形容詞eigenについて【ドイツ語表現】


ここでは形容詞eigenについて勉強します。

この単語はほとんどが形容詞の格変化の形で出てきます。そして読解の時に戸惑う人が多いようです。

なんで?だって日本語では一つの形容詞でまとめられないから!意味がいっぱいあるよ。

それでは何がそんなに困難なのか、いきましょう。

 

1)Das ist meine Firma.

2)Das ist meine eigene Firma.

この文の意味はそれぞれなんでしょう?

 

1)の直訳は「これは私の会社です」。

この場合意味が2通りあります。

私が働いている会社(つまり社員)

私が作った会社(つまり社長)

どちらの意味にもなります。

 

2)の直訳は「私が所有している会社です」。

つまりこれは私が作った会社である、という意味になります。

社員ではなく、会社が自分の持ち物であることを強調したい時にはこちらを使うのがいいですね。

 

このようにeigenの一つ目の意味は「所有物である」です。

das Eigentumという名詞がありますがこれも「所有物」という意味ですね。

Das Haus ist mein Eigentum.

=この家は私の所有物です(または財産です)

 

これらの例としては

Das ist mein eigenes Auto.

=(リースなどではなく自分が持っている車)

Das ist meine eigene Wohnung.

=(借りているのではなく自分が買ったマンション)

などがよく使われます。

 

ただこれらは前後の会話などにより意味が変わったりします。

たとえば

Das ist meine Wohnung.

というと最初の例のように、「私が借りている家」と「私が買った家」の両方の意味として使えますが

Das ist meine eigene Wohnung.

というと、「私が買った家」一択になります。

 

しかし

Ich bin bei meinen Eltern ausgezogen. Jetzt habe ich meine eigene Wohnung.

=実家から引っ越した。今は一人暮らしのが部屋ある。

この場合、両親と住んでいた状態から一人で住んでいる状態に変わったので、「自分だけの部屋を持った」という意味です。

つまり賃貸でも、環境が変わって大勢と住むのをやめて一人暮らしになった時は状況からmeine eigene Wohnungということができるわけですね。

 

Ich habe bisher in einer WG gewohnt. Aber jetzt habe ich endlich meine eigene Wohnung!

=今まではルームシェアをしていた。でもやっと一人暮らしができたー!

なんとなくわかるでしょうか。

☆☆

 

eigenをつけるかつけないかで意味がガラッと変わってしまう例もあります。

たとえば

1)Ich wäre gern mein Chef.

=私は(私の)社長になりたい。

2)Ich wäre gern mein eigener Chef.

=私は自分自身のボスになりたい。

1の場合は「あこがれのあの人になりたい」または「あのポジションにつきたい」といった意味があります。

例文では社長ですね。これはその人自身になりたい場合もあるし、社長のポジションが欲しいという意味でもあります。前後の脈絡で判断しなければなりません。

もう一つの例。こっちのほうが分かりやすい?

Ich wäre LeBron James.

=レブロンジェームスになりたい!

または

=レブロンジェームスのスターポジションがほしい!

(NBAのスター選手です)

の意味です。

 

2)の場合は自分が自分の社長になりたいわけですから、意訳的には「誰にも上に立たれたくない」的なニュアンスでしょうか。

私も自分自身のボスになりたいので、個人レッスンの仕事は私自身で1から10まですべて決定しています。

Ich bin meine eigene Chefin.そのものなわけです。

 

次の例。

1)Es war so laut, dass er seine Stimme nicht hörte.

=(彼は)彼の声が聞こえないほど周りがうるさかった。

2)Es war so laut, dass er seine eigene Stimme nicht hörte.

=(彼は)自分の声が聞こえないほど周りがうるさかった。

これもeigenがあるかないかで意味が変わってしまう文です。

 

1)は主語のerとseineは同一人物ではありません。話している相手の男性の声が聞こえなかったと言う意味ですね。

2)は自分自身の声が聞こえなかったという意味です。

日本語ではこのeigenは「自分自身の」と訳すことができるでしょう。

☆☆

 

次の例。

ただ強調したい時にも使うことができます。

ドイツ語の試験などで課題の提示部分によく書かれている文がこちら。

1)Schreiben Sie bitte Ihre Meinung.

=あなたの意見を書いてください。

2)Schreiben Sie bitte Ihre eigene Meinung.

=あなた自身の意見を書いてください。

 

どちらの文もよく見受けられます。der Wunsch, der Idee, der Gedanke, die Methodeなどの単語とも一緒によく使われます。

 

もう一つの例。

1)Ich habe meine Regeln.

=私は自分の規則を持っている。

2)Ich habe meine eigenen Regeln.

=私は自分自身の規則を持っている。

☆☆

1)Er will nach seinem Tempo arbeiten.

=あの人はあの人のペースで仕事をしたいと思っている。

2)Er will nach seinem eigenen Tempo arbeiten.

=あの人は自分のペースで仕事をしたいと思っている。

これも似たような例ですが、ネイティブはほぼ間違いなく2)を使うでしょう。2のほうが自然です。

 

上の例の1)はまだ許容範囲ですが、こちらの1)はちょっと意味的にアカンやつです。

1)Er hat seine Methode entwickelt.

2)Er hat seine eigene Methode entwickelt.

=彼は自分の(独自の)方法を発展させた。

という意味ですが、1)の文は「彼の方法を発展させた」が直訳です。日本語でも変ですね。すでに持っていたやり方をさらに発展させたのなら1)のような文は言葉足らずで不自然です。weiterentwickelnを使うべきです。

2)であればまだそのやり方がなかった、または別の方法でやっていたときに「独自のやり方を発展させた」から正しいのです。

eigenの他にentwickelnという動詞を理解していることも大事なんですね。

 

それでは最後の例。

これもeigenを使う一択の例です。

Mein Bruder und ich hatten als Kind ein gemeinsames Zimmer. Aber sie ist ein Einzelkind. Sie hatte ihr eigenes Zimmer.

=兄と私は子供の頃一緒の部屋だった。でもあの女の子は一人っ子だった。だからあの子は一人部屋を持っていた。

 

ここまで読んで理解された方は、この例文にeigenがつかなかったら変だなという感じを少し理解できていたら嬉しいです。

 

☆☆

まとめ。形容詞eigenには日本語でいうとだいたい

1)所有物、自分のものとしての意味

2)自分自身のという意味

3)意見や願望などの強調

で使われる、という感じでしょうか。

 

最後に述語としての形容詞で使われるeigenはどんな意味?

Er ist eigen.

あの人変わってるね/ちょっと特別だ

的な意味だよ!

自分だけの独特の世界を持っている、という感じにとらえてもいいかな。

どちらかと言えばネガティブな響きがあります。

 

動画解説はこちら↓

【ドイツ語文法42】形容詞の基礎 -Adjektiv-

形容詞の格変化 -Adjektivdeklinationen-【ドイツ語文法43】

 

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