gehenの使い方(2)移動以外の意味を持つgehen【ドイツ語動詞】
gehen1に続き、gehen2では移動の意味を持たないgehenについて見ていきます。
今回は前つづりがつかない、純粋なgehenのみのバリエーションを紹介します。
たとえばこの文はどういう意味でしょうか?
Willst du mit mir gehen?の
私と一緒に出かけない?・・・・ではありません。(一緒に出かけない?はWillst du mitgehen?です。)
「私と/僕とつきあわないか?」という交際の申し込みの言い回しなんです。
Willst du mit mir gehen?を直訳すると「私と一緒に行く気ある?」という意思を問うてるので、日本語にするとなんとも上から目線に聞こえますよね。
ただ、ドイツ人は個人の意思をとても大切にするので、日本語のように「私とつきあってくれませんか?」とお願いをするような言い方は逆に違和感があります。
とはいえ、ドイツ人が交際を始めるときは日本人のように言葉にこだわることはとても少なく、いつのまにか恋人になっているといったプロセスが一般的です。なので、Willst du mit mir gehen?という言いまわしは存在するものの、あまり使われていないことも事実です。
いいまわしの他にもgehenには様々な意味で使われています。
とくに日常会話ではよく聴きます。
ここでは大きく4つに分けて解説していきましょう。
機能している/していない(=funktionieren, kaputt)
Die Uhr geht nicht mehr.
(時計が動いていない。)Die Waschmaschine geht nicht.
(洗濯機が壊れた。)Gestern ging der Staubsauger nicht, aber heute geht er wieder.
(昨日は掃除機が動かなかったけど、今日はまた動いた。)Der Teig muss noch gehen.
(この生地はまだ使えるはずだ。)
これらはなんらかの用途を持っているものが機能している/機能していないときにgehenが使われる例です。
言い換えると
Die Uhr gehen nicht mehr.=Die Uhr ist kaputt. /Die Uhr funktioniert nicht.
ということができます。
スマホやPC、家電製品などによく使われますね。
可能である/不可能である(=möglich)
A:Ich muss heute früh gehen. Geht das?
(今日早く帰らなくちゃいけないんだけど、大丈夫?)B:Ja, das geht.
(うん大丈夫だよ)ーーーーーーー
Haben die Eltern ihre Kinder missbraucht??
(両親が子供を虐待したって?)Das geht gar nicht!!
(ありえない!)
2つめの意味は可能/不可能です。
ドイツ語で言い換えると
Ich muss heute früh gehen, geht das?
=Ich muss heute früh gehen, ist es möglich?
それは可能かどうか?と尋ねているという意味です。日本語では「そうしても大丈夫?」という表現に近いです。
ちなみにdas geht でもes gehtでもどちらでも構いません。
またDas geht gar nichtは、信じられない、ありえないといった怒りを抱えた拒絶です。unglaublich, unmöglichという言葉がふさわしいでしょう。Das geht nicht.よりもずいぶん強い表現です。
合う/合わない(=passen)
A:Versuch es mit diesem Schlüssel. Geht es?
(この鍵で試してみて、いける?)B:Es geht. /Es geht nicht.
(いけた。/ダメだ。)ーーーーーーーー
Der Ring geht gar nicht.
(この指輪は全然入らない。)Die Hose geht noch.
(このズボンはまあまあいける。)
サイズが合っている/合っていないという表現にもgehenが使えます。
最初の例はドアの鍵穴に複数の鍵を指して、開く鍵を探しているシーンですね。
Geht es?はPasst es?と全く同じ意味です。
また指輪や服のサイズが合わなかったときにも使えますが、似合わなかった時にもこの表現ができます。
指輪は服の場合はpassenを使うほうがより正確かもしれません。
時間の経過
Der Streit geht so seit Jahren.
(もう何年も喧嘩をしている。)Die Vorlesung ging bis Mitternacht.
(その講演は夜中まで続いた。)Der zweite Weltkrieg ging bis 1945.
(第二次世界大戦は1945年まで続いた。)
時間の経過のgehenは「いつから」または「いつまで」という時間の時点が一緒に含まれます。
一文目の例文はたとえば台湾・香港と中国の法規制をめぐる争いなど、ぴったりの文ですね。
Der Streit zwischen Hong-Kong, Taiwan und China geht so seit Jahren.
色々な場面で使えます。
さて、4種類のgehenの意味を見たところで問題です。
A:Wie geht’s dir?
B:Mir geht’s ganz gut.
この会話は1~4のどの意味のgehenにあたるでしょうか?
正解は1です。身体が正常であるか/正常ではないか(身体的・精神的)は、機械が機能しているか壊れてないかと同じ意味です。
ただ、機械の場合、Die Uhr geht nicht.のように一格で表現されますが、自分の身体の場合はEs geht mir gutのように三格になります。
なぜなら自分の意志で「よし。今日は元気にしよう。よし、今日は落ち込もう」と決めてコントロールできるわけではないからです。身体や心の状態は常に受け身なので、ドイツ語では主語になれないと覚えておきましょう。
また最後に、前つづりがつくangehenの言い回しですが決まり文句としてよく使われる表現を一つ、紹介して終わります。
Das geht mich nichts an.
(それは私には関係ない。)Das geht dich nichts an.
(それは君には話したくない。)
2文目はかなり失礼な言い方ですが、プライバシーを尊重するドイツ人は答えたくない質問をされたときなど、けっこうストレートにこの表現を使います。
知っていないと意味が理解できない言い回しなので、覚えておくと便利ですよ。