過去の表現2:過去形【ドイツ語文法18】
Es war spät abend als K. ankam.
(Kが到着したのは、晩遅くであった。『城』フランツ・カフカ)Oft ging ich ins Heidelberger Schloß…
(私はよくハイデルベルク城へ行った・・・。『恐ろしいドイツ語』マーク・トウェイン)Im achtzehnten Jahrhundert lebte in Frankreich ein Mann, der…
(18世紀のフランスに、一人の男が住んでいた・・・。『ある人殺しの物語』パトリック・ジュースキント)
上の3文は、重要なドイツ文学の小説やエッセイの冒頭です。
赤の部分は動詞。現在完了形(Perfekt)ではなく、過去形(Präteritum)で書かれているのが一般的です。
今から勉強する過去形は、会話では一部の動詞を除いてほとんど使わないし聞くことも少ないです。
つまり読んで理解できればいいです。
過去形は、動詞が現在形と同じ位置(2番目)に来る上に、人称変化があることが特徴です。
規則動詞は現在形に非常に似ているため、覚えやすいです。
いくつかの規則動詞を過去形にしてみましょう。
過去形(Imperfekt) | lernen(学ぶ) | arbeiten(仕事する) | machen(する) |
ich | lernte | arbeitete | machte |
du | lerntest | arbeitetest | machtest |
er, sie, es | lernte | arbeitete | machte |
wir | lernten | arbeiteten | machten |
ihr | lerntet | arbeitetet | machtet |
sie | lernten | arbeiteten | machten |
3つの人称変化を見比べると、明らかに規則性がありますね。
語幹の後につくものが共通しています。だから規則動詞です。
特徴的なのは現在形とは違い、過去形では一人称単数(ich/私)と三人称単数(er../彼..)が同じ形になるということ。
※arbeitenのように語幹の最後が“t”で終わる語は“e”が追加されて発音しやすいようになります。
分離動詞の場合は?これも表で見てみましょう。
過去形(Imperfekt) | einkaufen(買い物をする) | aufmachen(開ける) | aufräumen(片づける) |
ich | kaufte ein | machte auf | räumte auf |
du | kauftest ein | machtest auf | räumtest auf |
er, sie, es | kaufte ein | machte auf | räumte auf |
wir | kauften ein | machten auf | räumten auf |
ihr | kauftet ein | machtet auf | räumtet auf |
sie | kauften ein | machten auf | räumten auf |
説明するまでもなく、前綴りが分離し、後ろに来る形になります。
自分で過去形になおして練習してみましょう!⇒ 基礎的な規則動詞の一覧はこちら。
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会話でもよく使われる過去形について。
ほとんどの過去形は新聞や物語などの書面でしか使われませんが、いくつかの動詞は会話でもよく過去形でつかわれます。
sein, haben, wissen, denken, meinen, finden, などです。
とはいえこれらの動詞は、現在完了形で使われることも多いのでどちらを使っても自然なのですが、これらの動詞の過去形は聴いて理解できる必要があります。
これらはすべて不規則動詞です。
この2つの表だけは全部暗記しましょう。
過去形 | sein(~である) | haben(持っている) | wissen(わかっている) |
ich | war | hatte | wusste |
du | warst | hattest | wusstest |
er, sie, es | war | hatte | wusste |
wir | waren | hatten | wussten |
ihr | wart | hattet | wusstet |
sie | waren | hatten | wussten |
過去形 | denken(考える) | meinen(思う) | finden(思う) |
ich | dachte | meinte | fand |
du | dachtest | meintest | fandest |
er, sie, es | dachte | meinte | fand |
wir | dachten | meinten | fanden |
ihr | dachtet | meintet | fandet |
sie | dachten | meinten | fanden |
よく使われる過去形の会話例)
A:Du hattest doch gestern so starke Kopfschmerzen. Sind sie weg?
(昨日ひどい頭痛があったんでしょ?もう大丈夫?)
B:Ja, Zum Glück. Die Schmerzen waren wirklich schlimm….
(うん、幸いなことに。あの痛みはまじでやばかった・・。)
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A:Gestern war das Wetter so schlecht. Da hatten wir heute doch noch Glück.
(昨日はひどい天気だったね。私たちは今日まだラッキーだった。)
B:Ja wirklich. Ich dachte eigentlich, dass wir heute doch nicht gehen konnten.
(本当に。私は今日行けないと思ってたから。)
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過去形の不規則動詞について。
不規則動詞には、現在完了形同様、いろいろな形があります。
例をあげてみましょう。
過去形 | gehen(行く) | kommen(来る) | essen(食べる) | sehen(見る) |
ich | ging | kam | aß | sah |
du | gingst | kamst | aßest | sahst |
er, sie, es | ging | kam | aß | sah |
wir | gingen | kamen | aßen | sahen |
ihr | gingt | kamt | aßt | saht |
sie | gingen | kamen | aßen | sahen |
このようになります。
でも!
よく考えると、これらの語は書き言葉で出てくるのみ。ニュースなどはほぼすべて3人称で書かれているため、単数形と複数形が出てくるにすぎません。
また、エッセイや一人称を主人公にした小説では一人称がでてきます。
過去形では一人称単数と三人称単数の形は同じ。
つまり覚えるのはgehenならgingのみでいいんです。複数形ならそれに-enをつけてgingenこれだけ。
不規則動詞なので一人称だけは覚える必要がありますが、それ以外は省略するのが賢いです(知っておくのだけは必要)。
理論上はduもihrも存在しますが、実際は一切出てこないと考えていいです。
過去形と現在完了形の不規則動詞をまとめた表がこちらです。
表に書かれている過去形(Präteritum)は一人称単数または三人称単数の形です。
現在ー過去ー現在完了の3パターンの変化をドイツ語の動詞三基本形といいます。
覚えるには、たくさん練習することが一番の近道。
1.ここにある45の現在形の例文を過去形に変えてみましょう。
次に
2.ここにある45の現在完了形の例文を過去形に変えてみましょう。
2つとも終わったら見比べて答え合わせをしてみてください。
2回、同じ文が書けていますか?
さらに練習問題もやってみましょう。回答は一番下です。
※ドイツで過去形はPräteritum, 現在完了形はPerfektと呼ばれます。
しかし過去形はImperfektという言い方もあります。
なので“In Perfekt”だと現在完了形、“Imperfekt”だと過去形と、発音がとてもややこしいです。
でもこの2つの語は別の形なのだと覚えておきましょう。
ドイツでドイツ語を勉強する人はとくに注意。
過去形の文法解説動画はこちら。耳でもインプットを!↓
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