副文の接続詞3:時間に関する接続詞【ドイツ語文法40】
前回、前々回につづき、3回目の今回は時間に関する副文の接続詞(Temporale Konjunktionen)を一気に紹介します。
時間を「時点:Zeitpunkt」と「流れ:Zeitdauer」に分けてそれぞれ接続詞をふりわけます。
時間の時点を表す接続詞は
bevor(~する前)
nachdem(~した後)
sobald(~したらすぐに)
als / wenn(~した時)
時間の流れを表す接続詞は
seitdem(~してから)
solange / während(~する限り、する間)
bis(~するまで)
これらの接続詞を例文とともに見ていきましょう。
bevor(~する前)
「ごはんを食べる前に手を洗う」のように何かをする前にという意味をもつのが接続詞bevorです。
日本語は「前に」のまえには現在形しかつけることができませんが(ごはんを食べた前に・・は言えない)ドイツ語の場合はbevorの後ろに過去の形を入れてももんだいありません。
以下の文は1が現在形、2が過去形、3は時制をバラバラに混ぜた文です。
1.Bevor ich esse, wasche ich mir die Hände.
=ごはんを食べる前に手を洗う。
2.Bevor das Konzert begann, stimmten die Musiker ihre Instrumente.
=コンサートが始まる前に、オーケストラの団員は楽器をチューニングした。
3・Bevor ich angefangen habe, Deutsch zu lernen, dachte ich nicht, dass es so schwierig ist.
=ドイツ語を勉強し始める前は、そんなに難しくないと思ってた。(=でも難しかった)
2の文は過去形でかいてありますが、過去の時点が2つあるため、過去完了形にしても何の問題もありません。
(bevor das Konzert begann, hatten die Musiker ihre Instrumente gestimmt.)
nachdem(~した後)
bevorと逆の意味をもっているのがnachdemですね。
「手を洗った後にごはんを食べる」のように先ほどのbevorと、主文副文の内容が交換されています。
主文のほうは過去、現在どちらでもかまいません。
過去完了形も使えます。
1.Nachdem ich mir die Hände gewaschen habe, will ich essen.
=手を洗った後、ごはんを食べたい。
2.Nachdem ich mich geduscht habe, habe ich mich wohl gefühlt.
=シャワーを浴びた後はさっぱりする。
3.Nachdem er sein Studium beendet hatte, machte er eine Abschlussreise.
=大学を卒業した後、彼は卒業旅行をした。
sobald(~したらすぐに)
sobaldは主文と副文の時間の間隔が極端に短い時に使えます。
「~すると同時に」の意味ですね。
主文には圧倒的に現在形が使われます。過去の形が使われることは稀です。
副文には過去形が使われることが多いでしょう。しかし副文は現在形も普通に使われます。
なぜなら「電話がきたらすぐに教えるね」のように、何かが起きたことを想定し、その次に何をすることを決めているときに言われるからですね。
現在形というより厳密には未来の出来事のほうが正しいかもしれません。
1.Ich sage dir Bescheid, sobald ich die Information bekommen habe.
=情報を得たらすぐに教えるね。
2.Ich komme nach Hause, sobald ich mit der Arbeit fertig war.
=仕事が終わったらすぐ帰ってくるね。
3.Sobald ich in Deutschland angekommen bin, rufe ich dich an.
=ドイツに着いたらすぐに電話するね。
4.Sobald es die Corona-Beschränkung nicht mehr gibt, werde ich Reisen.
=コロナ規制がなくなったらすぐに旅行にいっちゃう。
4番目の文だけはsobaldのあとに副文が現在形になっていますね(日本語は過去形しかつかえませんが)。
一般的なのは1,2,3の文のように副文(過去)+主文(現在)の組み合わせです。
als / wenn(~した時)
alsとwennは日本語ではどちらも「~した時」という意味ですが、微妙な意味の違いと時制の違いがあります。
als→過去に一回きりで起きたことのみ
例)Als sie krank war, hat er für sie gekocht.
=彼女が病気だった時、彼は料理をしてあげた。
(意味:彼が料理をしてあげたのは一回きりだった。)
wenn→何度も起きている出来事、過去も現在も可
Wenn sie krank war, hat er für sie gekocht.
=彼女が病気だったとき、彼は料理をしてあげた。
(意味:彼は何度も料理してあげていた)
wennはimmer(いつも)と一緒に入ることも多いですね。
上の文はImmer wenn sie krank war, hat er für sich gekocht.やWenn sie krank war, hat er immer für sie gekocht.のようにimmerを入れると意味が明確になります。
さらに例文を見てみましょう。
alsだったりwennだったりするので、文の意味と照らし合わせ、なぜその文はwennではなくalsなのか、またその逆なのかを考えながら勉強してみましょう。
1.Die Kinder sind glücklich, (immer) wenn die Oma zu Besuch kommt.
