定冠詞と不定冠詞の使い方10パターン【ドイツ語文法6】
前の文法で、定冠詞と不定冠詞の格変化を学びました。
ここでは名詞の前に(ほぼ)付ける必要がある定冠詞と不定冠詞の使い分け方について。
いつ定冠詞を、いつ不定冠詞をつけるのかを徹底解説します。
定冠詞(Bestimmter Artikel)の“bestimmt”とは「確かな」「特定の」という意味です。1
不定冠詞(Unbestimmter Artikel)の“unbestimmt”とは「漠然とした」「不特定の」という意味です。2
例を挙げていくつかのパターンを見ていきましょう。
例1)
・Das ist ein Buch.
= これは本です。
・Das Buch heißt “Naokos Lächeln” von Haruki Murakami.
= この本は村上春樹の「ノルウェイの森」という。
例2)
・Das ist ein Bahnhof.
= これは駅です。
・ Das ist der Bahnhof von Heidelberg.
= これはハイデルベルク駅です。
最初の文は、対象物は目の前にあるものの、聴くだけだとどの本なのか、どの駅なのかといった対象がはっきりしません。どのような本や駅なのかは重要ではなく、そこに駅や本がひとつあることが重要なのです。
しかし、2文目は完全に特定されています。
このように「聴くだけでは」対象が特定できない時は不定冠詞を使います。
逆に定冠詞は聴くだけでも完全に対象を特定できます。
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例3)
・Die Erde ist blau.
= 地球は丸い
・Das Eis ist kalt.
= アイスは冷たい
一般的な共通認識として知られていること、または一つしか存在しないものについては定冠詞を使います。
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例4)
Es gibt einen Computer. Der Computer ist neu.
=コンピューターがある。そのコンピューターは新しい。
ここでは「コンピューター」という語が2度出てきます。一文目は不定冠詞、二文目は定冠詞です。
この名詞を初めて使う場合に不定冠詞、そしてすでに出てきた名詞をもう一度使う場合は定冠詞になります。
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例5)
・Lena ist eine Freundin von Mark.
= レナはマークの友達です。(たくさんの友達のなかの一人)
・Lena ist die Freundin von Mark.
= レナはマークの彼女です。(たった一人の特定の友達=恋人)
例6)
・Der Hund holt einen Stock.
= 犬が枝を拾っている。(たくさんの枝の中から一つ枝を拾う)
・Der Hund holt den Stock.
= 犬がその枝を拾っている。(特定の一つの枝)
たくさんの同じ種類のものの中の一つ、またはたくさんの人の中の一人を指すときは不定冠詞。
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例7)
・Der Vater holt eine Zeitung.
= 父は新聞を取りに行く。(今日来ている新聞=特定の一つの物)
例8)
Ich will ein Buch kaufen.
= 私は本を買いたい。
頭の中では私はどのタイトルの本を買いたいのか特定している。が、そのタイトルの本は同じものがいくつも印刷されているはず。だから不定冠詞を使わなければならない。本屋に行ってその一冊を指さして初めて“Ich will das Buch kaufen.”といえる。
ちなみにどの本を買いたいかわからないけど、何か一冊買いたい場合は通常、“Ich will irgendein Buch kaufen.”と表現する。つまり上記の文はタイトルは特定していると解釈してよい。
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例9)
Ich will ein Buch kaufen. Ich habe das Buch gestern gesehen.
= 私は本を買いたい。昨日見かけた本なの。
2文目に出てくる定冠詞は、すでに前に出ているので特定されている。
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例10)
Ich möchte irgendwann eine Freundin haben.
いつか彼女がほしいなぁ。
不特定の中から一人の女性がほしいので不定冠詞。
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まとめ
不定冠詞は
1.数の「1」をあらわす
2.特定のひとつの物事を指す(例1、例2、例7.例8)
3.不特定のひとつの物事を指す(例10)
4.カテゴリーの中のひとつの物事を指す(例5、例6)
定冠詞は
1.世界に一つしかない物事(例3)
2.共通の認識がある物事(例3)
3.確実に特定されているものを指す(例1、例2)
4.文の中にすでに出てきた物事を指すとき(例4、例9)
定冠詞の場合、誰からも特定されている物事についてなので問題ないのですが
不定冠詞のほうは、複数の意味をもつことが多々あります。
たとえばさっきの
Ich möchte eine Freundin haben.
という文は、彼女いない、または彼女がほしがっている男性が言うと「彼女がほしいなぁ」という意味になりますが
男友達しかいないと愚痴った誰かがこの文を言うと「女性の友達がほしいよ」という意味になります。
このように、常に背景と隣り合わせにして解釈する必要があります。
ドイツ語の読解で、いつ定冠詞でいつ不定冠詞がついているのか研究するのもいい勉強になります。
定冠詞と不定冠詞の勉強はずっと終わらない課題です。
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こちらでも定冠詞と不定冠詞、ゼロ冠詞について解説しているので参考にどうぞ。
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