あるブラジル人の思考【ドイツ】


大学一年生だった時、ちょっとでも多くドイツ語に触れるために、上級文法復習という交換留学生のためのクラスに参加していました。

その中でできた唯一の友達がブラジル出身のジェイエ。
米イエール大で神学を学んでいる交換留学生で無頓着な外見、ガリ勉の研究者タイプ。

プロテスタントであるジェイエは、私のほぼ知らない分野である神学について、キラキラした顔で色んなことを話してくれました。宗教学と神学の違いは何?と超初歩的な質問をした時は、授業そっちのけで語ってくれました(絶対周りに迷惑だった、すみません)。それぐらい神学ラブ、そしてよく勉強している優秀な学生でした。

 

文法のクラスというのは語学学校の延長みたいなもんで、練習問題を解いて、特定の文法を使って文を作るという作業を延々と繰り返します。

ジェイエは練習問題は律儀に全部解くんですが、文を作る、ということをなぜか頑として拒んでいました。

「クリエイティブがとても嫌いなんだ」

だそうで、一回も作ったことがありません。
ドイツ語に自信がないわけではなく、彼ぐらいのレベルなら余裕でできるのに、です。


ていうかそれ、我らがアインシュタイン博士の名言

想像力は知識よりも重要だ。知識には限界があるからだ。

に真っ向から否定してもうてるやんな。



ある日先生が
「助動詞を使って文化の違いについての文を作ってください」
というかな~り簡単なレベルの課題を出した。


これおもろいやん!やろうや!ブラジルではどんな習慣があるん?と聞いた私にジェイエは、「クリエイティブな作業はつまらんねん」といつものつれない答え。結局この日もひとつも作らなかった。

そして発表の時間

中国人「高校までは皆制服を着なければならない」
アメリカ人「大学生はどんな格好で来てもいいが、裸足でだけは来てはいけない」
韓国人「プレゼントはその場で開けず、家に帰ってから一人で開けるべきだ」
コンゴ人「家に招待されたら自分も料理を持っていかなければならない」

などなどありふれた助動詞文が揃う中

イタリア人「カプチーノは朝しか飲んではいけない」

え????????

みんな一斉にハテナ顔。


それ聞いたことない。

カプチーノとかピザ、パスタに続くイタリアの有名単語やん。
午後にカプチーノください言うたらアカンかったら観光客は何頼んだらええん?

と先生が突っ込んだので、イタリア人が慌てて
それはカプチーノ飲むことが朝以外飲む習慣がなくてな・・・・
と弁論したからみんなが笑った。

私も笑いながら隣を見ると、なんとジェイエも一緒に笑っている。
顔には へー知らんかった とまで書いてある。

つまらんクリエイティブな文に笑ろてはるわこの人・・・。
ただのツンデレかね。

 

と言ってもこんなにクリエイティブについて否定的な人に初めてお目にかかったので、何十年後かに知識を溜めに溜めたジェイエが博士にでもなって

「知識はクリエイティブに勝つ!!知識に限界もくそもあらへんねん!!」

とかいう反アインシュタイン主張をしてたりして。とか想像してしまった。

 


人間は変わったやっちゃなと思うぐらいが個性的で丁度いい。