【中国】義烏マーケットで働く人々
義烏國際商貿城(福田市場)の続きです。
全長約5キロ、 7万を超える店舗を持つ義烏國際商貿城。年中無休でほとんどのお店が開いています。
ショッピングモールとの大きな違いは、ここには従業員専用の控室や通路が一切ないことです。制服ももちろんなし。義烏國際商貿城で働く人々は店内を自分の家の中のようにくつろいで過ごしています。
なんなら簡易ベッドを持ってきて堂々と寝ている人もいるし、昼ごはんも店内で食べる。
こんな巨大施設だからいくら人が入っていてもスカスカ感満載なのですが、いつ、どの店を見ても必ずひとり以上が店の中で暇そうにしています。どんなにスカスカな階のスカスカな通路にあるお店でも必ず中に人がいる。
1店舗につき3人ぐらいの店番がいるのが一般的のようです。だいたい家族でしょう。店番をしている中学生ぐらいの年齢の子も多いです。
人材募集の張り紙を店頭に貼っているお店も時々見かけます。希望人材はほとんどが英語堪能、マーケット経験者となっていますが月給は書かれていない。交渉次第ということでしょうか。
施設内の店のほとんどは工場からの直営で、一店舗につき数十人~数千人規模の工場がバックにいるらしい。もちろん一つの工場がここに複数店舗持ってることも多いと思う。それぐらい各店舗は一つの商品に特化している。
たとえば爪楊枝専門店。
リボン専門店。
パチもんリカちゃん人形専門店?
凧で覆われる店
子供の乗り物やさん
玩具やさん
店番をしている人はとにかく暇そうです。どこ覗いても暇そうにダラダラしてる。一日中客がこないこともザラだろう。なぜならほとんどの店舗が商品の最低仕入れ個数を指定しているから。一般客用の個人販売ではないのだ。でも一人のバイヤーが数千個とか注文していくので毎日人が来なくても十分成り立つらしい。
店にいるのは工場の社長家族だという話を聞いたことがあるが本当のところはわからない。すごいお金持ちもいるしそうでない人もいるようです。
もう一つ大きな特徴は、子供がやたらと多いこと。子供で溢れ返っている廊下もある。ほとんどが働く人たちの子供で、まだ歩けない赤ちゃんからピンキリの大きさの子供たちがそのへんで遊んでいます。子供の昼寝ベッドがあるお店も多い。
ど真ん中に座って遊んでるよ~。
玩具屋通りは1区の1階。一番人でにぎわっている。
楽しく遊んでいる子供たちをちょっと観察していたら、その中の一人の男の子がプラスチックの軽い棒でけっこう強めに友達の頭をたたいたんですよ。
そしたらそれを見た周りの子が「彼のママはどこだ!」「ママのところにいこう!」「早く!みんな!」と皆ばたばたと走っていった。
ああ、便利だなあ、家族がみんな近くにいるんだもんね。ある意味お店を持っている大人全員が子供全員を見ている感じ。
この中全体が一つの小さな街コミュニティになっていて、それでいて生活感溢れる巨大な家族のような空間だなと思いました。
しかし友達や家族がいつでもいて、さらにこんな大量のモノにあふれるどでかい空間を当たり前だと思って育つ小皇帝やお姫様たちは大人になって海外に出たりしたら一体何を感じるのか・・・。世界って全部中国でできてるやん!とか思うかもね。
そしてもう一つ見たこと。
この巨大コミュニティーで働いているのは工場をもつ社長などの商売人だけではありません。彼らが昼食時になったら食べ物を持って売りに回る人、移動しながら果物を売りに来る農民、さらにパチもんブランドの財布などを直接外国人客に声をかけて売ろうとする貧乏人などがいます。
そして貧乏人の子供は、他の子供たちと外見も服装もなんら変わりないのに誰にも相手になってもらえない。そんな光景を目にしました。5歳ぐらいの男の子でした。遊びたくて子供の輪にいって話しかける。でも誰も相手にしない。彼より小さい子供でさえ無視をする。
子供はあきらめて、財布を売るのに疲れて座っている母親のところに行き泣きそうな顔をする。母親はどれだけ悲しいでしょう。やはりどんなコミュニティーでも優しさだけで暖かく包まれているなんてことはない。つめたい部分も差別も身分もあるのだなと感じたのです。
ありとあらゆる場所で眠るお気楽な人々。
ここに来てるあいだ日本は中国にもう絶対勝てないと確信してたけど、こーゆー人たちを見てると個々の日本人は全く中国人に負けてないと思うんだよ。
ここで働く人々にはストレスがほとんどなさそうに見えます。
外には段ボールの山。