【ドイツ語文法4】名詞の複数形。5種類のパターンと作り方。


英語のように一筋縄ではいかないドイツ語の複数形。パターンは5種類です。

目次:

耳で聴きたい方は動画の解説をどうぞ!

1.名詞の単数形と複数形

ドイツ語文法3でやったように、ドイツ語の名詞には3つの性がありました。が、der Mann, die Frau, das Kindのように性がつくのは単数形の場合だけで、複数形には性がありません。そして語の形が変化し、すべて“die”で統一されます。(女性名詞の“die”とは別です!理由は次の章、ドイツ語文法5で理解できます。)例を見てみましょう。

der Mann(男性)→ die Männer(男性たち)

die Frau(女性)→ die Frauen(女性たち)

das Kind(子供)→ die Kinder(子供たち)

英語のように語尾に“s”をつければ複数形・・のように単純にはいかないのがドイツ語の複数形です。単数形を覚えるときは複数形も一緒に覚える必要があり、まさに暗記地獄です。それでもいくつかのパターンが存在します。今から詳しく見ていきます。

 

2.複数形のパターン

ドイツ語の複数形のほとんどは、語尾に何らかのアルファベットが付け足されます。単数形と同じ形を保つ複数形も存在します。複数形の語尾のパターンは5種類に分けることができます。

・無変化

・語尾が -e

・語尾が -er

・語尾が -n

・語尾が -s

一つずつ例を挙げてみていきましょう。

パターン1)無変化:単数形と複数形の形が(ほぼ)同じ名詞

例:

der Wagen (車)      →    die Wagen

das Fenster(窓)   →    die Fenster

das Mittel(方法)     →    die Mittel

die Tochter(娘)      →    die Töchter

der Bruder(兄弟)      →    die Brüder

 
パターン2)語尾に -e がつく名詞

例:

der Berg(山)     →    die Berge

der Brief(手紙)   →    die Briefe

der Monat(月)    →    die Monate

der Gast(客)     →    die Gäste

der Sohn(息子)      →    die Söhne


パターン3)語尾に -er がつく名詞

例)

das Kind(子供)     →    die Kinder

das Buch(本)        →    die Bücher

das Land(国)     →    die Länder

das Ei(卵)        →     die Eier

der Mann(男性)      →    die Männer


パターン4)語尾に -(e)n がつく名詞

例:

die Schwester(姉妹)   →    die Schwestern

die Flasche(瓶)      →    die Flaschen

der Student(大学生)   →    die Studenten

die Blume(花)        →    die Blumen

die Katze(猫)       →    die Katzen


パターン5)語尾に -s がつく名詞

das Auto(車)        →    die Autos

die Kamera(カメラ)   →    die Kameras

die Party(パーティー)   →    die Partys

das Hotel(ホテル)    →    die Hotels

der Tee(お茶)      →    die Tees

※ウムラウトについて
一音節からなる男性または中性名詞の単語が複数形になると約9割、ウムラウトになります。(一音節の単語とは、単語の中に母音が一つしかないもの。)


3.複数形の作り方

複数形には5つのパターンがあることを学びました。それでは、単数形を見たときに、複数形がどのパターンに当てはまるのか、予測することはできるのでしょうか?結論から言えば、だいたい予測することができます。それも、単数形の語尾と、名詞の性から予測する方法です。

前回、名詞の性の見分け方を勉強した時に、それぞれの性の名詞に多い語尾の傾向をまとめました。これです。

・男性名詞:-ich, -ig, -ling, -er, -ismus, -ist

 

・女性名詞:-heit, -keit, -schaft, -ei, -ung, -e, -ik, -ion, ität

 

