過去の表現3:過去完了形【ドイツ語文法22】


Nachdem die Frau getankt hatte, fuhr sie mit dem Auto nach Hause.
(その女性はガソリンを入れた後、車で家に帰った。)

これは副文+主文、つまり2文からなっています。

文1)Die Frau hatte getankt.
(女性はガソリンを入れた。)

文2)Sie fuhr mit dem Auto nach Hause.
(彼女は車で家に帰った。)

どちらも過去の出来事を表す文です。
ドイツ語ではこの中で、より過去に起こったことを過去完了形(Plusquamperfekt/Vorvergangenheit)で表します。
この例だと女性がガソリンを入れた出来事のほうが、家に帰ることよりも先に起こっているため、過去完了形(Nachdem die Frau getankt hatte…)が使われています。

過去完了形の形は:

sein/habenの過去形(Präteritum)+  過去分詞(PartizipII)
(seinとhabenの過去形はこちら)

過去完了形は、過去のある時点よりも前に起きたことを説明するときに使います。つまり2つの過去の時点がある時にのみ使うことができます。

過去完了形は日本語では「~していた」と訳されますが厳密には違います。

たとえば

✖ Ich war gestern zur Uni gegangen.

この文のように一つの過去の時点(昨日)しか入っていない時は、過去完了は使えません。

〇 Ich bin gestern zur Uni gegangen.

現在完了形が正解です。

日本語では「昨日大学に行ってたよー。」と「昨日大学に行ったよー。」どっちも普通に使えますが、ドイツ語には「昨日大学に行ってたよー。」という言い方はありません。ドイツ語に過去進行形はないので、直訳で考えると間違えます。

ではどんなときに過去完了が使えるのか?

簡単な例は

Gestern hatte ich Basketball gespielt und heute habe ich Tischtennis gespielt.
(昨日はバスケットボールをして、今日は卓球をした。)

文の中に2つの時点がはっきりとあります(昨日と今日)。
より過去に行われたほうを過去完了形にし、現在に近いほうを現在完了で表します。

また、以下のような時制を表す接続詞と一緒に使われます。
これらはすべて(1つ前の文法で習った)副文の接続詞です。一つずつ見ていきましょう。

どちらの動作がより過去か、を意識しながら読んでみてください。

 

nachdem(後に)

Nachdem er viel Alkohol getrunken hatte, hatte er einen Unfall.
(彼はたくさん酒を飲んだ後、事故にあった。)

Nachdem sie gefrühstückt hatte, ist sie zur Arbeit gegangen.
(彼女は朝食を食べたあとに仕事に行った。)

Mir war schlecht, nachdem ich den ganzen Kuchen aufgegessen hatte.
(私はケーキを全部食べ終わった後、気持ち悪くなった。)

 

als(したとき)

Als wir endlich am Bahnhof ankamen, war der Zug schon abgefahren.
(私たちがやっと駅に着いた時、電車はもう出発していた。)

Als es gestern zum ersten Mal geschneit hatte, ging ich spazieren.
(昨日初雪が降った時、散歩に出かけた。)

Als ich mein Handy verloren hatte, suchte ich ihn überall.
(私は携帯をなくした時、どこもかしこも探し回った。)

 

bevor(する前に)

Ich hatte noch nie Blumen gekauft, bevor ich meine Freundin kennenlernte.
(僕は彼女と知り合う前、花を一度も買ったことがなかった。)

Bevor ich Fußball spielte, hatte ich ein Glas Wasser getrunken.
(サッカーをする前に一杯の水を飲んだ。)

Bevor ich zur Arbeit gegangen bin, hatte ich gefrühstückt.
(私は仕事に行く前に朝食を食べた。)

まとめ:

・より過去の文を過去完了形にする。

・主文と副文の順番はどちらでも良い。

・より過去に起きたほうを過去完了にさえすれば、もう一つのほうは過去形でも現在完了形でも良い。

しかし一方で、上にあげた過去完了の入った例文は、すべて現在完了のみで表すこともできます。
(例:Bevor ich Fußball gespielt habe, habe ich ein Glas Wasser getrunken.)

むしろ話し言葉では現在完了+現在完了のほうが手軽に使われます。

ドイツ語の時制の現在形と現在完了形の範囲がいかに広いかを今いちど、思い起こさせますね。

過去完了は実際に使うよりも、理解しておくだけで十分に足りる文法かもしれません。

それでは練習問題をやってみましょう。回答は一番下です。

【初級】過去完了形の練習問題-Plusquamperfekt-【ドイツ語文法】

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2 コメント

  1. 初めまして。
    ドイツに住んでからこちらのサイトとyoutube両方で勉強させてもらっております。
    おかげで、仕事で時間がなくてドイツ語の語学スクールへ通うことができない私でも徐々にドイツ語を理解できるようになってきました。

    こちらの最後の方で言われている、

    >・より過去に起きたほうを過去完了にさえすれば、もう一つのほうは過去形でも現在完了形でも良い。

    というのは、
    会話ではやはり、もう一つの方は現在完了形を使うべきなのですよね?
    色々な問題集の過去完了の例文を見ると過去形になっている文章の方が多く見受けられるのですが、それは本やネット上だから過去形を使っていて、実際の話し言葉では現在完了を使うべきなのだろうと解釈しているのですが。。
    初心者ならでは質問ですみません。。

    1. 会話ではどちらの文も現在完了形が主に使われています(と、サイトにも書いてあるのでご確認ください^^)
      書面でより過去のほうをはっきりさせたい時などに使われる程度ですかね。
      文法の形として知っておくぐらいでいいと思います^^
      いつもありがとうございます。

 

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