man v.s. jemand☆不特定の人称代名詞【ドイツ語基礎文法11ー2】
manとjemandはドイツ語の人称代名詞の中の不定代名詞(Indefinitpronomen)に属します。
「私(ich)」や「君(du)」などの特定している代名詞と反対に、人を特定しないで使う代名詞のことを不定代名詞といいます。
つまり「誰か」や「人間」や「人は」など一般論、または知らない誰か・・ような使い方ですね。
manの使い方はこちらに詳しい解説があります↓
今回は↑を踏まえた上でman(人は)と、さらにjemand(誰か)という代名詞のそれぞれの特徴と使い方の違いを勉強します。
最初に、どちらも代名詞なのでお決まりの格変化があります。そこから行きましょう。
Kasus(格) | man(人) | jemand(誰か) |
Nominativ(一格) | man | jemand |
Dativ(三格) | einem | jemandem |
Akkusativ(四格) | einen | jemanden |
*manの二格は存在せず、jemandのほうにはjemands/jemandesという形が一応存在しますが、ほぼ使われることはありません。「誰かの傘」のように二格を使いたいときはvon Dが一般的なのでこちらで覚えましょう(=der Schirm von jemandem)
*jemandには上記のように三格と四格の形がありますが、副詞のようにすべてをjemandとしてもかまいません。両方正解です。しかし私個人的には格がないと気持ち悪いのでjemandem, jemandenと分けて使いたいと思います。
〇 Hast du gestern jemanden kennengelernt?
〇 Hast du gestern jemand kennengelernt?
=昨日誰かと知り合った?(どっちもOK!)
☆☆
それではmanとjemandの例文を比べ、違いを見てみましょう。
1)次の文はどちらの代名詞でも意味があまり変わりません。
〇 Das Zimmer ist so chaotisch! Man muss es sofort aufräumen.
=この部屋めちゃくちゃじゃん!速攻片付けなきゃ。
〇 Das Zimmer ist so chaotisch! Jemand muss es sofort aufräumen.
=この部屋めちゃくちゃじゃん!誰かがそっこう片付けなきゃでしょ。
2)次の文はmanは使えるけれどjemandが使えない文です。
〇 Wie spricht man das auf Deutsch?
=これはドイツ語でなんていうの?
✖ Wie spricht jemand das auf Deutsch?
=これは誰かがドイツ語でなんていうの?(?)
3)次の文はjemandは使えるけれどmanが使えない文です。
〇 Da liegt jemand.
=そこに誰か倒れてる。
✖ Da liegt man.
=そこに倒れてる。(特定の1人に対しmanは使えない)
4)2回目に出てくる代名詞が違う。
Wenn man starke Bauchschmerzen hat, sollte man zum Arzt gehen.
Wenn jemand starke Bauchschmerzen hat, sollte er zum Arzt gehen.
=もし強い腹痛があったら、医者に行った方がいい。
いかがでしょうか。
まとめると、manはこちらでも例をあげて解説しているように、「ここで(人は誰でも)タバコを吸ってもいいですか?」や「オーストリアでは(一般的に現地人は)ドイツ語を話す」のように一般的な複数形の代わりとしても使うことが出来ます。それが上記の2)の例文ですね。その反面、jemandのほうはmanのように不特定の複数形には使えないのです。
それに対し、1)の例文の主語は2)に比べて一般的ではありません。誰もがこの部屋を掃除しなきゃいけないことはなく、この部屋に関わる「誰か」または「人間」という特定が入っています。そのためmanもjemandも少々ニュアンスは違うにしろ違和感のない文です。
1)のmanの文は話している対象がこの部屋の住人であれば「Du musst es sofort aufräumen!」といいたいところを、あえて不特定にして間接的に表現していると捉えることもできますね。
manは一・二・三人称のいずれも代弁できることもmanの解説サイトに書いてありますので例文とともにご確認下さい。
それに対しjamandは単数形であり、さらに
1)グループなど特定の中の不特定の誰か
または
2)そこにいる知らない人
または
3)知ってるけど言いたくない人
この3つのうちのどちらかに当てはまるときのみに使うことが出来ます。
日本語の「誰か」と同じ使い方だと言えば簡単に聴こえますが、では「誰か」という語はいつどのように使うのかと訊かれて明確に答えられる人はどれぐらいいるでしょうか。
「誰か」とは1人を指し、さらに1か2の条件がそろっているときに使えるものと論理的に理解できればjemandとmanの違いも簡単です。
となれば4)の文の理解も容易です。
manはあくまで「一般的な中の不特定」なので何度出てきてもmanを繰り返して使いますが、jemandは「特定の中の不特定(誰か)」のため、2回目に出てきたときは代名詞erを使うのです。
Wenn jemand starke Bauchschmerzen hat, sollte er zum Arzt gehen.
=もし誰かめっちゃお腹痛くなったら、その人は病院行った方がいい。特定していますね。
☆☆
それでは今回はjemandを使える場面の例文を見てみましょう。どれもmanの使えないものです。
単数形か、そして先ほどの条件に当てはまるか、各自チェックしながら読んでみてください。
☆☆
Jemand hat mir mein Paket gebracht.
=誰かが私の荷物持ってきてくれたよ。
(一人・郵便配達(特定のグループ)の中の誰か(不特定)ですね。)
☆☆
Er wartet seit Stunden auf jemanden.
=あの人何時間も前から誰かを待ってるよ。
(一人・特定の対象を待っているけど誰か分からない。)
☆☆
Sie ist mit jemandem gekommen.
=あの子は誰かと一緒に来た。
(話し手はその誰かを知っているがあえて言わない可能性もあり)
☆☆
Jemand ist eingestellt worden.
=誰かが新しく会社に入るよ(採用された)。
☆☆
Anscheinend hat jemand den Raum geputzt.
=誰かがこの部屋掃除したみたいだね。
☆☆
Hast du das vielleicht jemandem gesagt?
=もしかしてあのこと誰かに言った?
☆☆
Jemand hat an der Tür geklingelt.
=誰かがチャイムを鳴らした。
☆☆
Das kann man nicht jemandem machen lassen, der keine Ahnung hat.
=これを全く無知な人にやらせるのは無理でしょ。
☆☆
またjamandの強調としてirgendを前につけるirgendjemandという表現もあります。
Irgendjemand hat an der Tür geklingelt.
=知らない誰かがチャイムを鳴らした。
こちらについては別の機会にirgendシリーズで解説します。
動画解説↓
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