否定形のつくり方:nein, kein, nichtの違いと使い方解説【ドイツ語文法10】


ドイツ語の否定語はおもにnein, kein, nichtの3種類があります。

・nein:Willst du einen Kaffee?   – Nein, Danke.(コーヒーいる? 答:ううん、ありがとう。)

・kein:Ich will im Moment keinen Kaffee.(今はコーヒーいらない。)

・nicht:Der Kaffee ist nicht lecker.(このコーヒーおいしくない。)

3つとも日本語でいう「~ない」という同じ意味の否定語。いつどの語を使えばいいのか、だいたいの規則があります。

 

1.否定語“nein”の使い方。

neinは質問に対して否定的な答え(いいえ)をするときに使います。文の中に出てくることはなく、neinのみ簡単に使えます。

例文:

-Kommst du aus Korea?   –Nein,nein, ich komme aus Japan.(韓国から来たの? 答:ちがうちがう、日本からだよ。)

-Kevin, antworte mit ja oder nein.(ケビン、はいかいいえで答えて。)

-Japaner können ja nicht einfach nein sagen.(日本人はね、簡単にいいえって言えないの。)

-Ich bin erkältet und habe Fieber.  -Oh nein, wie geht es dir?(風邪ひいて熱でちゃった。 答:わーだめじゃん、どうしたの?)

※大変なことや悲しいことが相手に起こった時に“Oh, nein”という表現は同情の意味でよく使われる。

※よく使われるneinの表現:“nein sagen” “ja oder nein” “nein, nicht..” “aber nein” “nein, Danke” “leider nein”など。

※口語ではよくneinのかわりに、略語である“nee”が使われる。

 

2.否定語“kein”の使い方。

“kein”は不定冠詞がつく名詞または、複数形を含む冠詞がつかない(ゼロ冠詞)名詞を否定するときに使います。

例文:

不定冠詞がつく名詞の例
-Ich habe ein Auto.(私は一台車を持っている。)⇒ Ich habe kein Auto.(私は車を持ってない。)

複数形の名詞の例
-Magst du Hunde?(犬は好き?)⇒Ich mag keine Hunde.(犬は好きじゃない。)

ゼロ冠詞の名詞の例
-Hast du Durst?(のど乾いてる?)⇒Ich habe keinen Durst.(乾いてないよ。)

もうお気づきかと思いますがkeinには格変化があります。不定冠詞の格変化に相当し、前にk-がつくだけです。

keinの格変化表

Kasus(格)maskulin(男性)feminin(女性)neutral(中性)Plural(複数)
Nominativ・がkeinkeinekeinkeine
Genitiv・のkeines   -skeinerkeines   -skeiner
Dativ・にkeinemkeinerkeinemkeinen   -n
Akkusativ・をkeinenkeinekeinkeine

※不定冠詞einは複数形がありませんが、否定語keinは複数形があります。上の2番目の例のように、複数形で質問されたときは、複数形で答える必要があります。

 

3.否定語“nicht”の使い方。

“nicht”は3つの中で最もよく使われる否定語です。keinは限られた冠詞を持つ名詞の否定にしか使えませんが、名詞以外の語には(たとえば形容詞や動詞、副詞の否定)nichtが使われます。

1.定冠詞、所有冠詞指示冠詞、のどれかがつく名詞を否定するとき。

-Ist das dein Geldbeutel?  -Nein, das ist nicht mein Geldbeutel.
(これ君の財布? 答:ううん、私の財布じゃないよ。)

-Diese Antwort ist nicht die Gleiche wie eben.
(その答えはさっきのと同じじゃない。)

-Ich will nicht diese Uhr kaufen, sondern die Andere.
(私が買いたいのはこの時計じゃなくて、あの時計なの。)

上の例文はすべて名詞(正確には冠詞)の前についている否定形です。

 

2.形容詞や副詞を否定するとき。

-Heute ist es nicht kalt.
(今日は寒くない。)

-Das ist nicht fair!
(それはフェアじゃない!)

-Ich schwimme nicht gern.
(私は泳ぐのが好きじゃない。)

※nichtは必ず形容詞や副詞の前につく。

 

3.前置詞つきの補語を否定するとき

-Ich will heute nicht zur Uni.
(今日大学に行きたくない。)

-Sie kommt nicht vor 21 Uhr nach Hause.
(彼女は21時より前に帰ってくることはないよ。)

-Ich bin nicht bei Anna.
(私はアンナのところじゃないよ。)

 

4.名前を否定するとき

-Er ist nicht Mark, sondern Peter.(彼はマークじゃなくてぺーターだよ。)

 

5.動詞を否定するとき(文否定)

-Ich kaufe das Buch nicht.(私はこの本を買わない。)

-Er schläft noch nicht.(彼はまだ寝ない。)

――――――

またnichtに“-s”をつけると、強い拒否をや全否定を表す言葉になります。

-Er macht nichts im Haushalt.
(彼はひとつも家事をしない。)

-Sie hat nichts gesagt, aber ich weiß, was sie denkt.
(彼女は一言も言わなかったけど、私は彼女の気持ちを理解できる。)

 

4.“nicht”の位置。

否定形にはそもそも、全体を否定する文否定部分否定の2種類があります。どちらのパターンかによってnichtの位置が変わります。

文否定とは「彼はドイツ語を勉強しない」のように文全体の否定で、部分否定は「彼はドイツ語勉強しない(でもイタリア語は勉強する)」というように文の一部(ドイツ語)のみを否定しています。

文否定のnichtは基本的に文末に置かれます。ただし動詞が文末にある場合はその前に置かれます。

-Ich kenne seinen Bruder nicht.
(私は彼の兄と知り合いではない。)

-Er arbeitet heute nicht.
(彼は今日仕事をしない。)


動詞が文末にある場合

-Ich habe seinen Bruder nicht kennengelernt.
(私は彼の兄と知り合わなかった。)

-Er will heute nicht arbeiten.
(彼は今日仕事をしないつもりだ。)

 

部分否定のnichtは、否定する語のすぐ前に置かれます。そうすることでその語だけを強調させます。そしてその後にsondernの文が続くことも多いです。

-Sie fährt nicht heute, sondern morgen ab.
(彼女は今日じゃなくて明日出発するよ。)

-Er ist nicht heute, sondern gestern gekommen.
(彼は今日じゃなくて昨日来たよ。)

※ちなみにkeinの入った否定文の全否定をするときも最後にnichtをつけれます。

(部分否定)Ich mag keine Hunde.
(全否定)Ich mag Hunde nicht.

 

さらにnichtは、上の例からもわかるように形容詞や副詞、前置詞と補語がつく語がある場合は基本的に前につきます。(nicht warmやnicht gern,nicht auf dich,など。)

nichtは文の最初に来ることもあります。否定のニュアンスが非常に強調されます。たとえばnicht+動詞の原形で誰に対しても言える簡単な命令形になります。(Nicht schlafen!=絶対寝たらあかん!/Nicht vergessen.=絶対忘れないで)

――――――

※ドイツ語の否定語はこの3つ以外にもあります。たとえばkaum(ほぼ~ない)、weder~ noch~(~でも~でもない)また形容詞の前にun-をつけることでglücklich(幸せ) ⇒ unglücklich(幸せじゃない)になったりします。参考程度に。

※ドイツ語に関する疑問は質問コーナーのコメント欄に書き込みください。

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