kennenlernenの意外な使い方【ドイツ語動詞】
レッスン中に生徒さんからこのような質問が来ることがけっこうあります。
Ich möchte neue Kulturen kennenlernen.
ってどういう意味?どう訳すの?
または
kennenlernenが人とつかない場合はどういう意味?
という質問です。
どうでしょうか。一度考えてみましょう。
分かるようで分からない微妙な文ではないでしょうか。
☆☆
動詞kennelernenは「知り合う」という意味で覚えている人も多いはず。
新しい人と初めて会った時に
「知り合えてうれしいです~」というには
Es freut mich, Sie kennenzulernen.
のように、kennelernenという動詞を使います。
覚えるフレーズ的なものに人気の文っぽいので使い方を知らなくても、聞いたことがある人も多いと思います。
しかしkennenlernenはレッスンで最も質問されることが多い動詞の一つです。
「知り合う」とだけ覚えている人は要注意。
このページではkennenlernenという動詞を初めて勉強する人から、「知り合う」だけを知っている人に向けて、その上にある知っておくべき表現と感覚までけっこう深く解説していきます。
まずはkennenlernenが初めましての動詞だという方向けに文法の基礎から。
kennenlernenは必ず四格を取ります。
四格のないkennenlernenの文はありません。読解でこの動詞を見かけたら必ず四格真っ先にを探してください。
文法的には四格支配の動詞。
そして一つ目の意味は「知り合う」です。
日本語では「~と知り合う」と言うので直訳してmit かな?と思う人もいるかもしれませんが、それは間違い。
×Ich habe mit einem Mann kennengelernt.
知り合う対象の人は四格にしてください。これが四格支配という意味です。
ドイツ語からの直訳は「~を知り合う」になりますね。
〇Ich habe einen Mann kennengelernt.
ある男性と知り合ったよ。
〇Ich möchte neue Leute kennenlernen.
新しい人と知り合いたいな~。
einen Mann、neue Leuteは四格だ!
四格ってどうやって分かるの?という質問についてはドイツ語の格を勉強してください。
そしてもう一つ。
なんか長い動詞やなぁ~と鬱陶しく感じる人もいると思いますがそれもそのはず、これは分離動詞なのです。
分離動詞の法則は前つづりがある、ということです。
kennenlernenの前つづりはどこまで?
そう、kennenが前つづり。
え!動詞やんkennenて!と思うかもしれないですが、ここでは前つづりです。本体はあくまでlernenのほう。
だから文を最後まで見るのは大事なのですよ。
練習がてらこの文を訳してみてください。
Ich lerne morgen einen neuen Kollegen kennen.
der Kollege=同僚
なので
「明日新しい同僚と知り合う」
という意味です。
読解の時に前のlernenだけ見て、「あ、これは勉強するって意味だ!」と安易に決めつけないように。
kennenを後ろに見つけたらこれは分離動詞だ!と気づかなければなりません。
がんばって♪。
参考に動詞の変化表もどうぞ。kennenが前つづりという変化球以外は、規則変化です。
kennenlernen | 現在形 | 過去形 | 現在完了形 |
ich | lerne kennen | lernte kennen | habe kennengelernt |
du | lernst kennen | lerntest kennen | hast |
er, sie, es | lernt kennen | lernte kennen | hat |
wir | lernen kennen | lernten kennen | haben |
ihr | lernt kennen | lerntet kennen | habt |
sie | lernen kennen | lernten kennen | haben |
声に出して練習するといいですよ♪
さてそれではkennenlernenの使い方。
まず最初に覚えるのは、人を四格にするもの。人を四格にすると「知り合う」という意味になります。
それでは例文を訳してみてくださいね。
1)Ich möchte neue Freunde kennenlernen.
2)Wo hast du sie kennengelernt?
3)Wo habt ihr euch kennengelernt?
4)Wir haben uns in der Schule kennengelernt.
5)Das hat mich gefreut, Sie kennenzulernen.
6)Beim Wandern lerne ich oft nette Leute kennen.
翻訳例はこちら。
1)新しい友達を作りたいです。(直訳は「知り合いたいです。」同じ意味ですね。)
2)どこであの子と知り合ったん?
3)あんたらどこで知り合ったん?
4)俺らな、学校で知り合ってん。
5)お会いできてうれしかったです。(直訳は「知り合えて・・」)
6)ハイキングしてるとよく優しい人たちと出会うよ。
3)と4)は主語が「私たち」「君たち」という複数形のため、「私らが知り合う」のときは四格にもう一度「私ら」を足してください。私ら同士という意味です。つまり再帰代名詞を足してください。なぜかというとkennenlernenは四格支配だから。四格を入れないと成り立たないのです。
☆☆
ここまでは分かりやすかったのではないでしょうか。
次です。
最初に出てきた
Ich möchte neue Kulturen kennenlernen.
のように、四格に人が来ていなかったら?この文はneue Kulturen (新しい文化)が四格です。
直訳すると
「新しい文化と知り合う」?
