人以外を主語にする☆基本動詞の新たな使い方【ドイツ語表現】


今回は基本動詞を少し別の角度から。日本語からだと直訳できずわかりづらい表現、でもドイツ語だと日常的に使われる表現を紹介します(しかし受動態とは意図が違います)。

知ってたらちょっと日常会話が楽になるかも!

今回ピックアップする基本動詞はこちらです。↓

全部A1の最初のほうに出て来る動詞たちですね。基本的な意味と使い方は大丈夫でしょうか。

ドイツ語の初・中級学習者はすでに、人を主語にした言い方はご存じだと思います。

たとえばこんな感じでしょうか。↓

Ich habe ein Auto.

=車持ってるよ~。

Ich fahre gleich zur Arbeit.

=もうすぐ仕事に行く。

Ich laufe gerne.

=歩く/走るのが好きなんだ。

Ich zeige euch Fotos von gestern.

=昨日の写真見せてあげるよ!

Ich spiele mit Kindern im Park.

=公園で子供と遊ぶよ。

Ich sitze gerne in der Sonne.

=日光浴が好き。

Ich schreibe gerade einen Brief.

=今手紙を書いてるよ。

これらはすべて「私は歩く」「あの人は書く」「みんなが走る」「子供は遊ぶ」というように私や人が主語になった使い方ですね。

 

今回はこれらの基本動詞の文法はほぼ変えずに、人以外の何か、たとえばモノや建物、都市、会社、または抽象的なもの(プロジェクトやデータなど)を主語にしたらどんな意味になるのか?どう使うのか?を例文とともに見ていきます。

ここでは日常的によく使われている動詞をピックアップし、その基本的な表現と意味にしぼって紹介します。

 

 

haben

まずhaben。四格がつきます。

直訳は「持っている」ですが、日本語では「~がある」と理解できるので、初級の学習者でもかなり早い段階で正しく使えている人が多い印象の動詞です。

とくに家などの建物を主語にしたhabenの文は使いやすい。

建物を主語にした例文↓

Meine Wohnung hat drei Zimmer.

=私のマンションは3部屋あるよ。

Das Hotel hat ein Schwimmbad und ein Fitnessstudio.

=このホテルはプールとジムがある。

 

しかし、日本語で「~がある」と直訳できない表現もドイツ語ではhabenで表せることが非常に多い。

たとえば「何階建て」の言い方。

Der Kaufhof hat fünf Stockwerke.

=このデパートは6階建てだ。(ドイツ語の1階は日本語の2階。)

Mein Elternhaus hat zwei Stockwerke.

=実家は3階建てです。

ある建物が〇階持っている、というのが直訳ですね。

なんとなくドイツ語のこういう表現を聞くと、なんとなくデパートが私の家が生きている感じがするのは私だけ?まぁいいや。

 

ちなみに都市にあるものもhaben。

München hat einige Universitäten.

=ミュンヘンにはいくつか大学がある。

Die Stadt hat eine schöne Bibliothek.

=この市には素敵な図書館があるよ。

 

さらに、モノに何かがついている時もhaben.

Das Klavier hat 88 Tasten.

=ピアノには88こ鍵盤がついている(ある)。

Dieser Schreibtisch hat drei Beine.

=この机は3脚だ(3つ足がついている)。

とはいえすべての「ついている」がhabenにできるわけでもありません。たとえば「屋根にソーラーパネルがついている」とかでhabenを使うとおかしい。でも今回はこのへんでやめておきましょう。

 

 

fahren

次は自動詞のfahrenです。

語学学校などではfahrenは乗り物で行く意味だと習うと思います。

Ich fahre mit dem Zug zur Schule.

=電車で学校に行く。

というような感じです。

でもこの動詞、人だけじゃなくて乗り物も主語にすることができます。

たとえば

Der fährt um 17 Uhr.

=この電車は17時発だ。

日本語だと「電車が走る」と言えますが、ドイツ語ではfahrenが走るの代わりですね。

Das Auto fährt gerade auf der Autobahn.

=この車は今高速道路を走っている。

 

 

laufen

laufenは人が主語になると「歩く」または「走る」という意味になりますが、人以外が主語になると実に様々な意味があります。

ここではよく使えそうな例をいくつか。

映画が主語の時「上映される」

Barbie läuft momentan im Kino.

=バービーが今映画館で上映されている。

Was für Filme laufen gerade im Kino?

=どんな映画が今映画館でやってる?

映画が「上映されている」はlaufen一択。他の動詞はあてはまりません。

 

次。

動く機械が主語の時「動いている」

Der Motor läuft.

=モーターが動いている。

Die Uhr läuft nicht mehr.

