bis auf+四格=「~以外」ともう一つ【ドイツ語表現】
今日は前置詞bis aufについてです。
中級以上。使いこなすのはなかなか簡単ではありません。
なぜならbis aufは「~以外」「全部」という一見矛盾する2種類の意味を持っているからです。
でも
「日曜以外は毎日仕事してるんだよ~」
とか日常で普通に使う表現ですよね。
なので取り上げておきたいと思います。
前置詞の基礎についてはこちら↓
今回は
bis auf+A(四格)
の意味と使い方を解説。
前置詞は基本的にbisやaufやanなど、1単語で成り立っていますが、たまにbis aufのように2単語でひとくくりになるものもあります。
他にはbis zu Dやum A herumやauf A ausなど様々なタイプがあります。
今回はbis aufをいつもセットにして、さらに前置詞なのでその後に四格の名詞を置きます。
bisだけやaufだけになるとまた別の意味になるので必ずセットで。
bis aufには2種類の意味があります。
まずは「~以外」の使い方から。
例文です。
bis aufを「~以外」と理解しながら訳してみてください。
1)Bis auf einen Fehler war die Prüfung perfekt.
2)Bis auf Rettich esse ich jedes Gemüse.
3)Bis auf den Preis gefällt mir alles an dem Produkt .
4)Bis auf Sonntag arbeite ich jeden Tag.
5)Bis auf heute war sie immer pünktlich.
6)Bis auf Luka sind schon alle da.
日本語訳
1)一つのミス以外、試験は完璧だった。
2)大根以外の野菜は全部食べる。
3)値段以外、その商品の全部が気に入っている。
4)日曜日以外毎日働いてるよ。
5)今日以外はあの子いつも時間通りだったんだけどね。
6)ルカ以外もう全員来ている。
これは分かりやすかったのではないでしょうか。
同じく前置詞のaußerも「~以外」という意味を持ちますね。書き換えが可能です。
ただaußerのほうは後ろに三格がつくので注意してね。
日常的にはどちらもよく使うと思いますが、私のまわりはほぼbis aufを使っているので、私もbis aufのほうがよく使っています。
もちろん状況によってはaußerのほうがふさわしいこともあるので何とも言えませんが。
ただ教科書では、außerが先に出て来るほうが多いのではないでしょうか。
私の憶測では、bis aufはたぶん次の意味もあるからです。これを見分けるのは場合によっては非常に難しい。
例文を見てみましょう。
今回のbis aufは「最後の~まで」と訳してください。
1)Ich habe mein Geld bis auf den letzten Cent ausgegeben.
2)Das Stadion war bis auf den letzten Platz voll.
3)Der Film war bis auf die letzte Minute spannend.
4)Er hat das Bier bis auf den letzten Tropfen getrunken.
日本語訳
1)最後の1セントまでお金を全部使い果たした。
2)スタジアムは最後の席まで全部埋まった。
3)この映画は最後の1分までハラハラだった。
4)最後の一滴までビールを飲みほした。
こちらの訳はbis aufのあとにletzt(最後の)という形容詞と一緒についており、これで「最後の~まで」つまり「全部」という意味になります。
わかりますか。
仮に「~以外」と訳してももちろんかまいません。
1)最後の1セント以外お金を全部使い果たした。
ネイティブ的には同じ理解です。
でもこれは「1セント以外」を強調した意味ではなく「最後の1セントに至るまでお金を全部使った」という使ったものの大きさを表すニュアンスですよね。
つまり、分母が圧倒的に大きいものに対して、最後の1までたどりついた=つまり全て、という意味なのです。
ここまで来て、あ、と思った方もいるかもしれません。
bis aufにletztがついてれば後者の意味だと思えばいいんじゃないの?
って。
や、そうだよね、気持ちはわかる。
しかしどうやらそれも単純すぎるようです。
たとえば前者の意味で出てきた文
Bis auf eine Frage war die Prüfung perfekt.
=一問以外試験は完璧だった。
これをこう変えてみましょう。↓
Bis auf die letzte Frage war die Prüfung perfekt.
これは
「最後の問題以外、試験は完璧だった」
という意味ですね。
これはつまりノーミスの完璧ではなく、1問間違えたということです。
最後の問題まで試験は完璧だった。
とにかく一個ミスがあったと。
なぜそうなるの?
なぜなら試験問題の分母というのは多くても20~30問なのではないでしょうか?
20問のうちの1問というのは「最後の1問まで完璧に正解した」というにはこの1問は大きすぎて見過ごせません。なので1問を除いて全部正解だよ、が正しいでしょう。
逆に1万人を収容する「スタジアムの1席以外は埋まった」というのは、残りの9999席埋まっているわけですから、残りの1席にたどり着くぐらいチケットが売れたと考え、「満員」または「最後の1席まで」と理解します。
ニュアンスが非常に難しいですね。
なので、分母の大きさを考えてください。
その中の1がどれほどの影響力か、によって前者と後者の意味を使い分けます。
さらに。
話がガラッと変わりますが、ドイツ語は動詞以外の語順をあれこれ入れ替えることができますよね。少しの規則はありますが。
前置詞の語順も同様で、普通は最初に持ってきてもいいし、動詞の後でもかまいません。
たとえば
Auf dem Tisch steht ein Computer.
Ein Computer steht auf dem Tisch.
前置詞aufは前でも後でも構いません。
しかし!
ここに紹介した後者の例文「最後の~まで」と訳したものはすべてここで紹介した順序を変えないでください。
変えると変な感じになります。
高度なドイツ語を感覚的に理解している方には分かるはずです。
おそらくですが、目的語(GeldやBier)を言った後でないと、分母が分からないからだと思われます。
分母の規模が分からないと、たぶん感覚的に訳せない感じがします。
なので、これに似た表現を使うときは、bis aufを前に持ってこないで。
もう一度出しておきます。
1)Ich habe mein Geld bis auf den letzten Cent ausgegeben.
2)Das Stadion war bis auf den letzten Platz voll.
3)Der Film war bis auf die letzte Minute spannend.
4)Er hat das Bier bis auf den letzten Tropfen getrunken.
必ず主語からこの順番で使ってください。
ちなみに、最初に出した「~以外」のほうはbis aufが最初に来る必要はありません。
付け足し的な感じで最後につけることも良くあります。
例)
Ich esse jedes Gemüse bis auf Rettich.
bis aufの前にコンマがつくような感覚です。
ということで、少し難しいかなと思いましたが、これからも中上級のものをたくさん解説していかなければならないことを見越して、難しい単語や表現は星の数あるので、少しずつやっていこうと思っています。
動画解説はこちら↓
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