ドイツ語表現のあるあるミス【A1/A2】鼻が高い、眠い他
ドイツ語のレッスンをしていると、多い時は一日に何百もの生徒さんが言ったいろんなドイツ語をあれこれ訂正しています。みなさんアウトプットを練習しようと頭で考えて頑張ってくれますから、自然に訂正が多くなってしまうっていうのもありますね。
作文の訂正も時々行っていますが、ほとんどが話している時のミスです。文法などのミスはトレーニング次第で自分でも気づくことができますが、表現やニュアンスについてはとても難しい。
ここでは文法はあってるけどニュアンスが間違っているという実際に実践の中で出ている表現をレベル別に取り上げたいと思います。
表記は
×=不正解の文
〇=正解の文
です。
まず初級(A1・A2)レベルの文です。
最初にご自身で訳してみてください。いくつ正しく言えるでしょうか?
・あの人鼻高いね~。
・あの人たちはインド人だ。
・プログラマーになりたい。
・今日早く起きたから眠いよ。
・スポーツをするのが好きです。
・その歌知ってるよ。
・薬飲まなきゃ。
・服にいっぱいお金使った。
・週末は実家で過ごす。
もくじ
背が高い・鼻が高い
よく言ってしまうミスは
× Er ist hoch.
× Seine Nase ist hoch.
日本語からの直訳でhochと言ってしまう人は多い。
正解は「高い」ではなく「大きい」です。
〇 Er ist groß.
〇 Seine Nase ist groß.
*鼻のほうは「大きい」と「高い」って同じ意味じゃないやろ?と思う人もいると思います。
高い鼻というと、ショパンのようなシュっとした鼻で、大きい鼻というとピカソのような高いだけじゃなく面積も大きい鼻。
でもドイツ語はどっちもgroß(大きい)としか言えません。
ちなみにIhre Nase ist hoch.はこっちのイメージです↓
鼻自体じゃなくて、鼻がある位置が高い!
身長もhochを使うと、その人が階段の上とか高い位置に立っているイメージになります。
それではその反対の「背が低い」と「鼻が低い」は?
これも同じで
× Er ist niedrig.
× Seine Nase ist niedrig.
〇 Er ist klein.
〇 Seine Nase ist klein.
「小さい」というのが正解です。
ものすごい現実的にいうと、この段階のミスをする人はhochは覚えているけど、niedrigを覚えていないことも多いので、hochを使ったミスのほうがよく聞きます。
眠い
これは日本で辞書を引いて言った典型的なものです。だから学習者には何の非もありません。が、辞書はニュアンスには弱いことも多いということは頭に入れておきましょう。
△ Ich bin schläfrig.
「眠い」と言いたくて日本語で辞書を引くとschläfrigと出てくるそうです。そしてこの文は確かに意味も文法も正しく、ごくたま~に使うシチュエーションもあるらしい。だから△。
・・・・でも!
残念ながら私らが普段「眠いよー」とかいう時には誰も使っていない!私は10年以上ドイツにいるけど、schläfrigは一回も聞いたことないし、言ったら変な顔される。だからこんな単語があるなんてことも実は知らなかった。
こんな日常で誰も使ってないってことはやっぱり私の中ではミスの認定です。
「眠い」と言いたい状況では
〇 Ich bin müde.
をよく聞きます。日本語では「疲れている」と訳されると思います。でもドイツ語では「(疲れて)眠い」という意味のほうが近い気がします。
または直に
〇 Ich möchte schlafen.
という人も多い。
眠い=müdeとも覚えておきましょう。
グーグル翻訳はなんていうかな?と入れてみると、
違和感なし!優秀。
インド人
これはわかりみがすごいですが、間違いだ。
× Sie sind Indianer.
× Sie ist Indiener.
これが言える人はまず、国籍の勉強をしっかりしている。
日本はJapanだから、日本人(複数形)はJapaner.
韓国はKoreaだから、韓国人(複数形)はKoreaner.
イタリアはItalienだから、イタリア人(複数形)はItaliener.
インドはIndienだから、インド人(複数形)はIndienerだよね!?
