gehörenとgehören zuとgehören in【ドイツ語動詞】


gehörenという動詞がドイツ語にあります。

三格を取る動詞です。

 

三基本形は

gehören – gehörte – gehört

です。

聞く(hören)の過去分詞形と同じ形ですので、注意。

hören – hörte – gehört

文の中にgehörtの形が出てきたら、格をしっかり見て意味を判断しましょう。

 

gehörenの三基本形の表はこちら↓

gehören Präsens Präteritum Perfekt
ich gehöre gehörte habe gehört
du gehörst gehörtest hast gehört
er, sie, es gehört gehörte hat gehört
wir gehören gehörten haben gehört
ihr gehört gehörtet habt gehört
sie gehören gehörten haben gehört

 

今回はgehörenを文法別に4パターン紹介します。

1と2が基礎です。中級になる頃には知っておくほうがいいです。

3と4は応用です。わりと高度です。

D=三格・A=四格

 

gehören D

たとえば「このカバンは私のものです」と言いたい時に使います。

つまり誰かが何かを所有していることを表す表現です。

使い方は「カバン」が主語、「私」が三格になります。

例文

A: Gehört dir das Auto?

B: Ja, das Auto gehört mir.

☆☆

A: Gehören Ihnen die Hunde?

B: Nein, sie gehören mir nicht.

☆☆

A: Wem gehört das Packet hier?

B: Es gehört Herrn Becker.

☆☆

A: Wem gehört das Fahrrad vor der Tür?

B: Dem Mädchen.

 

日本語訳

A: その車あなたの?

B: うん、その車は私のだよ。

☆☆

A: この犬たちはおたくのところのですか?

B: いえ、うちの犬ではありません。

☆☆

A: この小包は誰の?

B: それはベッカーさんのだよ。

☆☆

A: ドアの前にある自転車は誰の?

B: あの女の子のだよ。

 

所有者は主語ではなく、三格です。所有の対象が主語です。

また1や2の例のように三格が代名詞で一格が普通の名詞だった場合、代名詞のほうが主語の先につきます。

 

 

gehören zu D

=Das ist ein Teil von etwas anderen.

前置詞zu+三格のコンビネーションがついた使い方は細かく3通り紹介したいと思います。

まず一つ目。

「Dの一部である」または「D(グループなど)に属している」という表現。

たとえば

「クリミア半島はウクライナの一部である」

異議ある人いますか?いませんね。

ドイツ語にすると、

Die Krim gehört zur Ukraine.

となります。

zu Dをつけることで「たくさんあるウクライナの地域の中のひとつ」という意味になります。

 

とはいえ「クリミア半島はウクライナのものであってロシアのものではないぞ」などと強調したい場合は

Die Krim gehört der Ukraine.

または

Die Krim gehört nicht Russland.

といっても変ではないですね。

例文

1)Zürich gehört zur Schweiz.

2)Seit wann gehört Okinawa zu Japan?

3)Taiwan hat 50 Jahre lang zu Japan gehört.

4)Das Lösungsheft gehört zum Lehrbuch.

5)Ich gehöre nicht zur Elite.

6)Er gehört zu keiner Partei.

7)Rui Hachimura gehört zu Los Angeles Lakers.

8)Diese Erfahrungen gehören zum Leben.

9)Der Mann gehört zu der Reisegruppe.

10)Das gehört nicht zu meiner Aufgabe.

11)Zu welcher Partei gehörst du?

 

日本語訳↓

1)チューリッヒはスイスの一部だ。

2)いつから沖縄は日本の一部になったんだっけ?

3)台湾は50年間日本の一部だった。

4)この回答集は教科書の一部分です。

5)私はエリートには入っていない。

6)彼はどの政党にも入っていない。

7)八村塁選手はレイカーズに属している。

8)この経験は人生の一部になる。

9)この男性はツアーに入っている。

10)これは私の仕事じゃない。

11)どの政党に属してるの?

☆☆

 

二つ目。

「私のお気に入りの中の一つだ」の言い方。

たとえば

「ドイツは私の好きな国の一つだ」

と言いたい場合

Deutschland gehört zu meinen Lieblingsländern.

となります。

zuのあとは複数形。そして対象グループの前にLieblings-をつけます。

上の文は対象グループが「国」なので「国」の複数形(die Länder)を三格にした形です(Lieblingsländern)。

なんで三格かって?それは前置詞zuが決めているから!zuの後ろは必ず三格です。

もちろん、簡単に

「ドイツは私の好きな国です」

=Deutschland ist mein Lieblingsland.

でもかまいません。

でもgehören zu Dを使うことで、いくつかあるうちの一つ、という表現ができます。

いろんなグループに使えるのでとても便利ですよ。

例文↓

1)Heidelberg gehört zu meinen Lieblingsstädten.

2)Spaghettieis gehört zu meinen Lieblingseissorten.

3)Schwarzwälder Kirschtorte gehört zu unseren Lieblingskuchen.

4)Tim gehört zu meinen Lieblingspersonen.

5)Brahms gehört zu seinen Lieblingskomponisten.

6)Deutsche Autos gehören zu den besten.

