【初級】両極端な語を一緒に使う不思議なドイツ語【例文】


「難しい」と「易しい」は文字どおり両極端の意味です。この2つの単語を続けて使うとたちまち意味がわからなくなります。しかしドイツ語ではそれが普通に通用しちゃう。なんで??

例文を見てみましょう。

Die Situation ist einfach schwierig.

einfach=易しい、schwierig=難しい を続けて使えてしまいます。意味は最後のほう「難しい」をとり、「この状況は難しい」となります。

“einfach”はこの場合、形容詞の「易しい」という意味ではなく、die Modalpartikelというドイツ語に独特な不変化詞の一種になるのです。Die Modalpartikelとは、感情を強調したいものの前につけて使うものです。今回だと「難しい」を強調したかったということです。

このように、両極端な語を一文の中に入れてつかう不思議なドイツ語は山ほどあります。一部をここで紹介します。

Jetzt müssen wir uns langsam beeilen.
= そろそろ急がなきゃ。

langsam=ゆっくり、sich beeilen=急ぐ が一緒になった文。ここではlangsamがModalpartikelです。日本語は「そろそろ」という表現を使いますね。

Du kannst ruhig lauter reden.
= 大きな声でしゃべっていいよ。

ruhig=静かに、lauter=うるさい

Eben war das voll leer.
= さっきは完全に空いていた。

Voll=満席、leer=空席。ここでのvollはtotal(完全に)と同じ意味。

Deine neue Frisur ist ganz schön hässlich.
= 君の新しい髪型、全くもって似合ってない。

schön=綺麗  hässlich=醜い。“ganz schön+α”という表現はめちゃくちゃ、という意味に相当する。かなり強い強調。

Du musst langsam schneller werden.
= そろそろ早くしなきゃだめだよ。

Wenn der Schwung erstmal weg ist, wird es ganz schnell langsam.
= 一度景気が過ぎたらそのあとは速攻でゆるやかになる。

langsam=ゆっくり、schnell=速い

Was du getan hast, war so richtig falsch.

richtig=正しい、falsch=間違い

Irgendwas läuft hier gerade schief.
= 今なんかうまくいってない。

gerade=まっすぐ、schief=傾いた  ここではgeradeは「今」という意味。

Sie ist furchtbar lieb.
= 彼女は恐ろしいほどに優しい。

furchtbar=恐ろしい、lieb=優しい

Dann fahr halt!
= じゃあ行けよ!

fahren=行く、halten=止まる 2つとも動詞の例。一体どっち?“halt”はよく「止まる」という意味ではなく、強調として使われます。ドイツ人は“halt”という表現がなぜか大好き。

Sie ist unglaublich ehrlich.
= 彼女は信じられないぐらい真面目だ。

unglaublich=信じがたい、ehrlich=真面目

Warte mal schnell!
= ちょっと待って!

warten=待つ、schnell=速く この場合のschnellは“kurz=短い”と同じ意味です。

Er ist Vollschlank.
= 彼はデブだ

Er ist voll schlank.
= 彼はやせすぎている

これは究極。

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