=時計がもう動いてないよ。

自動的に動く機械限定。一般的に機械が動くはfunktionierenやgehenを使うことのほうが様々な機器にあてはまるので、こっちを覚えておくのもいいかも。

 

次。

液体などが主語「流れている」

Das Wasser läuft aus dem Wasserhahn.

=蛇口から水が出てる。(漏れている)

Meine Nase läuft.

=鼻水が出る。

鼻水も当然液体です。

 

次。

・・・きりがなさそうなのでまたの機会に動詞laufenを取り上げたいと思います。

 

 

zeigen

zeigenは「見せる」という意味で、人が主語であれば三格と四格を同時にとる動詞ですね。

人が主語でない時はだいがい四格のみを取ることが多いでしょうか。

 

絵や写真、グラフなどが主語になれば「表している」

Das Bild zeigt eine Landschaft.

=この絵は風景が書かれている。

Die Grafik zeigt die aktuelle Situation in Deutschland.

=この表は今のドイツ語の状況を表している。

 

そして番組やスポーツの試合などが主語になれば「放送する」

Der Fernseher zeigt gerade Werbung.

=今はコマーシャルをやっている。

Das Fußballspiel wird heute Abend gezeigt.

=サッカーの試合が今日放送される。

 

また博物館の建物であれば「展示する」

Das Museum zeigt viele Kunstwerke.

=この博物館はたくさん芸術作品を展示している。

「放送する」とzeigenはなかなかつながらない気がしませんでしょうか。違和感があるときは文法や知識で覚えましょう。

 

 

spielen

この動詞については基本的な意味をすでに解説していますので、こちらをどうぞ。

【基礎ドイツ語】spielenは文法によっても意味が違う

今回は人が主語にならないspielenの例をいくつか。

まずはラジオやレコードなどを「流す」

Das Radio spielt Musik.

=ラジオが音楽を流している

 

もうひとつ。これはちょっと高度。

小説や映画をはじめ、物語が主語、なおかつ時期や場所が入っている時は「〇〇が舞台である」と訳せます。

Der Film spielt im 16. Jahrhundert in Japan.

=この映画は16世紀の日本が舞台だ。

Der Roman spielt kurz nach dem Zweiten Weltkrieg.

=この小説は第二次世界大戦直後を舞台にしている。

 

 

sitzen

「私は座っている」以外の使い方があるかって?あるんだよー。

でも日本語から見るとかなり独特。

服や靴などが主語になるときは「ぴったりフィットしている」という意味になります。

Der Anzug sitzt gut.

=このスーツはよくフィットしている。

↑オーダーメイドのスーツを作った時などに使えます。

靴を買うときは足の先に余裕を持つことも多いと思いますが、そういうときはsitzenはふさわしくありません。

そういう場合の「サイズが合う」はpassenがふさわしいです。

sitzenは本当にぴったりと自分の足の形、または体の形に合っている時のみに使います。

また眼鏡も。

Manchmal sitzt meine Brille schief.

=時々眼鏡がゆがんでしまう。

眼鏡の場合は、Die Brille sitzt gut.の意味は鼻の上でしっかりフィットしたポジションがあるという意味です。だからゆがんだ時はフィットしない、という感じでsitzenを使えますね。

分かりやすければ眼鏡が定位置に座っている的な理解でもいいと思います。

 

 

schreiben

最後はschreibenです。これにも「私は書く」以外に使い方があるかって?あるんですよー。

私も先日知ったばかり。ここでも紹介しています↓

一生ドイツ語(2)象は鼻が長いんじゃない他

ペンやえんぴつなどの筆記道具が主語になった時は「書き具合が〇〇」みたいな意味になります。

Der Stift schreibt gut.

=このペンは書き具合がいい。

Der Stift schreibt hart.

=このペンは先が硬い。

Der Kuli schreibt nicht mehr.

=ボールペンのインクがなくなった。

つまり書いてるのは人なんだけれども、ドイツ語のschreibenは筆記用具も「書く」とまるで人間のように言えるわけです。

 

今回はこれぐらいにしておきましょう。

それでは最後に復習として文の翻訳をしてみましょう。

正確に理解できましたか?

Das Einkaufszentrum hat fünf Stockwerke.

Unter der Woche fahren viele LKWs auf der Autobahn.

“Oppenheimer” läuft gerade im Kino. Möchtest du ihn dir angucken?

Es ist nervig, dass der Fernseher immer viel Werbung zeigt.

Der Anime spielt in Japan in der Zukunft.

Der Anzug sitzt nicht richtig.

Der Bleistift schreibt sehr weich.

動画解説はこちら↓

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カードを持つ手が汚くならないように箸でチップスを食べるシュールなケビン(笑)

ちなみに箸が使えるドイツ人は非常に少ないです。友達自慢!