方法と理由の前置詞 -Modale und kausale Präpositionen- 【ドイツ語文法34】
方法の前置詞(Modale Präpositionen)と理由の前置詞(Kausale Präpositionen)は会話でよく使われるものと書面でしか使われないものがあります。
具体的に言うと半分ほどは会話でもよく使いますが、残りの半分以上はほぼ書面のみで使われると思ったほうがいいかもしれません。
(前置詞のリストはこちら(訳なし)。今回紹介するものよりはるかに多くの方法・原因の前置詞があります。)
今回紹介するのはよく会話で使われる方の前置詞です。
方法の前置詞は「どうやって行く?」のようなwie?という疑問に答えるものです。方法の前置詞の疑問詞はwieだけでなくwelcheなど多種多様です。
原因の前置詞は「なんで今日行かないの?」のようにwarum?に答える前置詞です。
どちらもいろいろな表現方法があるために、前置詞を使う表現はその選択肢の中の一つだと考えておきましょう。
方法の前置詞
まずこちらの3つの前置詞から。
mit, ohne, statt
mit+三格(~と、~で)
ohne+四格(~なしで)
statt / anstatt+二格(~のかわりに)
例:乗り物編
A:Wie fährst du nach München?
(どうやってミュンヘンに行くの?)
B:Ich fahre mit dem Zug nach München.
(電車でミュンヘンまで行くよ。)
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A:Fahren wir mit dem Auto in die Stadt?
(車で街まで行く?)
B:Nein, statt des Autos nehmen wir lieber die U-Bahn.
(いや車より地下鉄にしよう。)
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A:Wie ist er ohne sein Auto von der Arbeit nach Hause gegangen?
(彼は車なしでどうやって職場から家まで帰ったの?)
B:Adrian hat ihn abgeholt. Ohne ihn konnte er nicht heimgehen.
(アドリアンが迎えに行ったんだよ。彼なしじゃ家に帰れなかった。)
例:人物・動物編
A:Mit wem fährst du nach München?
(誰とミュンヘンに行くの?)
B:Mit meiner Familie fahre ich nach München.
(家族と行くよ。)
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・Ich gehe gleich mit dem Hund Gassi.
(もうちょっとしたら犬と散歩行ってくる。)
・Mama, gehen wir heute ohne Papa einkaufen?
(ママ、今日はパパなしで買い物行くの?)
・Sie schrieb ihm statt mir.
(彼は私の代わりに彼にメールした。)
・Willst du mit uns essen?
(一緒に食べる?)
・Ich fahre ohne meine Freundin in Urlaub.
(僕は彼女抜きでバカンスに行く。)
・Mit mir waren es sieben Gäste.
(私を入れて招待客は7人です。)
例:その他
A:Wie möchtest du deinen Kaffee? Mit Milch und Zucker?
(コーヒーどうする?ミルクと砂糖入れる?)
B:Nur mit Milch, aber ohne Zucker.
(ミルクだけで砂糖なしで。)
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A:Kann ich statt der Suppe einen Salat haben?
(スープの代わりにサラダにしてもいいですか?)
B:Ja, gerne.
(もちろんです。)
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・Ich möchte in Zukunft ein Haus mit Garten haben.
(将来は庭付きの家が欲しいな。)
・Der Preis beträgt 50 Euro mit Steuer.
(値段はで税込みで50€です。)
・Ich bin gestern ohne Geld aus dem Haus gegangen.
(昨日お金を持たずに家から出ちゃった。)
・Ohne Anstrengung wirst du nichts erreichen.
(努力なしではなにも成し遂げられないよ。)
・Anstatt des weißen Kleides ziehe ich lieber das rote an.
(白いドレスに代わりに赤のほうを着ることにする。)
・Das hat er mit Absicht getan.
(彼はそれをわざとやった。)
・Die Mädchen spielen mit Puppen.
(女の子たちが人形で遊んでいる。)
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例を見ても分かるように、mitとohneはだいたいは同じ文に当てはめて意味を変えることができます。
例えば
Das hat er mit Absicht getan.
(彼はそれをわざとやった。
このmitをohneに変えると逆に意味になりますね。
→Das hat er ohne Absicht getan.
(彼はそれをうっかりやってしまった。)
また、statt(anstatt)は二格が正式な言い方ですが、会話ではほぼほぼ三格で使われます。しかし書面ではちゃんと二格で書きましょう。
それではもう2つ、似た意味をもつ方法の前置詞を紹介します。
außer, bis auf
außer+三格(~以外)
bis auf+四格(~以外)
例文
A:Welche klassische Musik hörst du gerne?
(どんなクラシック音楽聴くのが好き?)
B:Außer Chopin höre ich keine. / Bis auf Chopin höre ich keine.
(ショパン以外は聴かない。)
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A:Ist noch jemand zu Hause?
(誰かまだ家にいる?)
B:Nein, außer mir ist keiner da.
(ううん、私以外いないよ。)
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・Außer dir habe ich keinen Freund.
(私は君以外の友達がいない。)
・Man hört nichts außer dem Ticken der Uhr.
(時計の音以外何も聞こえない。)
・Das Kraftwerk ist außer Betrieb.
(その発電所は稼動していない。)
・Ich bin gerade außer Atem.
(今息が切れてる。)
*決まり表現
außer Betrieb=休業中・稼動外である
außer Atem=息切れ
・Bis auf ihn sind alle gekommen.
