ビーガンレポートNo.6【新竹・台湾】


台湾では、外に出るとよく【素食】といった看板を見かけます。ベジタリアンまたはビーガン料理という意味。

厳密には台湾では、ベジタリアン⇒蛋奶素,ビーガン⇒全素または纯素と単語が分かれていますが、「素食」は肉と魚が入っていないすべての総称をいいます。

しかし厳密にいうと、欧米の一般的なビーガンの定義は台湾でいう全素ではなく、五辛素に分類されます。五辛素とは、仏教では食べないとされている味の濃い調味料になるものです(ニンニク、ニラ、玉ねぎ、ラッキョウ、ねぎ)。なので台湾でいう“全素”は動物性食物だけでなく、植物性だけれども味が濃い5つの調味料も使わない仏教的発想のビーガンをあらわすそうです。

中国語の食の多様性をあらわす単語一覧

海鲜素 = ぺスクタリアン(魚を食べる)

蛋奶素 = ベジタリアン(卵と乳製品は食べる)

蛋素 = ベジタリアン(卵を食べるが乳製品は食べない)

奶素 = ベジタリアン(乳製品は食べるが卵は食べない)

全素,纯素 = ビーガン(動物性食品は一切食べない)

五辛素 = 仏教的ビーガン(動物性食品+5種類の調味料は食べない)

日本や中国ではこれほどの数のベジタリアン&ビーガンをメインにしたお店は見かけません。同姓婚もそうですが、食の多様性についても台湾はアジアの先頭をきっているのだなあと感じます。

そんな台湾の新竹で食べたビーガン料理を紹介します。

新竹には素食レストランが固まっている場所があります。このストリートにあったレストランで食べたビーガン料理店を3つ紹介します。庶民的な範囲ではありますが、気持ちちょっぴりお高め。(150~300元ぐらい)

 

1.籽田野菜屋(新竹市東区世界街)

ラーメンが売りの日本食レストラン。メニューはすべてベジタリアン&ビーガンです。いつ通っても外にお客さんが並んでいます。たいていは若い人たち。中は狭く、カウンター席と小さなテーブルがいくつかある程度。しかしとても人気のお店なようです。ネット上での評価は満点に近い。

お店の中は日本のラーメン屋と居酒屋を合わせたような、独特な雰囲気があります。カウンターもあり。木をうまく使ったレイアウトです。日本のフィギュアがおいてあったり、のれんだったり、戸がガラガラだったり、日本の歌が流れていたりして日本風の空間です。

しかしお店のレイアウトの他に私がとっても感心したのが、徹底的に生産性を重視したシステムであったこと。ずっと満員で、常に20人ぐらいのお客さんがいるにもかかわらず、厨房と接客のすべてを3人の若い男性が回しています。

すごくない!?料理も全部3人で作るんだよ!ベジタリアンやビーガンじゃなくても、いろいろなことを学べそうなお店です。最高の生産性でまわせるよう、すべてが計算されつくされている。

さらに最小限の接客でなおかつ満足度が高くなるよう、いろいろな工夫がしてある。

たとえばこれ。

机の下が引き出しになっており、箸とティッシュケースが。きっと一晩何もしなくても足りる数だけ入っているのでしょう。

さらに注文と同時に先にお金を払うシステムで、最後のお会計の手間も減らす。(しかし追加注文するたびに払うのは手間かもしれない)

料理はお盆にのせ、お茶を含むすべてを一気に持ってくる。

食器は十分に用意してあり、狭い厨房には食洗器も完備。洗う手間を省いている。

メニューはラーメンが6種類、どんぶりなどのご飯類が4種類、つけ麺などその他の麺類が3種類。そのほかにサイドメニューや小さなデザートがある。

ほとんどの人がラーメンを食べていた印象だった。

食器にも雰囲気に合うよう、こだわっている。

私はキムチラーメンを頼んだ。ビーガン。野菜たっぷり。(180元=約600円)

麺は若者が好みそうな細め、味はとても薄い。薄すぎる印象。キムチは安物(味がかなり浅かった)。精進料理の味を意識しているのか、健康的に食べもらおうというコンセプトなのか、日本の薄味を真似たのかよくわからないが、味は五辛素を使っていないと思った。でも野菜が多く、色合いもとても綺麗。

友達が食べたのは醤油ラーメン。ベジタリアン。(160元=約580円)

野菜の種類が先ほどのキムチラーメンと少し異なっている。凝ってるなあ。ベジタリアンなのは卵があるせいです。それ以外はビーガン。味の感想はちょっと薄すぎたようで、あまりお好みではなかった様子(友達はドイツ人)。