とちゃんと勉強したのだ。
でも正解はこっち。
〇 Sie sind Inder.
〇 Er ist Inder.
〇 Sie ist Inderin.
うん。
たぶんですが、Indianerのほうはインディアンのことだから、Indienerにすると一文字違うものの発音が似ててややこしかったんでしょう。
それで自然とInderになったに一票。ドイツ語の歴史を勉強したことがないので推測の域を出ませんが、とにかく国籍にも例外はつきものだということですね。
ちなみに国籍の言い方は上の他に
ロシアはRusslandだからロシア人(複数形)はRussen.
中国はChinaだから中国人(複数形)はChinesen.
フランスはFrankreichだからフランス人(複数形)はFranzosen
というように語尾の変化が2種類ある。-erバージョンと-enバージョンだ。詳しくはこちらで勉強してね↓
Informatiker
ついでにこれは翻訳だけど、めっちゃ頻繁に起きているので挙げておきます。
Er ist Informatiker.
これを訳してください。何の職業でしょう?
B1の人もよく間違っています。
わかりみな気もしますが、ほとんどの人は
情報屋さん?とか
情報をいっぱいくれる人?
といってしまいます。
情報(die Information)から連想してしまうんですよね。
そんな職業日本語であるんかい!?
(笑)
気持ちはわかるけど。
ここで覚えておいてください。
Informatikerはプログラマー!
めっちゃ旬の職業やで。30年前にはほとんどなかったやつやで。A1の教科書の職業のところではちゃんと書いてあります。
ちなみに正確には大学で情報技術(Informatik)を専攻して、その知識を使っているプログラマーのことをInformatikerと言います。
なのですべてのプログラマーをこう呼ぶわけではないのですが、日本語ではプログラマー以外に言い方がないような気がするので、誰にでも通じるこの訳にしています。
スポーツをする
これは直訳でいいのですが、こう言ってしまう人が多いです。
× Ich spiele Sport.
これもわかりみがありますね。
あるねんけど正解は
〇 Ich mache Sport.
です。日本語の直訳そのままで覚えましょう。
またはちょっとドイツ語らしい言い方でいうと
〇 Ich treibe Sport.
というとエレガントに聞こえます。
spielenを使っても確かに行ける気はしますよね。だって
〇 Ich spiele Basketball.
〇 Ich spiele Tennis.
〇 Ich spiele Fußball.
バスケやテニスやサッカーをするときはspielenを使うんやもん。なのになんでSportやったらあかんの?と思う人も多いはず。
なぜかというと、spielenはボールを使うスポーツ、つまり球技にしか使えないのです。
バレーボールや卓球や野球などには逆にmachenは使えずspielenなのです。
しかし球技を使わないスポーツには特有の動詞があるか、machenを使います。
たとえば柔道や空手をする、は
〇 Ich mache Judo.
〇 Ich mache Karate.
ボクシングはboxen, レスリングはringen, 陸上競技、スキーにはaufenやSki fahrenなどの動詞を使います。
スポーツに関する単語と例文はこちら↓
☆☆
ここからはA2レベルのミス。しかしA2の人だけじゃありません。C1の人でも間違うことは珍しいことではありませんので、落ち込まないでください。
その歌知ってる
「その歌知ってる」はドイツ語でなんていうでしょう?
× Ich weiß das Lied.
これは色々惜しいです。
気持ちはわかります。でも完全にダメです。ニュアンス的にもダメ。
さっきのスポーツをするもそうですけど、動詞の選択を間違えるとミスの度合いが大きい気がします。
ドイツ語は日本語でいう「知っている」の動詞が2つあって、文法的な違いがあります。今回はwissenではなく、もうひとつのkennenのほうが正しいです。
ということなので動詞を見直して
〇 Ich kenne das Lied.
といえば正解です。
理由についてはこちらのページで詳しく解説していますのでどうぞ↓
薬を飲む
これは日本語の直訳で
× Ich trinke eine Tablette.
ととっさに言ってしまうことをおさえる防御装置を発達させることが大事。
正しくは
〇 Ich nehme eine Tablette.
と言いましょう。「薬を摂る」
または
〇 Ich nehme eine Tablette ein.
