前置詞がつかない時間の表記:時点編【ドイツ語基礎文法32ー1】
この文法は、時間の前置詞(1)の応用編です。
時間の前置詞になじみのない、またはまだ勉強していない人は下のページを先に勉強してからこのページの内容をご覧ください。前置詞だけでなく、時点と流れの視点なども重要です。
それでは今から、一般的には前置詞がつくのだけれども、例外的に前置詞をつけずにいえる場合の時間の表現を解説します。
今回は流れではなく「点」のほうの解説です。
前置詞がつかない時間の表現のことをドイツ語ではZeitangaben ohne Präpositionenといいます。
たとえばこのような文です。
Ich habe diesen Sonntag eine Prüfung.
(今週の日曜日に試験がある。)
さきほどの基礎のページでは曜日の前にはamがつくと教えられますね。
つまり
Ich habe an diesem Sonntag eine Prüfung.
というのが一般的です。これも当然正解です。
しかし、ネイティブが話すときにan diesem Sonntagという言い方をすることはあまりなく、diesen Sonntagのほうを好んでいる傾向にあります。
これは文法的には四格です。文法的に分析すればeine Prüfungという四格目的語がすでにあるため、2回も四格が文に登場することはごく少数の例外を除いてありえません。なので2回も四格が来たら限りなく文法間違いの可能性が高いです。
しかしこれは四格の形をしているだけで実際には四格目的語ではなく、(あってもなくても文法に影響しない)前置詞つきの時間の表記を別の言い方に変えたものなんですね。
つまりdieseという冠詞が前にくるときは前置詞を省略してもいい、という法則があるのです。
diese Woche(今週に), diesen Monat(今月に)、dieses Jahr(今年に)・・などの応用がききます。もちろん名詞の性によってそれぞれ四格に格変化しています。
でもたとえば
✖Ich habe den Sonntag eine Prüfung. のように、denだとこれは成り立ちません。全ての冠詞にそれが当てはまるわけではなく、ある特定の冠詞(diese)などのみに適応される、そういう独自の規則になっています。
なのでここでは、どの表現が前置詞をつけなければいけないのか、どの表現であればつけないほうが好まれるのか・・・を識別できるよう勉強していきます。これは非常に実践的な表現です。実践で役に立ちます。
このdieseのように前置詞をつけなくてもいい時は大まかに4つに分けることができます。
letzte/diese/nächste/jede
letzteは過去。たとえば先週(letzte Woche)や先月(letzter Monat)、去年(letztes Jahr)
dieseは現在。たとえば今週(diese Woche)、今月(dieser Monat)、来月(dieses Jahr)
nächsteは未来。たとえば先週(nächste Woche)、来月(nächster Monat)、来年(nächstes Jahr)
jedeは「毎」。たとえば毎週(jede Woche)、毎月(jeden Monat)、毎年(Jedes Jahr)
といった時間の表現に使われます。
ちなみにdiesは冠詞、letztとnächstは形容詞に属します。
またvorletzeとübernächsteも対象に入っています。
vorletztes Jahr(一昨年)、übernächstes Jahr(再来年)という意味です。
例文をどうぞ↓
1)Ich hatte letzte Woche eine Prüfung.
Ich hatte in der letzten Woche eine Prüfung.
2)Ich muss diesen Monat zum Zahnarzt gehen.
Ich muss in diesem Monat zum Zahnarzt gehen.
3)Ich möchte nächstes Jahr ein Auslandssemester machen.
Ich möchte im nächsten Jahr ein Auslandssemester machen.
4)Ich muss jeden Tag zur Uni gehen.
訳↓
1)先週テストがあったんだ~。
2)今月歯医者にいかなきゃ。
3)来年交換留学をしたいと思ってる。
4)毎日大学に行かなきゃ。
前置詞なし、前置詞ありのどちらの文もただしいです。会話では前置詞なしが好んで使われます。
その場合は四格支配になりますので、冠詞は四格にして使ってください。
Anfang/Mitte/Ende
Anfang(はじめ)、Mitte(中ごろ)、Ende(終わりごろ・末)という意味です。
これは月や年などの時間の単語と多用されます。
しかしこれらの後ろの格支配は少し違います。
まずは例文を↓
1)Die Veranstaltung findet Anfang Mai statt.
2)Die Veranstaltung findet Anfang des Monats statt.
3)Sie wollen Mitte August eine Reise machen.
4)Sie wollen Mitte des Jahre eine Reise machen.
5)Wir durften Ende 2021 kein Feuerwerk machen.
6)In Japan stieg Ende des 20. Jahrhunderts die Selbstmordrate.