うん。意味は何となく分かる。
日本語ではこの時に「知り合う」という動詞は使わないけど。
さっきの文を日本語で自然に訳すと
「新しい文化を知りたい」
kennenlernen=知る
となりますよね。
これが2つ目の意味。
人以外が四格だったら「知る」に近い意味になります。
え、ちょっとまって
「知る」ってkennenとかwissenも同じじゃなかった?
と疑問に思った方、いい疑問ですよ。よく勉強されています。
kennenとwissenは「知る」ではなく「知っている」という意味なのです。
新しく知るという意味ではなく、もう前から知ってるって意味。
ここでは日本語では同じ動詞の形を変えて使っていますが、ドイツ語では動詞自体が異なるのです。
だから
「〇〇を新しく知りたい」の時はkennenlernen
「〇〇をもう知ってる」の時はkennenまたはwissenを使います。
kennenとwissenの違いについてはこちらで詳しく解説をしているので興味のある方はどうぞ。
それでは訳し方の練習をしてみましょう。
次の文を日本語に訳してみてください。
1)Ich möchte die deutsche Kultur besser kennenlernen.
2)In Japan habe ich die japanische Teezeremonie kennengelernt.
3)Ich habe ein interessantes Buch kennengelernt.
4)Bei der Reise will ich lokale Spezialitäten kennenlernen.
5)Es ist wichtig, andere Religionen kennenzulernen.
6)Ich möchte die Grundlagen der Philosophie kennenlernen.
7)Wir haben bei der Messe viele neue Produkte kennengelernt.
それでは日本語訳の一例。(答えは一つではありません。だいたい意味が合っていたらOKです。)
1)ドイツの文化をもっとよく知りたい。
2)日本で茶道を知ったよ(体験したよ)。
3)面白い本に出合った(見つけた)。
4)旅行では地元のグルメを知りたい(食べたい)。
5)他の宗教を知ることは大事だよね。
6)哲学の基礎を知りたいと思ってる(学びたい)。
7)展示会でいろんな新しい製品を知れたよ。
どうでしょうか。これらは全部「知る」「知った」と訳せますが、( )の中の意味のほうがしっくりくることもありませんか?
自分で解釈するときにはこれらも参考にしてみてください。
全体的な感覚として持っておくべきkennenlernenの意味は、新しい人や文化などを「直接知る」「身をもって知る」「じかに体験をする」ということです。
たとえば人でも
Ich habe Taylor Swift kennengelernt.
というと、「テイラースウィフトと知り合った」つまり、直接話したり、連絡先を交換したり、知り合いになったという意味ですよね。
もし音楽などを聴いて「テイラー・スウィフトという存在を知っている」だけであれば
Ich kennen Taylor Swift.
というのが正しいのです。
だから先ほどの例で出てきた文化や茶道といった文は本やテレビで見てただ知ったという意味でなく、「その文化圏に行ってじかに触れた」「茶道を教えてもらい、直接体験した」という意味が含まれています。
本や商品もそう、本を直接手に取って読んだ、商品を自分の目で見たという「新しい体験をした」ときにkennenlernenはふさわしいです。
もう一つ分かりやすい例を出しておきましょう。
これは実際にあるドイツ人の友達が言っていたことです。
Ich war früher schon einmal für fünf Tage in Japan. Diesmal war ich für drei Monate dort und habe Japan richtig kennengelernt.
ずっと前に5日だけ日本に行ったことがあるんだ。でも今回は3か月もいたから日本のことを本当によく知れたよ。
なぜこの文でkennenlernenが使われているのか、明確になったかと思います。
彼は日本に数か月間住み、直に日本のいろいろなことを体験したということですよね。
それでは長くなりましたが最後です。
人以外のどんな名詞がkennenlernenと使うことができるのでしょうか。
主な名詞を少しあげておきます。
1.場所:der Ort, der Park, die Sehenswürdigkeit, das Schloss, der Strand…
2.文化・伝統:die Kultur, die Tradition, das Fest, die Sitte, der Brauch…
3.自然・環境:der Wasserfall, die Pflanzen, die Tierwelt, die Fjorde…
4.概念:die Grundlage, die Geschichte, die Technik, die Perspektive…
5.体験:das Projekt, die Aktivität, die Methode, die Sportart…
この中で圧倒的にkennenlernenとよく使われるものは2の文化や伝統を新しく知ったり体験したりした時。この動詞以外には使えない感じです。
その他も一緒に使って違和感はありませんが、ほとんどの場合他の動詞のほうがしっくりくることも多いです。
たとえば先ほどの
Ich habe ein interessantes Buch kennengelernt.
は正しいし違和感もないのですが日常会話ではほとんどの人が
Ich habe ein interessantes Buch gefunden.
というのではないでしょうか。
なので2の単語をよく覚えておき、読解だけでなく会話のときにも使えるようになることをお勧めします。
「新しい文化をもっと知りたい」というときの「知りたい」はkennenlernenを勉強していないと感覚的には絶対に出てきません。
日本語の直訳がないからです。
だから頭で理解しましょう。そうすれば簡単に使えるようになります。
このページを全部読んだ根気のある学習者さんなら、もう今は簡単に使えるはずです。
まぁ。すぐに忘れるのも人間ですけどね。
忘れないために時々動画やポッドキャストでも聴き返すと定着するかもです♪
お疲れさまでした!
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