でもいいですよ。einnehmen(摂取する)
薬を飲む表現は国によって動詞が違うのかもしれませんね。
中国語だったら「薬を食べる」やもん。他の言語はどうなのでしょう?
ちなみに「スープを飲む」も、一般的にはドイツ語では
〇 Ich esse die Suppe.
と言います。食べるほう。
Ich trinke die Suppe.やったらどれぐらい変か尋ねてみると、
全く具の入ってないサラサラなスープをスプーンを使わずにごくごく飲むことを強調したいのならtrinkenを使ってもいいことはいい。
といかにもドイツ人らしい答えが返って来ました。100%納得。
私はどんなスープを飲んでもessenと言おうと思います。
お金を使う
「お金を使う」という表現が出てくるのはA2です。
たとえば
私は靴によくお金を使うんだ。
今日は買い物でいっぱいお金使っちゃったー。
と言いたい時、よくあるミスは
× Ich benutze viel Geld für Schuhe.
× Ich habe beim Einkaufen viel Geld benutzt.
benutzen(使う)の直訳ですね。
確かに文法はあっているし、投資など他の場面でGeld benutzenを使うこともあります。
しかし。
ふだん私たちが日常的に買い物などでお金を使うときはbenutzenではありません。
〇 Ich gebe viel Geld für Schuhe aus.
〇 Ich habe beim Einkaufen viel Geld ausgegeben.
と言います。
Geld für A ausgeben
Aにお金を使う
と覚えましょう。
どこに行った?
fahrenやgehenで言うと正しいですがbesuchenを使うとほぼ全員が間違うやつです。
〇 Wohin bist du gegangen?
これはOkですね。
gehenは移動する動詞だからwoじゃなくてwohinで尋ねる、というのは習った方も多いかと思います。
しかし。
besuchenを使うとどう訊けばいいでしょう?
よくあるのは日本語からの直訳で
× Wo hast du besucht?
これは文法がおかしいですね。
何がおかしい?
besuchenは四格をとるのに、肝心の四格がない!四格は肯定文では目的地、または人ですよね。
〇 Ich besuche das Museum.
博物館に行く
じゃあ疑問文の時はどうすればいいでしょう?
答えは、四格の疑問詞を使えばいいのです。つまり
〇 Was hast du besucht?
これで「どこに行ったの?」という意味です。
besuchenはgehenの書き換えですので、必ず覚えておきましょう。基礎です。
今週末実家で過ごす
今度はverbringenの使い方です。
実家ってどう言うん?という質問には先に答えておきます。
実家=両親のところ
といいます。
よくあるミスは
× Ich verbringe am Wochenende bei meinen Eltern.
これも日本語の直訳から来た文ですね。
時間の前置詞や場所の前置詞を勉強しているから出て来るものとも言えます。
動詞に注目しましょう。
今回の動詞(verbringen)も四格を取る動詞です。
四格がないと文が成り立ちません。
verbringenの四格には基本的に時間に関する名詞が入ることが多いです。
週末を~で過ごす
一日を~で過ごす
水曜日を~で過ごす
というように訳すと、四格が時間の名詞になることが分かります。
なので
〇 Ich verbringe das Wochenende bei meinen Eltern.
が正しいです。
ちなみにheute(今日), morgen(明日)などは副詞なのでverbringenと使うことができません。
今日を~で過ごす
と言いたい時はdieser Tag(この日)を四格にして使います。
詳しくはこちらで解説しています↓
これはほんの一部ですが、疲れたのでここで終わります。
まだまだあります。
また中級者(B1/B2)のほうも時間があれば紹介していきたいと思います。
しかしたくさんの人が同じミスをするのは初級のほうが多いですね。
中級になると個人差が出てきますのでミスの種類がかなり多用になります。そういうのも含めて紹介していけたらと思います。
動画解説はこちら↓
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フィラデルフィアのバーンズ・コレクションっていう美術館が面白すぎて感激した。
ピカソとかセザンヌとかゴッホとかモデリアー二とかルノワールがこんなごっちゃごちゃに並んでるってどういうこと!?