【ドイツ語文法42】形容詞の基礎 -Adjektiv-


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形容詞とは何かと一言でいうと、何か(または誰か)の特性(Eigenschaft)を説明する語です。

たとえば

「この本ってどんな本?」

と訊かれたときに

分厚い本だよ」

難しい本だよ」

面白い本だよ」

黒い本だよ」

英語の本だよ」

これらは全て形容詞を使った答え方です。線の部分が形容詞になります。

形容詞を使ってこの本はどんな本なのか、という特性を説明しているのです。

 

日本語では「どんな~・・」という疑問に形容詞で答えるのに対し、ドイツ語では“wie”という疑問詞の答えが形容詞になります。

A:Wie findest du das Buch?

=この本どう思う?

B:Ich finde das interessant.

=面白いと思うよ。

interessantの部分が形容詞ですね。

「元気?=Wie geht’s dir?」という日常的な問いにも「元気だよ=Mir geht’s gut.」と形容詞で答えていますね。

 

人についても“どんな人”と性格や外見などを表現するときには形容詞を使います。

書くときは、ドイツ語の名詞は文のどこにあっても最初は大文字表記ですが、形容詞は小文字表記です。

A:Wie sieht Jan aus?

=ヤンってどう思う?

B:

Er sieht jung aus.
=若く見えるよね

Er sieht sympathisch aus.

=いい人そうだよね

Er sieht gut aus.

=かっこいいよね

Er sieht krank aus.

=体調悪そうだね。

 

ここまでを一度まとめておきます。重要な点は以下の3つです。

・形容詞とは、名詞の特性(Eigenschaft)を説明する語である。

・wieを使った文で訊かれたら形容詞で答える。

・小文字で書かれる。

形容詞の単語を増やしたい方は形容詞の基礎200単語へ。

 

それでは今から、ドイツ語の中での形容詞の文法的機能について見てみましょう。

形容詞にはおもに独立した使い方と、名詞にかかる使い方の2通りがあります。

独立した使い方は

1.述語としての形容詞:

Er ist stark.
(彼は強い)

2.形容詞+動詞(副詞として):

Er hat es stark verweigert.
(彼はそれを強く拒んだ)

3.比較級・最上級:

Er ist stärker als sie/am stärksten.
(彼は彼女より強い。彼は一番強い)

 

上記の3つの使い方の特徴は、形容詞が独立した意味を持ち、周りの語に影響を受けていないということです。

逆に名詞に影響を受けて形が変わるのが↓の使い方です。

4.名詞の前につく形容詞

der starke Polizist ist da.

(強い警官がいる。)

Er ist ein starker Polizist.

(彼は強い警官だ。)

こちらの形容詞は冠詞と名詞の間に入り、名詞の性と格によって語尾の形が変化します(形容詞の格変化)。

 

*日本語には形容動詞という品詞がある通り、形容詞は動詞におおいに影響を受けて形も変わります。(例:強い→彼は強抵抗した。)

しかしドイツ語の中で形容詞は動詞に影響されることはありません。名詞にのみ影響されて形が変わります。

その点から、日本語の形容詞は動詞的な働きをし、ドイツ語の形容詞は名詞的な働きをするという文法の違いがあります。

 

今回は形容詞の形が変わらず、文の中で独立している形容詞を今から見て、次回の文法で形が変わる形容詞の格変化と比較級・最上級の文法と段階的にやっていきます。

 

形容詞の形が変わらず、文の中にそのまま入れるだけで使えるものは2通りです。

1.述語的な用法

2.補語的な用法

この2つは文の動詞によって区別されます。

 

まず述語的な用法から見ていきましょう。

述語的な形容詞の使い方というのは、主語が主語+動詞+形容詞の形になるものです。形容詞が文法の一部として機能しており、入らないと文は成り立たないものです。

この形を作れる動詞は4つしか存在しません。sein, werden, bleiben, aussehenです。

・Das Kind ist aktiv.

=この子は元気だ。

・Das Gebäude wird alt.

=この建物は古くなtている。

・Das Wetter bleibt warm.

=暖かい天気が続いている。

・Der Vertrag sieht nicht schlecht aus.

=この契約は悪くなさそうだね。

このように動詞の後に形容詞のみを置いて述語として機能させることができるのでこの4つの動詞のみなのです。

主語はどんな特性(wie)があるのかを述語(形容詞)で説明している文ですね。

 

語彙の補強にこの形の様々な形容詞の文も紹介しておきます。

A:Wie ist das Auto?

=この車、どんな感じ?

B:Das Auto ist groß / klein / schnell / langsam / schön / hässlich / neu / alt / rot / schwarz / blau / sauber / dreckig / laut / leise / eckig / rund / kaputt / teuer / billig…..

この車の大きさ、速さ、見た目、形、色、値段など、いろいろな形容詞を使って表現しています。

これらの形容詞は基本中の基本ですので、意味はご自身で調べて記憶しておきましょう。(形容詞の基礎200単語

 

また、人の性格なども様々な形容詞のバリエーションがあります。

A:Wie findest du Anna?

=アンナのことどう思う?

