中国の病院。システムが違う上に中国語しか通じない。診察の流れを解説。


2018年4月の出来事です。中国の病院にいってさんざんな目にあいました。上海屈指の大病院だったにもかかわらず。あそこまでシステムが違うとは思わなかったのでここに情報を。

中国生活は楽しいことのほうが圧倒的に多いですが、実は上海生活1日目に予想外の出来事があり病院にいました。

しかし中国語がそこそこ大丈夫な私でも病院のシステムが分からず、広い病院内を右往左往し、結果さんざんな目に遭いました。これもし外国人観光客とかならどーすんの!?どーやって対処すんの!?と不思議に思ったのでここに行程を書いておきましょう。
会社などのバックアップを持たない個人旅行者や個人滞在者の方、何かあって中国で病院に行かなければならなくなった時のために、ぜひ一読ください。その時は突如訪れるかもしれません。私は急診で時間勝負だったにもかかわらず相当もたもたしてしまったので、あらかじめ準備しておくべきだったと反省しています。

まず上海の初日に何があったかというと、私ではなく一緒にきた西洋人が(190cm)西洋より低い中国の天井のでっぱり(しかも角)に運悪く頭をぶつけ、けっこうな量の出血をしてしまったのです。

出会ったばかりの中国人同僚に近くの病院の名前を教えてもらい、タクシーで病院へ。すごく大きくて立派な大学病院でした。上海の中でも優秀で有名な病院らしい。着くと正面には”門診”、左側に”住院”、右側に”急診”の文字が(実際は簡体字です)。
血が止まっていないようだったので急診でいけるだろうと思い、右側へ。

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・診察までの流れ(急診)

急診から中に入ると正面に小さなインフォメーションのような場所があったので、そこにいた若い女性に事情を話します。するとカードナンバーが書かれた小さな紙と診察記録書を渡されます。まずは名前だけ記入すれば十分らしいです。これが記録書↓

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この中に医者が診察を記入し患者が自分で保管するんです。医者側はネットのみでカルテを管理しています。・・しかし私、相当焦っていたようで普通間違えないでしょっていう書きミスしていますね。こーゆーところに心理って出ますよね。

さて、その次は近くにある”挂号”という窓口を探します。”挂号(guà hào)でお金を払ってきて”と言われるはずです。門診の場合は直接この窓口に行ってお金を払うそうです。(急診の場合は先にインフォメーション)

そう、中国の病院はまずお金払う → 診察してもらえる!

挂号にいくと、初診の場合カードを発行してもらえます。銀行カードのようなちゃんとしたやつ。そしてその中に患者のデータが蓄積されます。最初の診察は(たぶん)自費の場合一律24元。え、400円?やすっ。ちなみに保険証を持っている人はこの時に提示します。保険がある人は18元らしいよ。・・あんまり変わらないね。領収書がこちら↓

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診察番号を赤い〇で囲みました。103番。さあどこだ??・・・わからん!と思ってその辺の看護師さんに聞く。ぶっきらぼうですが指さして教えてくれます。幸い急診外科の診察部屋は一つしかなかったのですぐに分かりました。

医師に領収書を見せて診察が開始されます。色々聞かれますが、すべて中国語。症状は本人から伝えたほうがいいと思い、医師に英語で話して大丈夫ですよと促したけど中国語のままでした。英語話せないのかな?苦手なのかな?と思ったけど医師なら最低限はできるよね。しかし中国語以外での意思疎通は大変な感じを受けました。ちなみに看護師は100%中国語しかできないと思ったほうがいい。

今回は頭部の損傷なのでCTを撮って、そのあと2,3針縫うことになりました。医師がカードにPCで内容を入力します。そしてそのカードを持って再び挂号へ。
そうなんです。毎回、次の処置が行われる前にお金を払いに行くんです!
なんという二度手間!当然それなりに並んでるし時間もかかるしメンドクサイし。なにより、まだ血が完全には止まってないのに!とほんとに焦る気持ちでした。

しかし日本のように最後にお会計だとお金払わないで帰っちゃう人、けっこういるんだろうな~。だから先にお金払わなければ何もしないというスタンスですね。もちろん、命にかかわるようなときは何より救急処置が先でしょうが。

さぁ、やっとお金を払った後CT室をうろうろ探します。ちなみにCTは自費で270元(約4500円)。放射線科の先にありました。CT室の前には人だかりができていて待ち番号が出ていましたが、急診だったので飛び越してすぐにやってもらえました。しかしこれはCT室の扉が開いた瞬間に入り、中にいる放射線技師?に領収書を見せて”急診です!”と自ら言う必要があります。そうすると放射線技師の人が待ち番号を前にしてくれるようです。
わからなければ積極的に聞きましょう。待ってる患者さんに聞いても教えてくれるはずです。待ってるだけだとどんどん抜かされます。

CT画像は1時間後に出るということで、診察室の医師のもとに戻り、先に縫合をしてもらいました。縫合は125元でした。ちなみにネットの医師カルテには5分後にはすでにCTがあがっていたようで、チェックしたうえで脳内に損傷はないだろうということでした。ここで初めてホッ・・・・・。