訳↓
1)その催しは5月初旬に開催される。
2)その催しは月初めに開催される。
3)あの人たちは8月中旬に旅行にいく気でいる。
4)あの人たちは今年の半ばに旅行に行く予定だ。
5)2021年の終わりの花火が禁止された。
6)日本では20世紀末に自殺率が上昇した。
これらの例文からは2種類の言い方が見てとれますね。具体的な月や西暦が入っている場合は冠詞をつけず、反対にJahrやMonatやJahrhundertなどの場合は二格の定冠詞がついています。
Endeには一般的にはam Endeという前置詞がつきますが、✖am Ende Maiは違和感のある使われない表現で、〇am Ende des Jahresのほうは普通に使われています。
つまり1月や2月という場合は✖ Anfang im Januarとは言わず、また✖ Anfang des Januarsもいいません。ゼロ冠詞で〇Anfang Januarとそのままつけるのが正しいです。
ちなみに「先月の中頃」などと言いたい場合もMitte des letzten Jahres.のように「先」を二格の形容詞の格変化としてつければその意味になります。
gestern/heute/morgen
これらは昨日、今日、明日という副詞です。
vorgestern(おととい)とübermorgen(あさって)も同じく適用されます。
例文からどうぞ↓
1)Ich habe gestern Nacht kaum geschlafen.
2)Ich habe heute Nachmittag einen Termin beim Zahnarzt.
3)Ich habe heue um 15 Uhr einen Termin beim Friseur.
4)Heute Morgen blieb noch der Schnee von gestern liegen.
5)Ich will morgen früh spazieren gehen.
訳↓
1)昨日の夜ほとんど寝れなかったよ。
2)今日の午後歯医者の予約が入ってる。
3)今日の15時に美容院の予約がある。
4)今日の朝、昨日の雪がまだつもってたよ。
5)明日の朝散歩いこうと思ってる。
これらの副詞のあとにくる名詞としては朝(der Morgen)、午前(der Vormittag)、午後(der Nachmittag)、夜(der Abend)、夜中(die Nacht)などが一般的でしょうか。
in der Nacht以外はamで覚えましょうというのが基礎ですが、gesternやmorgenなどの後にはゼロ冠詞でそのまま入れることができ、大変便利です。
ただ明日(morgen)と朝(der Morgen)は発音が同じなので「明日の朝」といいたかったら、先ほどの法則では✖ morgen Morgen…ということになりますが、これは言えません。
例文5のように「明日の朝」というのはmorgen frühといいます。これは日常生活でよく使うので覚えておきましょう。
ちなみにfrühは「早い」という意味なので、じゃあ「明日の朝早く(早朝)」っていいたかったらドイツ語はどうなるの?という話ですが、そのようなときは時刻を付け足します。
morgen früh um 6 Uhr(明日の朝6時)といえば早朝のことになります。このへんややこしいですが常用単語ですので仕方なく覚えてください。
また「昨日の15時」というように時刻を入れたいときは前置詞を入れなければなりません。(例文3参照)
あくまで入れなくていいのは朝、昼、晩といった表現ですね。そしてこの場合✖ heute am Mittag(今日の昼)のように前置詞amを入れるのは間違いです。
例外的にgestern in der Nacht(昨日の夜)は言えます。
西暦
最後に西暦です。西暦は簡単なのですが、ほぼ全員間違ってるんじゃない?というぐらいにミスが多いです。
なぜかというと英語のようにin 2022と言えないからですね。
ではどう言えばいいんでしょう。
例文をどうぞ↓
Die deutsche Wiedervereinigung war 1989.
Die deutsche Wiedervereinigung war im Jahr 1989.
訳↓
ドイツの再統一は1989年にあった。
なにもつけずに年号だけをポンと入れるかim Jahrをつけるかの二択です。これまじで要注意。ちなみに私は話すときはポンと入れるほうのみを採用しています。簡単だから。
☆☆
ということで、ここまで日常会話で頻繁に必要な時間の表現をきっちり見ていきました。
まず時間の表現を正確に言おうと思ったら、時間の前置詞をしっかり勉強することが第一です。
伝われば何でもいいや、と思って文法を勉強せずに適当にいうとほぼすべての文を正しく言えていないでしょう。
間違いだらけの文は日本語でも想像できるように、ネイティブにとって非常に聴きにくいです。
まず基礎文法、その後今回紹介したような、日常会話で一般的に使われている違和感の少ない表現も少しずつ身につけて行ってください。
順番大事です。
文法から。ちゃんと勉強してください。応用はその後。↓
動画解説はこちら↓
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