葉を単純化することで認知革命の反対をたどる。
私が先ほど並べた恐怖政治のようなやりかたは、ある意味オウムのようないくつかの宗教にも通じるところがあるけれど、宗教も全体主義国家も、思考のコントロール法といえば、教育とか、情報を遮断するとか、体力を奪って思考能力を奪うぐらいしか現実ではできません。
それが、
「歴史の改ざんを確実に知っているにもかかわらず、完全に信じることができる」人
など、どこにいるのでしょう?
たとえば
「飛行機は支配者が発明したものだ」という歴史の改ざんが今日、行われたとして
「飛行機は20世紀初頭にライト兄弟が発明した」と知っている人が
知らないふりをするのではなく
今日、本当に支配者が発明したのだと新たに、そして本気で信じることが
どうしてできよう?
今日の支配者が20世紀初頭に生きていたなんて物理的にも筋が通らないにも関わらず。
しかし
その実現は本の中では可能なんですね。
実際にも可能なのかもしれない。
どんな方法でそれを実行するのか?
その答えが本のクライマックスです。
ああ、2019年時点で
これにちょっと近くなってる国もあると思うと気が滅入りますね~。(中国の社会信用システムを考察してみた)
選挙権を持っているとはなんと幸せなことかと思います。
ちなみにこの本を読んでわたしの頭に浮かんだ新たな疑問は
記憶ってなに?
と
権力ってなに?
という厄介なものでした。当分答えは出そうもない。
とにかく素晴らしい本でした。もっと早く読んでおけばよかったな。