主文と副文 -Hauptsatz und Nebensatz-【ドイツ語文法21】
ここでは、主語や動詞が2つ以上出てきたときどうすればいいのか、つまり2つの文をひとつにする文法を学びます。
主文と副文を理解することでこのように、主語や動詞が2つ以上ある少し複雑な文が作れます。↓
・私は外国語を勉強することは良い事だと思っています。
(2つの動詞「勉強する」と「思う」を同時に使う文はどうやって作る?どっちが2番目に来るの?)・私は彼が手伝ってくれるかどうかまだわからない。
(2つの主語「私」と「彼」がある時はどうすれば?)・私はドイツ語を勉強している。私はドイツに留学するつもりだ。
(2つの文をつないで1つにしたいときは?)
今回のキーワードは語順です。簡単にまとめれば
主文→基本語順(動詞が2番目)、副文→動詞が最後に来る
ということです。この主文と副文の語順についてまずは詳しく見ていきましょう。
主文の作り方
まず、ドイツ語の基本的な語順は?
一気におさらいしましょう。
1.現在文・過去文は動詞が2番目
(Ich komme aus Japan./Ich kam aus Japan.)
2.現在・過去の疑問文は動詞が1番目
(kommst du aus Deutschland? Kamst du aus Deutschland?)
3.分離動詞の場合は2番目と最後
(Ich komme/kam um 17 Uhr an.)
4.分離動詞の疑問文は動詞が1番目
(kommst/Kamst du um 17 Uhr an?)
5.現在完了形の文は補助動詞が2番目、動詞は最後
(Ich bin um 17 Uhr angekommen.)
6.現在完了形の疑問文は補助動詞が1番目、動詞が最後
(bist du um 17 Uhr angekommen?)
7.疑問詞があれば1番目、動詞は2番目
(Wann bist du angekommen?)
これらが全て、ドイツ語の基本的な文です。
まとめると平叙文の場合:
・本動詞1つの文は2番目
・補助動詞と本動詞が両方ある文は補助動詞が優先的に2番目、本動詞が最後。
・動詞以外の語に優先順位はなく、基本的にどの順番でもOK。
この基本の文の形をあわせて主文(Hauptsatz)といいます。
それではこちらはどうでしょう?↓
1.Ich habe mir schon das Ticket gekauft.
2.Das Ticket habe ich mir schon gekauft.
3.Schon habe ich mir das Ticket gekauft.
=私はもうチケットを手に入れた。
この文はどれも主文です。なぜなら動詞の位置が同じだから。
動詞さえ定位置に来ていれば、他の語が入れ替わっても主文といいます。
しかし、2つ以上の文を組み合わせて1つの文を作る時、主文以外の語順がよくセットで出てきます。
その大多数が副文です。
副文を勉強する前に今までの基本的な文(主文)の語順を今いちど復習し、よく覚えておきましょう。
副文の作り方
2つの文をひとつにするときに使われる語のひとつを接続詞(Konjunktion)といいます。
接続詞にはさまざまな種類や使い方があります。
その中でも特定の接続詞が前につくと、動詞の定位置が変わるものがあります。
例えば接続詞“dass(~すること)”。
dassはこのように使われます。
Ich weiß, dass er krank ist.
(私は彼が病気であることを知っています。)
日本語とは逆で、ドイツ語では
“Ich weiß=私は知っています”
→“dass er krank ist=彼が病気であること”
という順番になることが一般的です。
“dass”がついていなければ、彼が病気であるという文は“Er ist krank.”の順番になるはずです。
しかし、接続詞dassがつくと本来2番目に来るはずの動詞が一番後ろに位置を変えるのです。
現在完了形だとこうなります。
Ich weiß, dass er krank geworden ist.
(私は彼が病気だったことを知っています。)
主文ならば“Er ist krank geworden.”になるところを、dassがついたことで2番目の補助動詞が一番後ろにまわっています。
この語順を副文(Nebensatz)といいます。
そしてdassのように副文の前につけることができる接続詞を副文の接続詞といいます。(副文の接続詞について詳しく勉強する)
そして副文は独立しておらず、副文の一文のみでは使えません。必ず主文とくっつくいて出てきます。
ここではよく使う(またはよく聴く)基本的で実用的な接続詞を、主文+副文または副文+主文の例文とともに5つ紹介します。
これらの接続詞の後には必ず副文が来ると覚えておきましょう。
副文の接続詞
日本語と表現方法が違うので、たくさんの例文に触れてドイツ語の感覚に慣れましょう。
注意点:
・主文と副文の間はコンマ(,)で区切ること。
・主文+副文または副文+主文の順序は基本的にどちらでも構わない。
・副文+主文のときは、コンマ(,)のあと動詞から入る。副文全体を1番目と数え、次に来るのは2番目の定位置を持つ動詞と考えるため。
・主文と副文の時制が違っても問題なし。
dass(~すること)
Ich finde es gut, dass man Fremdsprachen lernt.
(私は外国語を学ぶことは良いことだと思います。)
Es ist wichtig, dass du jeden Tag Deutsch lernst.
(君が毎日ドイツ語を勉強することが大事だ。)
Die Hauptsache ist, dass du immer glücklich bist.
(大事なのはあなたがいつも幸せでいることだ。)
Ich freue mich, dass ich die Prüfung bestanden habe.
(私は試験に受かって嬉しい。)
Es tut mir Leid, dass ich dich störe.
(邪魔してごめんね。)
Es hat mich sehr gefreut, dass du mich angeschrieben hast .
(あなたが連絡してきてくれてとても嬉しかった。)
Ich hoffe, dass meine Eltern gesund bleiben.