(彼以外は全員来た。)
・Bis auf meinen Freund ist bei der Prüfung niemand durchgefallen.
(私の彼氏以外は誰も試験に落ちなかった。)
・Bis auf mich haben alle die Geschichte mitbekommen.
(私以外は全員その話を聴いて知っていた。)
原因の前置詞
最初に接続詞“weil”に代わって使える前置詞を紹介します。同じ内容なら前置詞を使う方がweilより短く言えるので、新聞など文字制限のある書面では使われることが多いです。
wegen, aufgrund
wegen+二格(~のせいで)
aufgrund+二格(~が原因で)
この2つの前置詞の意味は非常に似ています。さらにどちらも二格支配ですが、会話の時は二格を使うネイティブはいません。会話の時は三格で表現することをおすすめします。
しかし二格の前置詞は、人称代名詞がつくと正式な言い方でも三格です(wegen ihrなど)。
例文
A:Warum kommt er noch nicht?
(なんで彼はまだ来ないの?)
B:Wegen eines Unfalls hat die Bahn Verspätung.
(会話:Wegen einem Unfall hat die Bahn Verspätung.)
(事故のせいで路面電車が遅れたんだ。)
*weilの文:Weil es ein Unfall gab, hat die Bahn Verspätung.
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A:Warum ist heute das Restaurant nicht geöffnet?
(なんで今日レストラン開いてないんだろ?)
B:Wegen des Umbaus ist es geschlossen.
(改築のせいで閉まってるんだ。)
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A:Bleibt ihr heute zu Hause?
(今日は家にいるの?)
B:Aufgrund des schlechten Wetters konnten wir heute nicht raus.
(悪天候が原因で今日は出かけられないんだ。)
*aufgrundは議論など複雑や高度な文の表現によく使われるもので、日常的な会話ではほぼ使われないため、よく使われるwegenの例文を以下出します。
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・Er wurde wegen eines Diebstahls zu einer Geldstrafe verurteilt.
(彼は窃盗のせいで罰金を言い渡された。)
・Wegen des defekten Wagens wurde die Straße blockiert.
(壊れた車のせいで道路が遮断された。)
・Wir müssen wegen des schlechten Wetters zu Hause bleiben.
(悪天候のせいで私たちは家にいなければならない。)
・Du brauchst dir wegen mir keine Sorge zu machen.
(私のために心配する必要ないから。)
・Er hat es wegen des Geldes getan.
(彼はお金のためにそれをした。)
*wegenは日本語で「~のせい」と訳されることが多く、ネガティブな原因を表現するときに使うと思われがちですが、最後の2文のように「~のために」のような使われ方をすることも多いです。
Wegen mir haben so viele Leute gefeiert.
(僕のためにこんなにたくさんの人がお祝いしてくれた。)
など、 完全にポジティブな使い方もできます。
もう1パターン、原因の前置詞として紹介しておきたいのがこちらの2つです。
aus, vor
aus+三格(~から)
vor+三格(~のあまり)
この2つの前置詞は「喜び」「悲しみ」「同情」「心配」といった感情表現と結びつくことが多いです。そのため、三格支配ですがゼロ冠詞が多いです。
例文
A:Warum hast du ihm geholfen?
(なんで彼を手伝ったの?)
B:Ich habe ihm aus Mitleid geholfen.
(同情からだよ。)
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・Sie hat vor Freude laut geschrien.
(彼女は嬉しさのあまり大声で叫んだ。)
・Aus Langweile habe ich im Unterricht auf dem Buch gezeichnet.
(つまらなくて授業の間本に落書きをしていた。)
・Vor Kälte zittert die kleine Katze.
(小さな猫が寒さのあまりふるえている。)
・Vor Schmerz musste sie die ganze Zeit Schmerzmittel nehmen.
(痛みのあまりいつも鎮痛剤を打たなければならなかった。)
・Aus Neugier habe ich mir das Buch gekauft.
(好奇心からこの本を買った。)
Ich schaue dieses Video aus Interesse.
(興味からこのビデオを見ているよ。)
Vor Stress habe ich Kopfschmerzen.
(ストレスで頭痛い。)
Vor Ärger konnte ich nicht klar denken.
(怒りのあまり頭が真っ白になったよ。)
*vorもausも基本的には同じ意味なのですが、vorのほうは衝動的、またはとっさの反応な感じがあります。
たとえば怖くて怖くてしょうがないときはausよりもvor Angstのほうがふさわしいです。
逆にausは自覚した感情であったり、自分で決定してそうしている、コントロールできている感情に対して使います。
まとめ
今回は会話でもよく使われる方法の前置詞5つと原因の前置詞4つを紹介しました。
mit+三格(~と、~で)
ohne+四格(~なしで)
statt / anstatt+二格(~のかわりに)
außer+三格(~以外)
bis auf+四格(~以外)
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wegen+二格(~のせいで)
aufgrund+二格(~が原因で)
aus+三格(~から)
vor+三格(~のあまり)
以上でした。二格支配のものは人称代名詞がつくときは三格になります。また、会話では人称代名詞だけでなくすべての名詞・代名詞も三格で表現されることが一般的です。書くときは二格です。
似た表現も多いですが、例文を参考にふさわしい場面に遭遇したらぜひ勇気を出して使ってみてくださいね^^
動画解説はこちらです。↓
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