訳↓

1)ハイデルベルクは私の好きな街の一つだ。

2)スパゲッティアイスはお気に入りのアイスの一つだ。

3)黒い森のサクランボケーキは私たちの好きなケーキの一つだ。

4)ティムは大事な人の一人だ。

5)ブラームスはあの人の好きな作曲家の一人だ。

6)ドイツ車は一番いい車種だ。(最後を省略してもOK.)

☆☆

スパゲッティアイス。中に生クリームが入っていておいしいよ♪

☆☆

 

三つ目。

先ほどのliblings-の代わりに形容詞の最上級が入る表現。

「犬は一番人気のあるペットの一つだ。」

といった表現です。

Hunde gehören zu den beliebtesten Tieren.

形容詞beliebtが最上級beliebtestになった上で、形容詞の格変化(三格・複数)をして入っています。

最上級は「一番~だ」という意味にもかかわらず複数一番があるので文法的にeingeschränkter Superlativと呼ばれています。

例文↓

1)Katzen gehören auch zu den beliebtesten Tieren.

2)LeBron James gehört zu den besten Basketballspielern der Welt.

3)Die Bibel gehört zu den bekanntesten Büchern der Welt.

4)Der Fall Junko Furuta gehört zu den schlimmsten Mordfällen in Japan.

5)Der Leopard 2 a8 gehört zu den neuesten Kampfpanzern.

6)Der Löwe gehört nicht zu den schnellsten Tieren.

訳↓

1)猫も一番人気のあるペットの一種だよ。

2)レブロン・ジェームスは世界一のバスケットボール選手の一人だ。

3)聖書は世界一有名な本のうちの一冊だ。

4)古田順子さんの事件は日本で最も酷い殺人事件の一つだ。

5)レオパルド2 a8(ドイツの戦車)は一番新しい戦車の一つだ。

6)ライオンは一番速い動物の一種ではない。

☆☆

 

補足。

主語と三格がどちらも人である場合、主語が三格にとって欠かせない・必要だ・一緒にいる、的なニュアンスがあります。

Du gehörst zu mir.

Ich gehöre zu dir.

Wir gehören zueinander.

「僕の一部だ」的ではなく、大事であるというポジティブなニュアンスです。

 

 

☆☆

さて、ここからは応用です。

 

gehören in A

綿密にはin Aだけではなく、場所の前置詞(動くほう)であればなんでもつけることが可能です。

が、ここではわかりやすいようにin Aだけの例を取り上げます。

意味は「Aにある・いるのがふさわしい」です。

たとえば、怪我をして血を流している人に

Du gehörst ins Krankenhaus.

というと

「病院が今行くべきところだよ」

といった意味になります。治療をしてもらうべきですから、病院に行くのがふさわしい、というニュアンスですね。

他の例文も見てみましょう。

日常会話でも使われています。

日本語はただの意訳なので、シチュエーションを想像して覚えるといいと思います。

(詳しいシチュエーションは下の動画の中で解説しています。)

1)Ihr gehört ins Bett!

2)Katzen gehören ins Haus.

3)Autos gehören auf die Straße, nicht auf den Gehweg.

4)Der Täter gehört ins Gefängnis.

5)Die Füße gehören nicht auf den Tisch.

6)Du gehörst nicht in die Politik.

訳(意訳)↓

1)君たちもう寝る時間でしょ!

2)猫は家で飼うのがいい。

3)車は車道を走るべきだね。歩道じゃない。

4)この犯人は刑務所に入るのがふさわしいね。

5)足は机の上に置くもんじゃない。

6)あんたに政治はふさわしくないよ。

☆☆

 

sich gehören

=sich ziemen

=Das macht man so. Das gute Benehmen/Die gute Erziehung

再帰動詞です。

Das gehört sich.

=それは適切だ/ふさわしい。

Das gehört sich nicht.

=それは適切じゃない/ふさわしくない。

という意味です。おもに教育やマナーなどの内容に使います。

礼儀にかなっている・かなっていない、と訳してもいいでしょう。

形はいつもEs gehört sich, zu +不定詞です。

例文

1)Es gehört sich, anständig zu sein.

2)Es gehört sich, rechtzeitig zum Termin zu kommen.

3)Es gehört sich nicht, Leute zu diskriminieren.

4)Es gehört sich nicht, hinter Türen zu lauschen.

訳↓

1)礼儀正しく振舞うのは適切だ。

2)時間に余裕をもって来るのは礼儀にかなっている。

3)人を差別するのは適切じゃない。

4)盗み聞きは無礼だ。

☆☆

 

まとめ。

D=三格・A=四格

今回はgehörenの使い方を4種類勉強しました。

1)gehören D

2)gehören zu D

3)gehören in A

4)sich gehören

「~の所有物だ」「~の一部だ」「~にふさわしい」「礼儀にかなっている」など、一つの動詞が使い方によってどれだけ多用な意味になることか。

意味のカテゴリー化はこのようにできますが動詞は一つ。

ネイティブはもちろんこのようにカテゴリー化して分けてgehörenを理解していません。

総合的な理解をしています。

学習者とネイティブのとらえ方は違うことを知った上で、カテゴリー化で使い方を知り、ゆっくりと統合的にこの動詞を理解していく作業を一生かけてやっていきましょう。

 

またこれでgehörenをすべて知ったかというと、そんなことはありません。

たとえば受動態としてのgehörenなどもあります。

それはまたの機会に。

動画解説はこちらです。↓

 

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