(私は両親がずっと元気であることを願っている。)
※「私は~だと思う」という表現はdassと一緒に使われます。
Ich denke, dass…/Ich finde, dass…/Ich glaube, dass…などはセットでよく出てきます。
dassの主文によく使われる表現
・Ich weiß, dass…
・Ich bin mir sicher, dass…
・Ich finde es gut/schlecht, dass…
・Ich denke, dass…
・Ich glaube, dass…
・Ich hoffe, dass…
・Ich bin froh/glücklich, dass..
・Ich freue mich, dass…
・Es tut mir Leid, dass…
・Ich habe Angst, dass…
・Es ist wichtig, dass…
・Ich bin der Meinung, dass…
ob(~かどうか)
Ich weiß noch nicht, ob er mir hilft.
(私は彼が手伝ってくれるかどうかまだわからない。)
Ob sie morgen kommt, ist noch unklar.
(彼女が明日来るかまだ分からない。)
Sie hat ihn gefragt, ob er Geld hat.
(彼女は彼にお金を持っているかどうか聞いた。)
Die Frage ist, ob es sich wirklich lohnt.
(問題はそれが本当にやる価値があるのかどうかだ。)
Ob wir jetzt losgehen oder später, ist egal.
(私たちが今出発するか後でかは特にどうでもいい。)
weil(~なので)
Ich lerne Deutsch, weil ich in Deutschland studieren will.
(私はドイツの大学に行きたいから、ドイツ語を勉強しています。)
Er kommt heute nicht, weil er krank ist.
(彼は病気なので今日は来ません。)
Weil ich krank bin, gehe ich heute nicht zur Arbeit.
(今日は病気だから仕事に行きません。)
Sie ist stolz, weil sie die schwierige Aufgabe ganz alleine geschafft hat.
(彼女は難しい課題を一人でこなしたので得意げになっている。)
Er freut sich, weil er den Arbeitsplatz bekommen hat.
(彼は就職が決まったので喜んでいる。)
da(~なので)
接続詞“weil”と“da”は副文で、意味もよく似ています。
基本的にはどちらを使ってもいいですが、少しの違いはあります。
“da”のほうはすでに知られていること、または当たり前の事柄を説明するときに使われることが多く、またdaのほうが書面的、weilは口語的です。
またdaはweilに比べ、文の最初つまり副文+主文の形で使われることも多いです。
Da es regnet, bleibe ich heute zu Hause.
(雨が降っているから今日私は家にこもる。)
Ich habe mich erkältet, da es draußen kalt ist.
(外が寒いから風邪ひいちゃった。)
Da er ein Schriftsteller ist, schreibt er einen Roman.
(彼は作家だから小説を書いている。)
wenn(もし・~の時)
“wenn”には「もし」と「~の時」という、一見全く違うように見える2通りの意味があります。
しかしこの2つは実はよく似た言葉。
・もし→ その時一回きりの表現をするとき
・~の時→ 何回も連続する可能性があるとき
と解釈しましょう。
Wenn es draußen kalt ist, ziehe ich mir eine Jacke an.
(もし外が寒かったら僕はジャケットを着るよ。)
=ジャケットを着るのが今のみという意味。Immer wenn es kalt ist, ziehe ich mir eine Jacke an.
(寒いときはいつもジャケットを着ているよ。)
=何度も連続してジャケットを着るという意味。
※「~の時」の意味をもつときはimmerとwennが文の中で一緒に使われていることが多い。
immerの位置はwennの前でもいいし、主文の中でもかまいません。
また時を表す副詞がなくても前後の会話からどちらの意味かくみ取ることは難しくないはずです。
その他の例文:
Ich summe immer, wenn ich gute Laune habe.
(私は気分がいい時はいつも鼻歌を歌う。)
Immer wenn ich frei habe, mache ich einen Ausflug.
(時間がある時は、遠出します。)
Immer wenn ich mir neue Schuhe anziehe, bekomme ich Blasen.
(新しい靴をはくときはいつもマメができる。)
Ich frage dich, wenn ich es nicht verstanden habe.
(もし理解できなかったら君に聞きます。)
Ich komme rechtzeitig zu dir, wenn der Zug keine Verspätung hat.
(もし電車が遅れなかったら時間通りに着くよ。)
その他の副文の接続詞
während(~の間に)
damit(~するために)
falls(もし)
obwohl(~にもかかわらず)
indem(~することで)
dadurch(~によって)
――――――
時制に関係する接続詞:
als(したとき)
wenn(するとき)
bevor(する前に)
bis(まで)
seit (から)
nachdem(後に)
sobald(すると同時に)
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また、すべての疑問詞も副文の接続詞と同じようにつけることが出来ます。
Ich weiß noch nicht, wann ich wieder Zeit habe.
(今度いつ時間があるかわからない。)
Weißt du schon, wie viel Uhr du heute kommen kannst?
(今日何時にこれるか分かる?)
Können Sie mir sagen, wie ich zum Bahnhof komme?
(どうやって駅にいくのか教えてもらえますか?)
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次の文法では時制に関する接続詞を過去完了形とともに勉強していきます。
まずは副文の構成の理解と、基本的な5つの副文をつかえるようになりましょう。
例文でもわかると思いますが主文と副文をつかえるようになると、ドイツ語の幅が一気に広がります。
副文を使うことで、言いたいことをスムーズに表現できるようになり、伝えやすくなるはずです。
それでは、練習問題をやってみましょう。回答は一番下にあります。
主文と副文の文法解説動画はこちら↓
1 コメント
わかりやすい。