最低時給は150元の新竹ではちょっとお高めの値段だけれど、日本人の私的には、このクオリティーなら十分納得のお値段でした。ちなみにつけ麺を食べたビーガンの友達(ドイツ人)は、今まで台湾で食べたビーガン料理の中で一番おいしかった、と感激していた。タレがおいしかったみたいです。

連日行列ができているわりには、ラーメンの味はかなり薄めで、あまり味に関する特徴はない印象です。しかし、程よく狭い空間で心地のよいライトに照らされて、みんなで気持ちよく食事ができた気がしました。

あと、人気の理由の一つはこれだろうな。

可愛くておとなしい猫が2匹、食事に付き添ってくれる。猫は賛否両論があると思うが、欧米ではレストランにペットと入るのは普通だし、台湾でも受け入れられている気がした。個人的にはあれだけの高評価な割には、味は日本のそのへんのラーメン屋さんのほうがおいしい・・と思ったが、マーケティングお上手な賢いレストランだということのほうに感心しました。

 

2.蔬覓・Veggie holic

上に紹介したレストランの向かい側にある素食レストラン。ポメラニアンの子犬がいます。あれなのかな、レストランにペットがいるのは、素食で動物愛護という主張なのかなと思ったりもする。

30代ぐらいの女性が二人で切り盛りしています。厨房は見えないので何人いるかわかりません。お店は大きなテーブルが二つだけあり、一人で来る人も多いですが、みんなで1つのテーブルを囲んで座ります。見知らぬ人と隣どおしで座ることも。お昼のセットメニューがお得なため、お昼は平日でも満席。

こちらのお店もラーメンがメインです。ボリュームは1番目に紹介したレストランのラーメンの倍はある。たくさん食べたいならこっちを選ぶべき。そして味も濃い。

トマト味のラーメン(红烧番茄)

辛いラーメン(香麻辣味)

苦めのラーメン

どのラーメンも味は濃いめです。写真からは分かりかねますが、独特の味がそれぞれあります。特に苦めのラーメンは日本ではあまりお目にかからないような味です。薬っぽい感じかも。好奇心旺盛で新しいものに挑戦したい人にお勧め。

またラーメンはバイキング形式にもなっており、好きな野菜を選んでスープの味を選んでラーメンを作ってもらうこともできます。ただし野菜はすべて有機なので上記のラーメンメニューよりは高くなります。

ラーメン以外にも、お米料理もあったよ。たとえばこれはカレー味。ご飯は赤飯です。もちろんビーガン。

これは赤飯のドリア。チーズが入っているのでベジタリアンです。

他にも韓国系の料理などもありました。それぞれの料理に味の特徴が出ているので、何度か行ってみてもいいかもしれません。

 

3.井家 Tea House(新竹市東区世界街)

最後は、台湾人の友達のお勧めで行ったところ。ここはビーガンというよりベジタリアンかもしれません。

シンプルな外観。ガッツリ食事というよりカフェ的要素のほうが多いかも。

お客さんはほとんどが女性。接客も全員女性。私が行った時にはワーホリ中の日本人女性が1人いました。店内に日本語の表記も見られる親日カフェ。

料理はこんな感じ。お昼のランチメニューだったと思います。お皿の右上にあるエリンギの揚げ物以外はすべて冷たい。サラダ系。

エリンギは揚げたものか焼いたもの、そしてその隣の白い容器に入ったものはヨーグルトかプリンを選択することができました。
写真は揚げたエリンギとプリンを選びました。

そのほか、パンケーキを3つ、ショーケースから選ぶことができます。10種類ぐらいあって、ほとんど甘い系でした。

プリン、ヨーグルト、パンケーキのほとんどはビーガンではないので要注意。パンケーキはビーガンの人はお店の人に確認してから選んだほうが良いです。

健康でがっつりな昼食といった感じで、いろいろな野菜を少しずつ食べることができる結果、お腹いっぱいにもなるので満足感は高いです。味もそんなに印象にのこることはないけど、普通においしい。値段は300元近くするので、台湾にしてはけっこう高い。でもとても人気のある店のようで、予約しないと待たなければいけないこともよくあるようです。

また、昼食後にカフェとして長時間会話にあけくれる人たちも多く、居心地の良い店だなあと思いました。健康にお腹いっぱい食べて、そのあとにカフェで優雅な午後を過ごしたいときにぴったりのお店かもしれません。

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