・中性名詞:-chen, -lein, -nis, -tum, -um, -ment

すべてではないですが、ここからある程度、複数形の形を予測することが出来ます。

たとえば男性名詞:-ich, -ig, -ling, → 複数形:-e の傾向が高い。

例)der Teppich → die Teppiche

  die Rettich →  die Rettiche

  der König → die Könige

  der Schmetterling → die Schmetterlinge

  der Lehrling → der Lehrlinge

また女性名詞:-heit, -keit, -schaft, -ung, -e, -ion, ität → 複数形:-en/-n の傾向がある。

例)die Kindheit → die Kindheiten

  die Weisheit → die Weisheiten

  die Kleinigkeit → die Kleinigkeiten

  die Freundschaft → die Freundschaften

  die Erinnerung → die Erinnerungen

  die Leistung → die Leistungen

  die Woche → die Wochen

  die Stunde → die Stunden

  die Information → die Informationen

  die Region → die Regionen

  die Universität → die Universitäten

  die Realität → die Realitäten

中性名詞:-chen, -lein の語尾の名詞は複数形も無変化。-um → -en, -ment → -e の傾向がある。

例)das Mädchen  → die Mädchen

  das Häuschen → die Häuschen

  das Männlein → die Männlein

  das Museum → die Museen

  das Experiment → das Experimente

  das Argument → die Argumente

しかし、ドイツ語には常にいくつもの例外があります。このような複数形の作り方があてはまるのは約80%。つまり20%は当てはまらないのです。ここでいう作り方はあくまで傾向の話であり、そのことは意識しておきましょう。しかし単数形を見たときにそれなりに複数形が自然に分かるようになることはとても大事です。

さらに、すべての単語に単数形と複数形の両方があるわけではありません。片方しかない単語も存在します。最後に複数形が作れない単語、また単数形が作れない単語はどのようなものなのか?見ておきましょう。


4.単数形しかない名詞

単数形しかない名詞とは主に2つの種類があります。
一つ目は具体的な単語だが、そもそも数えることが不可能なもの。たとえば「水」「粉」など。この場合はひとまとめとして、単数形でのみ表します。
二つ目はそもそも数え方がわからない抽象的な概念。たとえば「愛」や「幸せ」など。「たくさんの愛」とはいったいいくつなのか、そもそも誰も答えられません。

例)der Regen(雨) → 複数形なし

  das Wasser(水) → 複数形なし

  das Geld(お金) → 複数形なし

  das Mehl(粉) → 複数形なし

  die Milch(牛乳) → 複数形なし

  die Liebe(愛) → 複数形なし

  die Glücklichkeit(幸福) → 複数形なし

※「お金」は数えられる概念ではないか、と思うかもしれません。しかしdas Geldという単語は「コインや札束の数」や「値段の数字」などといった具体的なものではなく、抽象的な概念です。
「お金もっとほしいなぁ」という言葉は「札束がいっぱいほしい」ではなく、漠然としたものです。だからドイツ語では“Ich möchte mehr Geld haben.”(単数形!)としか言えないのです。


5.複数形しかない名詞

逆に単数形が作れない名詞とは?例から見てみましょう

例)die Eltern(両親) → 単数形なし

  die Leute(人々) → 単数形なし

  die Kosten(値段) → 単数形なし

  die USA(アメリカ) → 単数形なし

  die Niederlande(オランダ) → 単数形なし

die Kosten がなぜ複数形のみなのか?ドイツ語では100円などといった商品の値段は別の単語 “der Preis”=価格という言葉を使います。
die Kostenは売っている価格のことではなく、「その商品を生み出すためにかかったすべてのコスト」をひっくるめた値段をdie Kosten といいます。

たとえば、“Die Kosten für das Produkt sind 20 Euro: 10 Euro für das Material, 10 Euro für die Arbeitszeit.”

= その商品の値段は20ユーロである。内訳は10ユーロは材料で、10ユーロは人件費。

die USA, die Niederlandeはなぜ複数形なのか?
この2つの国は政治体制が複数あるからです。アメリカが州によって法律が違うのは、政治体制が州によってある程度独立しているから。オランダもそうです。政治体制が12の州に分かれています。つまり日本的には「アメリカは一つ」という考えですが、ドイツ的にはアメリカやオランダは複数であると(文法的には)表現するようです。


6.まとめ

ドイツ語の名詞というのは、性の3択のほかにまだ、複数形の5択があるといった非常に凝った機能を持っていることが理解できたと思います。これだけでも英語に比べ非常に覚えることが多く、複雑に感じますね。

名詞を覚える際は例えば、Hund=犬 だけではなく der Hund=犬(男性名詞)、さらに die Hunde=犬たちと覚える必要があります。

次回、ドイツ語文法4では名詞の性はドイツ語の文法とどう関係していくのか、der, die, das, die(複数)とはいったい何なのか、について解説します。名詞の使い方がわかれば、使える表現がぐっと増えますよ!

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