=おばあちゃんが来たときは子供たちはいつも嬉しそうだ。
2.Er ist ausgewandert, als er 12 Jahre alt war.
=彼は12歳の頃に海外移住をした。
3.Als ich 10 Jahre alt war, habe ich angefangen, Basketball zu spielen.
=10歳だった時にバスケットボールを始めた。
4.Wenn wir uns gesehen haben, hat er mich jedes Mal freundlich gegrüßt.
=私たちが会った時、彼はいつも笑って挨拶してくれた。
5.Immer wenn ich mit dem Bus gefahren bin, habe ich diese Frau gesehen.
=私がバスに乗ったときはいつもあの女性を見かけた。
6.Immer wenn ich in Österreich war, habe ich Deutsch gesprochen.
=オーストリアにいたとき、私はいつもドイツ語を話していた。
7.Wenn du müde bist, musst du es sagen, dann machen wir eine Pause.
=疲れた時は絶対言ってよ、休憩するからね。
またwennは2つ前の文法、副文の接続詞(1)でも一度解説しています。
ここではfallsとwennを対比させ「もし」という意味で紹介しています。
(1)で紹介したwenn「もし~の時」と今回のwenn「~の時」は非常に意味が似ています(時にはほぼ同じ)ので、どちらの例文も、そして使い方もよく見ておきましょう。
またimmer wennのように「いつも~の時は」など、immerが文の中に入っている場合は「もし」という意味はなく、「~の時」という意味になります。
seitdem/seit(~してから)
seitは継続の接続詞の一つです。「ドイツに来てから〇年になる」のように現在も継続中の事柄に使えます。
つまりドイツに今も住んでいるということですね。
seitdemに特徴的なのは、主文か副文のどちらかまたはどちらも現在形になるということです。
ここでは両方の例を見てみましょう。
1.Ich lerne Deutsch, seitdem ich in Deutschland lebe.
=ドイツに住んでからドイツ語を勉強している。
2.Seit dem ich studiere, wohne ich in München.
=大学に入ってからミュンヘンに住んでいる。
3.Ich liege im Krankenhaus, seitdem ich einen Unfall hatte.
=事故にあってから入院している。
4.Seitdem Pit eine Freundin hatte, ist er sehr glücklich.
=ピットは彼女が出来てから毎日とってもハッピーだ。
5.Seitdem sich das Corona-Virus ausgebreitet hat, müssen wir oft zu Hause bleiben.
=コロナウイルスが蔓延してからほとんど家にいなければならない。
6.Seit dem ich wieder Sport mache, habe ich drei Kilo abgenommen.
=また運動しはじめてから3キロ減った。
seitdemはseitと置き換えることもできます。
solange / während(~する限り、する間)
solange(~する限り)とwährend(~する間)は意味が似ていますね。
たとえば
・Solange es regnet, können wir nicht spazieren gehen.
=雨が降ってる限り散歩に行けない。
・Während es regnet, können wir nicht spazieren gehen.
=雨が降ってる間、散歩にいけない。
この2つの文はsolange/währendどちらを入れても成り立ちます。
しかしこの文はどうでしょう。
・Während ich studiere, muss ich ein Praktikum machen.
=大学にいる間に実習をしなければならない。
この文はsolangeが使えません。
なぜかというとsolangeは主文と副文の時間の長さが同じ場合にのみ使えるからです。
たとえば大学にいる期間(4年間)と実習をする期間(3か月)なら、時間の長さが違うのでsolangeが使えず、そういう場合にはwährendを使うということです。
逆に次の文はsolangeがふさわしいでしょう。
1.Solange du schlank bist, musst du viel Essen.
=痩せている限りいっぱい食べなきゃね。
2.Solange du keine Grammatik lernst, wird dein Deutsch nicht besser werden.
=文法を勉強しない限りドイツ語はうまくならないよ。
最初の文は「痩せている期間=いっぱい食べる期間」なのでsolangeがふさわしいです。
また2つ目の文も「文法を勉強しない期間=ドイツ語がうまくならない期間」です。
bis(~するまで)
これはそのままの意味で比較的わかりやすいかと思います。
時制も何でも使えます。
・Bis der Zug abfährt, haben wir noch fünf Minuten Zeit.
=電車が出発するまでにまだあと5分あるよ。
・Bis ich eine neue Wohnung gefunden habe, muss ich hier bleiben.
=新しい家が見つかるでここにいなきゃいけない。
・Ich muss hart arbeiten, bis ich Ferien habe.
=休みが来るまできつい仕事しなきゃならない。
・Bis das Opfer gerettet wurde, hat es drei Stunden gedauert.
=被害者が救出されるまでに3時間かかった。
・Ich warte hier auf dich, bis du wieder zurückkommst.
=戻ってくるまでここで待ってるね。
bisは前置詞にもありますので、後ろに何がついているのかで接続詞と見分けましょう。
bis+名詞/代名詞なら前置詞、bis+副文なら接続詞です。
動画解説もあります。↓