kommenの使い方(1)移動のkommen【ドイツ語動詞】
「来る」という意味を持つ動詞kommen.
基本的な「~に来る」の形はkommen+場所の前置詞+四格です。
gehen(行く)
kommen(来る)
のようにgehenの反対語として理解している方も多いかと思います。
以前、gehenの前に前つづり(Präfix)を付けることで「移動する」行為をいろんなバリエーションで表現できるという記事を書きました。(出発する、出かける、去る、など・・・)
今回はそのkommenバージョンです。
gehenは「A地点にいる人がB地点に移動する(行く)」といった意味でした。
B地点を場所として捉えています。
一方kommenの場合、場所ではなくA地点やB地点に人がいることを前提として話します。またはB地点に自分が来る/到着する、という意味合いもあります。
日本語の場合、A地点にいる人がB地点にいる人のところへ行く場合、Aの人は「今からそっちに行くね」といいます。
しかしドイツ語の場合、Aの人は「今からそっちに来るね」と言います。
B地点にいる人側の視点から見て“私が来る”と表現するのです。
これが日本語とドイツ語のgehen/kommenの大きな違いです。
ちなみにB地点の人がA地点の人に「こっちに来て」という場合は日本語と同じ表現でkommenを使います(Komm bitte hierher)。
また第三者がA地点にいる人に、B地点に行ってほしいという場合は、gehenです。
例)Gehen Sie bitte rüber.=あちらに行ってください。
それでは「A地点からB地点に来る」という意味をもつkommenとその前つづりのバリエーションを見てみましょう。
今回紹介するものはすべて分離動詞です。
ankommen:着く
a) Ich komme um 17 Uhr am Hauptbahnhof an.
(17時に中央駅に着くよ。)b) Der Zug kam pünktlich an.
(電車が時間ぴったりに来た。)c) Wir sind erst nach Mitternacht in Rom angekommen.
(0時すぎにやっとローマに着いた。)d) Der Brief ist endlich bei dir angekommen.
(手紙がやっと君の所に届いた。)
ankommenと一緒に使われる場所の前置詞は三格であることに注意です。
たとえばa)はzum Hauptbahnhof ankommenではなくam Hauptbahnhof ankommenが正しく、
またc)ではnach Rom ankommen ではなくin Rom ankommenが正しく
d)ではzu dir ankommenではなく、bei dir ankommenが正しいです。
hinkommen:そこに行く・着く
a) Kommst du auch zum Treffen hin?
(君も集まりに来る?)b) Ich bin noch rechtzeitig zur Prüfung hingekommen.
(試験になんとか間に合った。)—————
c) Wo kommen die Bücher hin?
(本はどこに立てようか?)
a)とb)のhinkommenはkommenの意味に非常に近く、置き換えても何の違和感もありません。
しかしc)の意味はhinstellenの意味に他ならないですね。日本語だと本を「置く」ともよく言うかもしれません。
c)は口語でよく使われる表現です。
herkommen:ここに来る・由来する
a) Wo kommst du her?
(どこから来たの?)b) Komm mal her, ich muss dir etwas erzählen.
(ちょっとこっち来て、話したいことがあるから。)——–
hierherkommen
c) Kommst du jeden Tag hierher?
(毎日ここに来てるの?)
a)はWoher kommst du?と全く同じ意味です。つまり初対面でこう聞かれたら国籍を答えます。
「Eh? Wo kommst du gerade her?=え?今どっから来たの?」とかなら、待ち合わせなどで意外な方向から相手が来たときなどに聴いたりできますね。シチュエーションによって使い方は異なります。
またb)のような命令形のKomm her!はA地点にいる犬や子供などにおいで!というようなニュアンスで使われることも多いです。
c)はhierherkommenという動詞です。c)の文ではKommst du jeden Tag her?は少しおかしく、hierherがふさわしいです。
なぜかというとhierher-は「この場所/ここ」を強調しているからです。her-は「ここ」という意味がなくても使えるので少々曖昧です。
heimkommen:家に帰ってくる
a) Am Sonntag komme ich endlich heim.
(やっと日曜日家に帰れる~。)
b) Wann kommst du heim?
(何時に帰ってくるの?)
c) Ich komme um 8 Uhr heim.
(8時に着くよ。)
基本的にb)とc)のように家で待ってる人との会話では「今から帰る=Ich gehe heim.」ではなく「今から帰る=Ich komme heim.」のように、相手の視点に立った言い方をします。
同じ場にいる相手にたいし「そろそろ帰るわ=Ich gehe langsam heim」の時はgehenが正しいです。
しかしa)の場合、相手がそばにいても家にいても使えます。
ニュアンスによって使えたり使えなかったりするのが言語なので、やはりネイティブの言動を見て学ぶ姿勢が必要ですね。
mitkommen:一緒に行く
a) Kommst du mit auf die Party?
(パーティー一緒に来る?)b) Ich kann nicht mitkommen, weil ich keine Zeit habe.
(時間がないからいけないんだ。)c) Komm gleich mit uns mit, dann brauchst du nicht zu warten.
(一緒においでよ、そしたら待たなくていいから。)d) Er ist mit dem letzten Zug mitgekommen.
