約6年ぶりのアジア生活


4月4日、ドイツから中国上海に移住してきました。人生初めての上海!

上海の空港の到着口で、たまたま日本人カップル(たぶん)の再会の光景を見ました。到着口の前にある椅子に座っていた若い女性が嬉しそうに手をふった先にいたのは、早足でこちらに向かってくる男性。女性のもとに駆け寄った男性は“遅れてごめんね!”と声をかけた。

二人とも満面の笑みで見つめあい。女性は“どっから入ってきたの?”と尋ね、男性は指をさして説明している。そして女性は突然、“ねぇ!なんか言うことないの!?”と男性に詰め寄る。“・・髪型変えた?” “そうー!もぉー!”と女性は男性をバシッとたたいて、直後に一緒に去って行った。きっと彼女は今日から始まる中国の祝日,清明節に合わせて中国に住む恋人を数日間訪ねてきたのだろう。

軽く違和感を感じた日本人カップルの再会のやり取りを見たあと、ああそうだった、私はアジアに戻ってきたんだと再認識したのです。なぜ違和感って?ボディーコンタクトが一切ないのだなぁと思ったのです。久しぶりに会った恋人同士でもハグとかしないんだなぁって。”会いたかった!”とかの言葉すらなく、まずはスモールトークからなのか。そうなのか。

でも確かそうでしたよね、日本人って公衆の面前で愛などの率直な感情を表現することにためらいがある気がします。ためらいというか恥ずかしいが強いのかな。周りに気をつかう文化でもあるしね。なつかしい感情を思い出しました。
西欧では再会をした恋人たち、家族や友達ってまず言葉よりもボディーコンタクトを優先します。ボディーコンタクトはとても大事。それが近い存在であればあるほど長く言葉をかわさずハグでお互いを感じます。

 

懐かしのコンビニ(中国版ファミマ)に入り、レジで会計をしたときもハローといいそうになってあわててニーハオと言いなおし、買い終わったあとにチュース!と言いそうになってあれ、中国語ってここで何て声かけるんやっけ?再見でいいの?と一瞬考える。謝謝光臨と言われて何と対応すればいいのかわからず、バイバイと言ってからはたと気づく。そういやアジアって客のほうは終始黙ってたっけ?挨拶しないんだっけ?

 

会社の寮に着き、中国人の同僚たちと初めましての挨拶で、思わず手を出してしまいあわてて引っ込める。相手が握手を求めてこなかったからです。しまった、初めての人に握手から入るのは西欧の文化だった・・・。てか中国でも男性同士はしてたような・・・異性間ではしないのかな?中国の習慣がわからない。これから学ぼう。

―――――――――――――――――――――

空港だけでもこんな感じで、6年ぶりにアジアに戻ってきた瞬間あらゆるところで違和感を感じました。しかしそれを私はとても嬉しく思います。私が欧州の人たちの中ににちゃんと溶け込んでいたという何よりの証拠だから。向こうにいたときは隔たりを感じたことも多かったけど、知らぬ間に現地人のふるまいを身に着けれていたんだなぁと嬉しい気持ちです。

 

移住先にしっかり適応すること。現地の言葉を話し、現地の食べ物を食べ、現地人の習慣に適応し、文化や宗教、思想などを知って考え、共感する部分は吸収し溶け込んでいくこと。ずっと変わらない私のモットーです。

あたりまえですが海外にもいろんな考えの日本人が住んでいます。
日本人で固まり、日本人とだけつきあう人もいます。日本国籍の人には”日本人としてのふるまい”みたいなのを求める人もいます(年配のおばさんにマジで多い)。外国語を使いたくない人ももちろんいます。色んな意見があって当然です。それでいい。その人自身が納得し、幸せに過ごすのが一番です。

しかし私は狭い思考で行動を制限する人たちとは楽しく過ごせない。視野を広く持って、ここでしかできない体験やここでしか見れないものや人たちに積極的に触れ、貪欲にいろんなものを吸収していきたいと思っています。

なにはともあれ、あの日本人カップルが上海で幸せなひとときを過ごせますように!