bringenの基礎とその意味【ドイツ語動詞】
bringenは四格支配の動詞です。
基本的な意味は一般的に「持って行く/来る」「運ぶ」「届ける」と訳されることが多いです。
が、「持って行く/来る」や「取りに行く」の使い方についてはmitnehmen, mitbringen, holen, abholenという4つの動詞が使い分けており、すでにこちらで詳しく解説をしています。
使い方の違いをかいつまんで説明すると
mitnehmen:
自分のそばにあるものを持って行く+持ち歩く・人を連れて行く+一緒に行動するmitbringen:
自分のそばにあるものを持って行く+目的地に置くholen:
自分のそばにないものを取りに行くabholen:
自分のそばにいない人を迎えに行く
でした。ここまでしっかり復習し、意味を把握しておいてください。でないと次のbringenでこんがらがります。
それではbringenはどのような時に使うのでしょう。
bringenは4つの動詞の隙間を埋めるような意味を持っており、非常に似ているが細かい区別があります。そのためニュアンスの理解が困難です。
困難なのでひとつずつ丁寧にみていきます。
1.bringen v.s. mitbringen
まずはこの両者は何が違う?どちらも「持って行く」ですが、ニュアンスが違います。
文法は両方とも同じ構造で
bringen/mitbringen+三格+四格
=人(三格)に何か(四格)を持って行く。です。
最初に、bringenしか使えない文がこちらです↓
Ich bringe das Paket zur Post.
=私は荷物を郵便局に持って行く。
先ほどの復習をしていれば、この文はなぜmitbringenを使わないのか?と疑問に思うところでしょう。
はじめの説明に添って考えれば「自分のそばにある荷物を持って行き、目的地の郵便局に置く」のでmitbringenの条件は満たしています。
ここまでは同じですが、ここから違いがあります。
mitbringenは、目的地に他の用事があってついでに何かを持って行く
というニュアンスであるのに対し、
bringenは何かを持って行くためにのみその目的地に行く
というニュアンスの違いです。
だから上の例文だと「郵便局に行くのは荷物を持って行くためだけ」なのでmitbringenは使えず、bringenのみが使えます。
それではmitbringenの例文を、両者の違いを頭に入れながら読んでみてください。
・Ich bringe dir das Buch mit, das du lesen wolltest.
(読みたいって言ってた本持ってくるね。)
・Was soll ich dir aus dem Supermarkt mitbringen?
(スーパーで何を買ってこようか?)
・Was kann ich mitbringen?
(何持っていったらいい?)
これらの文は別の目的でそこに行くついでに“何か”も持ってくるという意味です。その何かを持って行っても行かなくても関係なく、目的地には行くと理解できます。
続いてbringenの例です。
・Der Kellner bringt dem Gast einen Kaffee.
=ウエイターが客にコーヒーを運んでいる。
*解釈:ウエイターはコーヒーを運ぶためのみに客のところに行っている
・Ich bringe das Essen zu meinen Eltern.
=両親のところへ料理を届ける。
*解釈:両親に会うことが目的ではなく、料理を持って行くことが主目的。
・Der Bus bringt uns nach Berlin.
=このバスは私達をベルリンまで連れて行ってくれる
*解釈:バスは人を運ぶことのみを目的とする
・Gestern wurde mein neues Klavier gebracht.
=昨日新しいピアノが(運ばれて)来た。
*業者はピアノを運ぶためだけに私の家に来たから
これらの例文はmitbringenの「持って行く」では違和感がありますね。やはりbringen一択です。
bringenは「持って行く」に「運ぶ」「届ける」がプラスした意味と解釈してもいいかもしれませんね。
☆☆
2.bringen v.s. holen
それではこの両者はどう違うでしょう。
とても微妙な違いです。
たとえば
・Kannst du bitte die Zeitung holen?
=新聞とってきてくれる?
・Kannst du mir bitte die Zeitung bringen?
=新聞持ってきてくれる?
前者と後者の文は、頼まれた人(du)と発言者の位置関係の違いです。
前者は発言者のそばに頼まれた人がいて、遠くにある新聞を取りに行き、また戻ってくるという意味。
後者は新聞のそばにいる人に、発言者が持ってくるように言ったという意味です。
つまり話し手と聴き手がどこにいるのかでこの2つの動詞を使い分けるわけですね。
この違いを頭に入れてbringenとholenの他の例文を見てみましょう。
1)Ich hole die Getränke aus der Küche.
=台所から飲み物とってくるよ。
*例)一緒にゲームしてて飲み物がなくなったので、一人が取りに行く、などのシチュエーション。
2)Hast du keine Stäbchen? Ich hole dir welche.
=箸ないの?取ってくるよ。*ご飯が全部テーブルの上に揃って、さぁみんな座って食べようと思っていたら一つだけ箸がおかれていなかったようなシチュエーション。
3)Kannst du mir bitte ein Badetuch ins Bad bringen?
=バスタオル風呂場まで持ってきてくれる?
*バスタオル置き忘れて風呂に入ってしまった人が気づいて、外の人に大声で叫ぶパターン。
1)と2)は両者が同じ場所にいるのに対し、3)は片方が風呂の中、片方は外にいるので動詞がそれぞれ変わってくるわけです。
☆☆
3.bringen v.s. mitnehmen
次は人の場合。
これは違いがわかりやすいです。
bringen=送っていく
mitnehmen=連れて行く
ちなみに「迎えに行く」はabholenですね。
文法は
bringen+四格(人)+場所の前置詞
これに対し、mitnehmenは場所の前置詞が入らないこともあります。
・Ich nehme dich zum Einkaufen mit.
=買い物に連れて行くからね。
・Ich bringe dich nach Hause.
=家まで送っていくよ。
・Ich habe meine Kinder zur Schule gebracht.
=子供たちを学校に送っていった。
・Wir bringen heute unsere Tochter zu meinen Eltern.
=今日娘を祖父母のところへ送っていく。
Ich bringe dich zur Polizei!
=警察に突き出すよ!!
4.その他のbringen例
bringenは抽象的な事柄にも幅広く使うことが出来ます。
たとえば「幸運や狂気をもたらす」「結果を出す」「意味ない(何ももたらさない)」「雲が雨を降らせる」などの一見同じ語を使えるように見えない表現もbringenを使えます。
・Die Überarbeitung bringt mich in den Wahnsinn.
=残業は気が狂いそうになる。
(直訳:残業は私に狂気を持ってくる)
・Wir müssen Ergebnisse bringen.
=私たちは結果を出さなければいけない。
(直訳:私たちは結果を運ばなければならない)
・Das wird dir Ehre bringen.
=それは君の名誉になるだろう。
(直訳:それは君に名誉を運んでくるだろう)
・Wir müssen das in Ordnung bringen.
=私たちはそれをきっちりしなければならない。
・Es bringt nichts, wenn du 50 Vokabeln am Tag lernst. Du vergisst meistens wieder.
=一日50単語勉強してもいみないよ。ほとんど忘れるから。
・Die Wolken bringen Regen.
=雲が雨を降らせる。
(直訳:雲が雨を運ぶ)
・Für die Karriere muss man auch Opfer bringen.
=出世のためには犠牲を伴う必要がある。
bringenの変化形の表はこちら↓
bringen | Präsens | Präteritum | Perfekt |
ich | bringe | brachte | habe gebracht |
du | bringst | brachtest | hast gebracht |
er, sie, es | bringt | brachte | hat gebracht |
wir | bringen | brachten | haben gebracht |
ihr | bringt | brachtet | habt gebracht |
sie | bringen | brachten | haben gebracht |
動画解説はこちら↓
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