ドイツ語を学ぶ決心をしたあなたへ。サイトや動画の選び方の注意。間違った認識は捨てよ。


ここ数年間、ドイツ語学習が無料でできる質の高い動画やブログがたくさん出てきています(ドイツ語や英語では)。

しかし、日本語で書かれたドイツ語学習や動画はまだまだ質が低く、誰が書いているのかよくわかりません。

中には本を見ながら独学で勉強中の人が、その内容をそのままアウトプット練習として文法を解説していたりします。

ネイティブから学べるのが一番確実ですがそうでない場合、非ネイティブの誰から学ぶか、はとても学習の成果を左右します。

時には「ドイツ語コーチ」などと称して、ドイツ語の中身ではなく学習方法的なアドバイスを提供するサイトや人もいます。そんなものは一番自分で頭を使って試行錯誤するべき大事なところです。そんなところを他人にさせるなど一番無駄です。

なので学習を始めるときは、スタートラインは良質なサイトや動画選びから始まります。
ドイツ語のサイトをそのまま見れれば問題はないのですが、日本語とドイツ語は遠すぎる言語なため、最初はやはり母語での解説のほうが理解がしやすかったりする。しかし、母語でのドイツ語解説にも良しあしがあります。

〇〇外国語大学のサイト、のように個人運営ではなく、出所が分かっているサイトは信用性が高いです。が、個人サイトはしっかりと見極める必要があります。

一番簡単な基準として、

【例文がなるべく多いサイトまたは動画】

を選ぶこと。例文が極端に少ないサイトは省きましょう。それを書いている人のドイツ語知識はたいしたことありません。

そしてふたつめ。

【短期間でドイツ語を習得できる】

をうたっているサイトは疑うように。×か月や1年は短すぎます。2年でも短すぎます。

この2つがあるサイトや動画を運営している人物はドイツ語のレベルが高くないと考えて間違いありません。

 

外国語習得は長期戦です。近道はありません。

ラクして習得する方法もありません。

1つの外国語を習得するのには様々なレベルがありますがまず、短期間、〇か月また1年で言語習得した!とか主張する人たちは相手にしないように。そういう人たちは旅行会話程度や文法構造、単語をある程度覚えた時点で自分は話せると勘違いしている人、もしくはあなたのお金目的です。

これらの人々の勧めるものを参考にしたり買ったりする前に最低、「これを主張している人の語学レベルはどうなのか」だけは必ず確認するようにしましょう。

どのテストに合格した、とかC1、C2レベルを持っている、などの主張ではないですよ。どの大学を卒業したとか、ドイツ語教員資格を持ってるとかでもないですよ。「ちゃんと(動画なのどの)証拠があるか」「また語学力をちゃんと提示しているか」を確認しましょう。

また「〇十か国語を習得した私の方法」などで本を出しているだけの人も参考にするに値しません。なぜなら彼らは、似たグループに属す言語の文法構造や単語の類似性を単にまとめているだけだからです。

むしろ相当長い時間と忍耐力を覚悟しろ、と主張している人を信用、つまり参考にしましょう。でないとせっかくのあなたの意欲が非常にもったいないことになってしまいます><

言語能力は主張や学歴、移住歴ではなく、証拠のみで判断すること。動画が簡単にアップできる時代に「話せる」といいながら本や記事のみを書いている人は問題外です。

これぐらいの証拠を出す多言語話者は有用な情報を発信している可能性が高いです。彼女は短期間で習得しているでしょうか?:Lindie-Botes

信じられないかもしれませんが、たとえばプロの翻訳家が普通のニュースの内容を理解できない、また会話がほとんどできないといったことは多々あります。読むことを極めるだけで精一杯なんですね。
大学教授だからといって専門の言語がペラペラ話せるとも限りません。ネイティブと話すとテンポどころか文法もぐちゃぐちゃになるドイツ語専門の教授もいます。それも多数派です。逆にバイリンガルだけど読めない人も多いです。

こういう事実を知ると、どれだけ1つの言語を深いレベルで理解することが大変で時間を要するのか、なんとなく想像がつくのではないでしょうか。同時に自分が自然に使っている日本語が、日本語学習者にとってどれだけ長い努力を要することなのかと気づくのではないでしょうか。

母語と外国語の間は、みなさんが思っているよりもずっとずっと遠いものです。

これを〇か国語習得するとしたら人生が何回必要でしょうか。なので多くの人はただ、色々な言語について少しずつ知っている程度でしかできないのです。きっとネイティブと会話をしてみたらそれぞれ1時間どころか20分ももたないでしょう。

たくさんの人が軽い気持ちで様々な言語に手を出しては結果、続かず役にたたず、時間の無駄になっています。もったいないことです。

今いちど、あなたはなぜドイツ語を勉強したいのか、そして習得の先にいったい何を目標にしているのか、相当な時間を費やすこと価値があるか、よく考えてみましょう。

このサイトのドイツ語学習を完遂するには膨大な時間が必要です。さらにネイティブと議論したり自由自在に話せて聴けるレベルになるには現地に住んでも10年はかかるでしょう。ドイツに移住している日本人のほとんどは一応真面目に勉強したと主張する人でも20年、30年間、おかしな文法の日常会話程度で止まっています。

驚きの事実ですか?いえ、これが普通なんです。日本人だけでなく、国籍を問わず何十年と住んでいても文化レベルでドイツ語やドイツ人を理解できない人がほとんどなのです。

最後に、参考までに私の体験を。ドイツの語学学校ではじめてドイツ語を学び始め、1年以内に大学に行くためのドイツ語の試験(DSH)に80%以上の正解率で合格しました。でもその時の私のドイツ語は口が裂けても「ドイツ語が話せる」とは言えないレベルでした。

試験で合格するのは、そのための準備さえすれば容易なのです。なぜなら狭い範囲のテーマを集中的にやるだけだからです。その結果語学力をかなりのレベルでごまかすことができるのです。

これはDSHでもDAFでもゲーテなんとかでもすべての試験に言えることです。試験に合格するというのはドイツ語の文法と試験にふさわしい単語を多く記憶しているだけと考えて間違いありません。ドイツ人と会話・議論するという実践はこれとは別物なのです。

だから試験に合格したから「この人はペラペラなのだ」などとはくれぐれも思わずに。「この人は集中的に何らかのテーマを記憶したことがあるだけだ」と思いましょう。

ドイツの大学に入って学び、数本のプレゼンをドイツ人の前でやり、数本の論文をドイツ語で書いた今の私もニュースを聴いたり読んだりするたびに知らない単語が出てきます。一日中完璧な文法で話せたことだって一日もないです。改善する余地は常にあり、永遠にドイツ語を勉強していくでしょう。

だから、短期間でペラペラになったという人を安易に信用しないように。

そして、それを信じて自分がそうでなかったときに、「私はやっぱりバカだったんだ」なんて絶対に思わないように。

もう一度言いますが、ドイツ語が短期間でペラペラになったという人は、自分のドイツ語能力がわかっていないか、あなたのお金目的です。

ドイツ語がペラペラになるにはドイツの大学を卒業できるぐらい集中的に現地で勉強しても最低10年はかかります。

それほど、難しいものなのです。

これは私の好きな言語についての格言です↓

“Die Sprache ist schlechte Fabrikarbeit, zusammengestoppelt von Milliarden von Taglöhnern. Sie ist geworden wie eine große Stadt: Kammer an Kammer, Fenster an Fenster, Wohnung an Wohnung, Haus an Haus, Straße an Straße, Viertel an Viertel und das alle ineinander geschlachtelt, miteinander Verbunden, durch einander geschmiert.” Fritz Mauthner

 

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