「家」のドイツ語:Haus v.s. Hause【ドイツ語表現】
ドイツ語の「家」の表現にはHausとHauseの2種類があることを不思議に思う人も多いのではないでしょうか。
日常でよく使う「家に帰る」はins Hausじゃなくてnach Hauseだよ!と言われてなんで?と思ってませんか?
しかも文法もいろいろおかしいです。
Hausのほうは性別と格を持つ普通の名詞ですが、Hauseには性別も格もありません。
そういう意味ではHauseのほうが普通の名詞ではありませんね。例外的な使われ方をする名詞なのです。
以前は男性・中性名詞の三格に-eをつけて使われることがよくありました。
たとえばim Jahrがim Jahre、mit dem Kindがmit dem Kinde, auf dem Wegがauf dem Wegeといった感じです。
現在も書面ではたまに見かけることもありますが、ほとんど使われなくなったため、文法書にはもう載っていませんね。
Hauseはこの名残なのです。im Hauseの形からHauseだけが残り、実践を通してニュアンスが少し変わった形で現代は使われているのですね。
これは文法は後付けであるといういい例です。つまり単語の意味や使い方は日常会話で使われる中で変化したもので、それを後で文法としてまとめているのですね。
だから矛盾しない文法など逆に存在しないわけです。
ということで大きな矛盾とともにHausとHauseを見ていきましょう。
das Haus(die Häuser)は「家」つまり「建物」のことを表します。
そしてHauseのほうは「自分の住んでいる空間・場所」といったニュアンスがあります。
Hausのほうは普通の名詞と同じ文法ですが、Hauseには性別も格もありません。ゼロ冠詞の名詞のようにHauseが一つだけでポンと文の中に入ることもできません。
では何と出てこなければならないかというと前置詞です。Hauseは必ず前に前置詞をつける必要があります。
つけることのできる前置詞は3つ:
zu Hause
nach Hause
von Hause aus
のどれかです。
zu Hauseは移動しない、nach Hauseは移動する時に使います。
Ich bleibe heute zu Hause.
=今日は家にいるんだ。
Ich komme jetzt nach Hause.
=今から家に帰るよ。
von Hause ausは「家」というよりも「生まれつき・家の代々の」という意味です。
Von Hause aus ist er musikalisch.
=彼は音楽一家だ。
これはVon Hause ausとVon Haus ausどちらも使える例です。
☆☆
それではもう一度例文でdas HausとHauseを比べてみましょう。
どのような状況でどちらを使うのか?
1)Es wird schon kalt, lass uns ins Haus gehen.
=寒くなってきた、中に入ろう。
2)Es ist schon spät, ich gehe langsam nach Hause.
=もうこんな時間か、そろそろ帰らないと。
1)の文は家のすぐ外にいる感じですね。たとえば庭やベランダで座っていたり、家の前で車を洗っているとか・・そのようなシチュエーションが思い浮かびます。
それに比べて2)は別の場所にいるときですね。この「家に帰る」は建物に帰るというよりは自分の家に帰るというニュアンスがあるため✖Ich gehe ins Hausはおかしいです。
もうひとつ
A:Wo treffen wir uns heute Abend?(今夜どこで会う?)
という質問に答えます。
1)Vor deinem Haus. Also, ich kann dich abholen.
=あなたの家の前にしよう。迎えに行くよ。
2)Bei mir zu Hause dann?
=私の家はどう?
1)はどこかに出かける約束をしているシチュエーションですね。待ち合わせ場所を訊いています。
家の前でも家の横でも家の後ろでも前につける前置詞によって場所が変わります。この場合は家を建物として見ているためHauseは使えません。
2)はどうでしょう。こちらは自分の家に相手を呼ぶという意味ですね。相手の家であればGeht es bei dir zu Hause?(そっちの家でもいける?)みたいに訊くこともできます。
zu HauseのzuとHauseの間には、普通の名詞のように形容詞の格変化がつけられないので「誰の家で遊ぶか」と言いたいときはbei Dをつけるてはっきりさせるのです。
✖zu deinem Hause/in deinem Haus/zu deiner Hauseなどすべて大間違いです。
bei D zu Hause
=Dの家で
という表現を覚えておきましょう。
それではその他のよく使う例文もどうぞ。
まずは建物を意味するHausから。
1)Dieses Haus ist schon sehr alt.
2)Ich möchte dir gern mein Haus zeigen.
3)Ich wohne schon lange in diesem Haus.
4)Vor 10 Jahren habe ich dieses Haus gekauft.
5)Ich wohne in einem Haus, nicht in einer Wohnung.
6)Beim Regen gehe ich nicht aus dem Haus raus.
7)Soseki Natsume und Ogai mori haben in diesem Haus gemietet.
8)Das Haus ist abgebrannt.
訳↓
1)この家はもうとても古くなっている。
2)私の家を見せたいんだけど。
3)私はこの家にもう長く住んでいる。
4)10年前にこの家を買ったよ。
5)私はマンションじゃなくて一軒家に住んでる。
6)雨の時は家から出ないのだ。
7)夏目漱石と森鴎外はこの家を借りていた。
8)この家は全焼した。
これらの「家」の意味はすべて「建物」を指していることが分かるでしょうか。家の代わりに建物と言っても差し支えのない文ですね。
5)の例にあるようにHausは家の中でも特に一軒家のことを言います。マンションやアパートはdie Wohnungです。
Hauseの例も見ておきましょう
1)Bleib zu Hause.
2)Ich mag nicht nach Hause gehen.
3)Man kann auch zu Hause Sport machen.
4)Wir können heute bei mir zu Hause Filme anschauen.
5)Der Supermarkt ist nur fünf Minuten von mir zu Hause entfernt.
6)Fühl dich wie zu Hause!
7)Mir fällt zu Hause die Decke auf den Kopf.
8)Ich habe meinen Pass zu Hause vergessen.
訳↓
1)家にいといてね~。
2)家帰りたくないなぁ。(楽しすぎて)
3)家でもスポーツできますよ。
4)今日私の家で映画見るのどうかしらん。
5)スーパーは私の家から5分しか離れていない。
6)ゆっくりしていってね!
7)早くこの家出ていきたい。(家にいることが我慢できない)
8)パスポート家に忘れた!
6)は決まり表現、7)は比喩表現です。
7)のほうは家に呼ばれた時などに必ずといっていいほど言われる表現です。直訳は「自分の家のような感じでいてね」という感じでしょうか。
これらの例文は「建物」に置き換えるとちょっと?となります。
スーパーと家が5分しか離れていないという文でも、この家は建物の位置では?と思われるかもしれません。それもその通りでDer Supermarkt ist nur fünf Minuten von meinem Haus entfernt.でも文法的には全く正しいです。
ただネイティブはこのような言い方をしません。違和感のある表現です。ここの「家」はネイティブは建物ではなく「自分の家」ととらえるので例文にある表現が自然です。
動画はこちら↓
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