B:Sie ist schön / hübsch / nett / lieb / schlau / Intelligent / treu / mutig / großzügig / freundlich / tierlieb / lustig / böse / tollpatschig / umständlich / hektisch / nervig / geizig / träge / einfach / spontan….

ピンクがポジティブ、ブルーがネガティブ、黄色がニュートラルの意味をもつ形容詞です。キャラクターを表す形容詞はこれ以外にもたくさんありますのでゆっくりと語彙を増やしていってください。

 

もう少し例を見てみましょう。次は感情を表すもの。

A:Wie war die Prüfung heute?

=今日のテストどうだった?

B:Sie war gut / leicht / einfach / entspannt / geschenkt / interessant / schlecht / schwierig / schwer / unmöglich / verwirrend / schmerzhaft

もちろん、各形容詞の前にnichtを付けると否定の意味にもなります。

 

感想を表すものの一例も。

A:Wie war dein Urlaub?

=休暇どうだった?

B:Mein Urlaub war schön / unvergesslich / wunderbar / erholsam / entspannt / schrecklich / grauenvoll / langweilig….

 

 

少し難易度の高い形容詞(しかし日常会話ではよく使われる)も。これは実際に街角であったインタビュー動画から形容詞だけを抜き出したものです。

A:Was denkt ihr als Schweizer über Deutsche?

=スイス人たちはドイツ人のことをどう思ってるの?

B:Deutsche sind angenehm / anständig / freundlich / lustig / direkt / positiv / offen / locker / sympathisch / ehrlich / flott / selbstbewusst / knausrig / arrogant / überheblich / aufbrausend / zu korrekt / engstirnig…

これらの例は全て動画で日本語訳つきで解説していますので、意味をてっとり早く知りたい方はこちらの動画をどうぞ。→【文法42】形容詞

 

 

ではsein, werden, bleiben, aussehen以外の本動詞が文に入る場合を見てみましょう。

こちらが補語的な用法です。

先ほどの述語的用法との決定的な違いは、述語としての形容詞は必ず必要、つまりつけないと文が成り立たない部類のものですが、補語的な形容詞はあってもなくても文法的には影響がないということです。

例)

Ich mache schnell die Hausaufgabe.
(=早く宿題を終わらせる。)

この文は形容詞schnellがなくてもIch mache die Hausaufgabe.という、完全な文ができています。

つまり補語的な用法の形容詞は文法的な影響力はなく、文に意味を付け足す語として機能します。

このような形容詞の使い方はsein, werden, bleiben, aussehen以外のすべての動詞で可能です。

 

このような形容詞の使い方は考え方によっては非常に便利で、たとえば

「スーパーにはお腹がいっぱいの時に行く方がいい。」

という文をドイツ語にすると

Man sollte satt zum Supermarkt gehen.

と非常に単純に表現することができます。

日本語では「お腹いっぱいの時に」と表現しなければならないところを形容詞sattをそのまま入れただけで同じ意味になるからです。

ホント便利!

 

それでは形容詞がどのように出てくるのかもっと知るために、物語で例を見てみましょう。

次の物語は、一文に一つの形容詞を入れてあります。形容詞を特定した上で読解にも挑戦してみましょう。

どの位置に形容詞が入っているのかや、どのような表現で使われているのか、また形容詞が入ったことにより文の意味がどう違ったかなど、考えながら読解してみてください。レベルはA2程度です。

Tim und sein Großvater liegen erschöpft unter einem Baum und schlafen. Zuvor haben sie fleißig im Garten gearbeitet. Timo hat in den Beeten gewissenhaft das Unkraut gejätet. Der Großvater hat die langen Zweige gründlich abgeschnitten. 

Sie waren sehr müde. Als sie langsam aufgewacht sind, war der Himmel regnerisch. Sie sind schnell reingegangen.

 

答えはこちらです↓

Tim und sein Großvater liegen erschöpft unter einem Baum und schlafen. Zuvor haben sie fleißig im Garten gearbeitet. Timo hat in den Beeten gewissenhaft das Unkraut gejätet. Der Großvater hat die langen Zweige gründlich abgeschnitten. 

Sie waren sehr müde. Als sie langsam aufgewacht sind, war der Himmel regnerisch. Sie sind schnell reingegangen.

(日本語訳の確認は動画をご覧ください。)

このように、形容詞が入ることで一文一文の表現の幅が広がり、物語が読者の中で生き生きとしてくるような感覚があるのがなんとなくわかりましたでしょうか?

 

 

形容詞が使われる平均的な割合は全体の約13~14%ぐらいだそうです(約75%は名詞)。つまり10単語あればその中の1~2単語が形容詞という割合ですね。

決して多くはなく、文法的な影響は少ないですが様々な表現力を伝えるうえで欠かせない品詞でもあります。

一つでも多く実践で使えるよう、文法だけでなく形容詞は特に単語の習得にも力を入れることをお勧めします。

形容詞の解説動画はこちら↓

 

今回紹介した形容詞は形そのものは変わらずにそのまま入れられるものでしたが、次の文法では形の変わる形容詞の用法を勉強します。

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