(彼は終電にのってきた。)
a)は前つづりが真ん中に入っている文法的には正しくない文です。
ただし口語ではこういった文はよく使われます。Kommst du auf die Party mit?でももちろんかまいません。
a)もb)もmitgehenとmitkommenどちらも使える文ですね。
目的地(B地点)にすでにいる人との会話ではmitkommenしか使えませんが、今から一緒に行く相手の場合、mitgehenでもmitkommenでもかまいません。
またd)は「電車と一緒に来た」というニュアンスです。
この動詞の場合、人以外でもmitkommenを使えるという例ですね。
hochkommen/runterkommen:上がってくる・降りてくる
a) Warte kurz, dann komme ich zu dir hoch.
(ちょっと待って、もうちょっとしたらそっち上がって行くから)b) Die Kinder sollen zum Essen hochkommen.
(子供たちはごはんを食べに上がってくるように。)———
c) Kommst du vom Baum runter?
(木から降りて来てね?)d) Kannst du endlich mal zum Essen runter?
(いい加減ご飯食べに降りてきてくれる?)
b)とd)は子供たちがどこにいるかによってhoch-とrunter-を使い分けている例です。
子供が2階に閉じこもってゲームなどをしているときは「降りてきて=Komm runter」、子供が外で遊んでいたり、1階にいたりすると「上がってきて=Komm hoch」となるわけです。
比較的わかりやすいですね。
entgegenkommen:向かってくる
a) Sie kommt mir ein Stück entgegen.
(彼女は私のほうに一歩寄ってくる。)b) Das Gewitter kommt uns langsam entgegen.
(雷が少しずつ近づいてくる。)——
c) Sie kommt ihm beim Verhandeln entgegen.
(交渉が彼の希望に少しずつ添っている。)
まずentgegenkommenは三格と一緒に使われます。a) b) c)どれも目的語になる人は三格。
a)とb)はB地点にいる人にA地点にいる人/ものが近づいてくるという意味で使われています。
c)は実際の移動の意味ではなく、「意思が三格側に近づいている」または「寄り添っている」といった意味です。
zurückkommen:帰ってくる
a) Morgen komme ich von meiner Geschäftsreise zurück.
(明日出張から帰ってくる。)b) Ich komme gleich zurück.
(もうすぐ帰ってくるよ~。)c) Sie ist noch einmal zurückgekommen, um ihren Schirm zu holen.
(傘を取りにもう一度戻ってきた。)
heimkommenと非常に意味が似ていますがzurückkommenの場合は家でない場所でも使えるということです。
a)やb)には「家に帰る」のかということははっきりしていません。
もといた場所に戻るというニュアンスが強いです。
reinkommen/rauskommen:入る・出てくる
a) Darf ich mit den Schuhen reinkommen.
(靴のまま上がってもいい?)b) Du kommst hier nicht rein.
(ここには入れないよ。)ーーーーー
c) Er kommt nie aus seinem Zimmer raus.
(彼は部屋から一切出てこない。)d) Wenn ich dich anrufe, kommst du raus?
(電話したら出てきてくれる?)
a)の文などを言われたら日本人の方は仰天するかもしれません。が、ドイツ人を家に招くと時々訊かれる文でもあります。
もちろん「靴脱いであがってね=Du sollst die Schuhe ausziehen.」と言って構いません。
何の悪い気も起こされないです。
d)の例などは誰かを家に迎えに行く時などに、着いたら電話するから出てきてね、などということができます。
nachkommen:後から来る
a) Geh schon vor, wir kommen gleich nach.
(先に言ってて、すぐ後から来るから)b) Da kann noch etwas nachkommen.
(まだあとから何か面倒なことが来るかもしれないな。)c) Er will seine Familie später nachkommen lassen.
(彼はあとで家族をここに呼びたい。)
a)は先に行く(vorgehen)の後に後から来る(nachkommen)の文が続いています。
なぜnachgehenではないのかというと、先に行った人(B地点にいる)の視点に立ってnachkommenと言っているからですね。
またb)は移動する意味ではなく、後から何かが「起こる」という意味で使われています。
c)は難民や移民などがインタビューでよく口にする言葉です。あとから家族を呼びたい=nachkommen lassenと表現します。直訳は後から来させたい、ですね。
vorbeikommen:寄る・通りかかる
a) Ich komme bei dir vorbei.
(ちょっと寄るね。)
b) Sie ist gerade kurz vorbeigekommen.
(彼女はさっき少しここに来ていた。)
ーーーー
c) Wir kommen an vielen Gärten vorbei.
(庭が並んでいるところを通りかかっている。)
a)とb)は「少し滞在する」という意味にほかなりません。
また事前の約束なく「今からちょっと行っていい?=Kann ich bei dir kurz vorbei?」とか「渡したいものがあるからちょっと寄るね」といった突発的に尋ねるというようなニュアンスも持ちます。
またc)は何かの横を通り過ぎる、という意味です。
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いかがでしたか?
移動のkommenの使い方にも前つづりを変えるとこれだけ多彩なバリエーションがあります。
主に日常会話などではよく使われますのでgehenと一緒に、少しずつ勉強していくのもいいかもしれません。
動画で聴くこともできます。
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