そのあと、注射が必要だったのでまたまた挂号に舞い戻って注射代を払い、言われた場所に行って注射器と投薬を貰い、注射室へ。すごいでしょ、全部患者が取りに行って必要な場所へ持って行くんです。場所だってそんな簡単に見つからないし遠いし、ホントに歩き回りましたよ。患者をこれだけ歩かせるって症状によってはけっこう消耗すると思う。看護師が動かないシステムですね。

ちなみに注射担当の看護師はちょー機嫌が悪く(いつも?)、やたらと怒られました。アレルギー反応のチェックが最初に行われ、15分待ってと言われて外で待って、15分後ぴったりに入ったら”まだでしょ!あと5分あるでしょ!”とかって切れられました。アンタに打ってもらうしかないから我慢するけどな・・。

最後にCT画像を印刷機でコピーし、医師に見せに行くも”もう見たからそれ持って帰って”と言われ、長かった中国の病院初体験がやっと終わりました。持って帰ってきたCT画像はこれ。専用の袋も置いてあります。まじのX線やんか・・・。何度も撮ってる人ってこれ、全部保管してるんかな。しかもA3サイズ?もっと大きい?↓

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ここまでの行程ににどのぐらいの時間かかったでしょうか?
負傷した時間が9時半ぐらいだったかな。
最初の挂号が9時50分→診察
次のCTと縫合の挂号が11時11分→CTと縫合
注射の挂号が13時13分→注射。

全ての処置が終わるまで、約3時間病院にいました。どうですか?日本に比べ長い?短い?

たぶん外科急診にしてはかなり長かったのではないでしょうか。でもね。これは私が事前に準備していなかったせいです。幸い、外傷だけだったのでよかったもののもし内部も損傷していたら・・・こんな時間がかかっては危なかったかもしれないでしょう。

診察とCTの間の1時間20分ものラグに何をしていたか。それは、CTと縫合の挂号の際にもっていた現金が足りなかったことが原因です(CTと縫合もろもろで630元)。防げた時間ロスです。

中国はいまやほとんど携帯で支払われています。現金は極めて少ない。しかし、病院では携帯では払えません。現金のみなんです。用意していなかったらどうなるか。どこかでお金をおろさなければ処置が受けられません。病院には一つATMがありますが、故障していて使えず。つまりあてにしてはいけません。病院のとなりにあった銀行のATMに行ってみるも、VISAやPLUSなどがことごとく使えずに途方にくれました。

先にお金を払わないとCTを撮ってもらえないので、ここで仕方なくヘルプ。中国人の同僚にかけつけてもらい、立て替えてもらいました。ATMを探している時間と同僚が来る時間が1時間20分のタイムラグになり、怪我人は頭に包帯をまいたまま待ちぼうけ。この間に何も起こらなくてよかった。

なのでCTから先は中国人に手伝ってもらい、なんとか切り抜けることができたのでした。しかし中国人と一緒でも部屋を探すのに散々迷いました。人も多いしとにかくごちゃごちゃしています。

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・中国の病院に行く前の準備、認識

1)現金を準備すること!自費でも日本や欧米に比べ格安です。そういう意味では行きやすいです。持ち歩く必要はないけど、現金で1000元ぐらいはいつでも持って行けるようにしておいたほうがいいかもしれません。急に行かなければならなくなった時に、ATMを探して下ろす時間などないから。後払いもできないし。

2)できれば現地人をつれていくこと!中国語じゃないと通じません。全ての行程をこなすのも理解できなければ厳しい。最悪医師には英語でいけるでしょう。でも医師以外は完全に中国語です。中国人の知り合いか、何かあったときに助けてくれる人を確保しておきましょう。でないと本当に難しいと感じました。

3)病院はサービス業じゃない。医師は良識な感じを受けましたが、看護師はとにかく怖いです。上海屈指の有名病院でもこのレベルです。とくに女性はちょっと何か聞いただけでも運が悪ければ叫ぶし大声で怒られます。看護師としての腕は知りませんがとにかく無礼。忍耐力もびっくりするほど持ってません。びびらないように。病院はサービス業ではありません。むかついてもやってもらわねばならんのです。負けずにしっかり主張しましょう。

誰しも病院には行きたくないものです。一生行かずに済めばどれだけ幸せか。しかし予想だにしなかったことに遭遇し、突如病院に行かなくてはならない可能性だってあります。自分ではなくても、連れの人だったり付き添わなくてはならないこともゼロじゃない。身体を負傷したら行くしかないんだから。

これまで私も大丈夫やろ、とかなり楽観視して病院についてなど調べてもいませんでしたが今回のことで反省しました。中国の病院では現金がいる、という一言を知っていただけで1時間は早くCTを撮れたんだから。
あと、最悪中国語がわからなくても、”挂号”システムとその意味を知っているだけでも全然違うかもしれない。私はそれすらも知らなかったので一から全部、怒られながら聞かなければなりませんでした。

ちなみにドイツでは、医療を受けた際の請求書は後日、手紙で送られてきます。つまり何かあって病院を利用した場合、その場でお金を持っていなくても全然問題なし。ちゃんと処置してくれます。(自費の人は)後日銀行に振り込むシステムなんです。(その前に保険入っていれば100%なので払う必要ないんですけどね!)

ほんと便利だよね、欧州ってそういうところ。

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