ドイツの大学でペルシア語勉強してみた体験記


ドイツで大学生だったころに受けたペルシア語の授業の形跡が残っていたので紹介します。


1.ペルシア語ってどんな言語?なぜペルシア語を選んだか?

ペルシア語はイランの公用語です。別名ダリ語。文字はアラビア文字。しかしアラビア語になくてペルシア語にある文字がいくつか存在します。読み方と発音はアラビア語と基本的に同じ。ペルシア語にアラビア語からの借用語が多いのは、宗教の影響を受けているからかな?場所も中東だし。しかしペルシア語とアラビア語の意思疎通は不可能。文法は全く似ていません。

私はとくにペルシア語に触れたこともなかったし、イラン人の友だちもいません。なのになぜ選んだかと言えばまず単位のためです。私の学部は、主専攻と副専攻以外の学部の単位を一定数取ることが義務付けられていたため、それに沿ってインド学部に属するペルシア語を取りました。二つ目の理由はアラビア文字を使うからです。チュニジアで半年ほどアラビア語を学んだ私にとって、読み書きが比較的容易だと思ったこと。最後の理由は、空き時間にたまたまペルシア語の授業があったことです。結局なんでもよかったんです。いわば偶然の出会い。

 

2.インド学部の学生って?

ペルシア語は言語学的にインド、ヨーロッパ族→インド、イラン語→イラン語族となっているため、大学ではインド学部の学生がペルシア語を必須科目として学んでいます。

インド学部は驚くべき多国籍でした。私の学部(音楽学)だって20%ぐらいが外国籍の学生でしたが、インド学はきっと半分超えてたんじゃないかな?私が参加したペルシャ語のクラスは12人ぐらいでしたが、ドイツ人はまさかの一人でした。え?ここドイツの大学やよね?と思ったぐらい。スペイン、ヨルダン、インド、ルーマニア・・・って感じで国籍が全員違ったのがすごかった。授業では、ドイツ語を共通語としてイラン人の先生にペルシア語を学ぶという、面白い体験をしました。みんな発音がちょっとずつなまってますから、ドイツ人に交じって授業を受けるのとは違う気楽さを感じました。

私はペルシャ語のみ参加しただけなのでインド学全体はわかりませんが、必須科目なのにこんなに多国籍ってことは、実際にすごく多いんだと思う。びっくりしました。ドイツって移民や難民どころか、留学生も幅広く受け入れてるんだなと。

 

ここまででグローバルやな~!と思ってたらまだまだ。隣の席で仲良くなったヴィクトリアの生い立ちを聞いてみたらさらにグローバルです。彼女はロシアの家系らしく名字もなんとかフスキー、見た目もロシア人(金髪青い目)なのですが、ヨルダン国籍を持ち、母国語はアラビア語というのです。家族間でロシア語を使い、幼少期はヨルダンでアラビア語を話して育ち、10歳からドイツへ。ドイツ語も母国語者と全く変わらないレベルでした。

彼女は学生をする傍ら、アラビア語ーロシア語ードイツ語ー英語の翻訳家として幅広く活躍しています。アラビア語の発音も文字の書き方も母国語者そのものだった。成人になってから語学勉強してたんじゃ到底たどりつけないレベルだと感じました。私をはじめ、自称マルチリンガルには誰でもなれますが、本物のマルチリンガルは持っているすべてが母国語レベルだということです。

このように全く別の学部に行って、その学部の人たちに混じって勉強する経験を何度かしましたが、とても新鮮で面白かったです。学部によって全く雰囲気も違ったので。


3.ペルシア語やってみた感想

ペルシア語ってすごい不思議な言語です。初歩的な疑問かもしれないけど、なんで基礎的な文字や発音はアラビア語なのにインド語族と同列なんだろう?文法はきっとインド語に似てるんですよね。というかインド語から派生したと考えるほうが自然なのかな。アラビア語とインド語の中間取ったって感じなんだろうか?考えてみたら日本語も、中国語の文字を使うのに文法は韓国語と同系列ですよね。韓国語と中国語の中間をとったのが日本語。すげー、そう考えたらなんか(日本語母国語者の)私、ペルシア語とつながりがある気がしてきた(?)。

くだらないこと考えてないで私が授業中に体験したこと書きましょう。

私は最初、アラビア語知ってたら有利かと思ったけど、逆に混乱します!!ヴィクトリアみたいに母国語レベルの人には当然有利だろうと思いますが、私みたいにちょっと初級に毛が生えた程度の人にとっては超混乱する。

なんでかというと、同じつづりで書き、同じ発音をする単語の意味が異なるという現象が頻繁に起きるから!


たとえば
「シャハル(شهر)」という単語は
アラビア語では「月」という意味なのですが
ペルシア語の中でこれが出てきて
月と訳したら大間違い、
「都市」という意味になる。


日本語にたとえると
「りんご」という単語の意味が
ペルシア語では意味もなく
「ペン」と理解されるようなもんです。(適当)


は!?りんごはりんご以外ないやろ!!!!って何度思ったか。ホントに混乱するし、次アラビア語に触れたときも、あれ?これはどっちの意味やっけ?ってなりそうです。

でも中国語と日本語も少しだけそういうところがあって、たとえば「手紙」の意味は中国語ではトイレットペーパーだし、「勉強」は無理をするって意味でしょう。やっぱり日本語とペルシア語ってつながりが・・・・・!(ひつこい)でも中国語は文字は同じでも発音は違うのでまだましですが、ペルシア語は発音まで一緒。まじでややこしい。

しかしそういう矛盾をともに分かち合えるヴィクトリアがいたのは助かりました。結局はペルシア語はあまり身にはつかなかったけど、とても楽しく授業を受けたのでした。

上記の写真は試験の前にやった練習問題。基本的な現在形の動詞を使ったペルシア語文をドイツ語に訳すというもの。試験ではこれよりもかな~り長い文が出てちょっとあせりました。

もちろん右から左に読みます。