話法の助動詞(客観的意味):現在形【ドイツ語文法25】
Wir können schwimmen.
(私たちは泳げます。)Wir mögen schwimmen.
(私たちは(今)泳ぎたいです。)Wir wollen schwimmen.
(私たちは泳ぎたいです。)Wir sollen schwimmen.
(私たちは泳いだほうがいいです。)Wir müssen schwimmen.
(私たちは泳がなければなりません。)Wir dürfen schwimmen.
(私たちは泳いでもいいです。)Wir möchten schwimmen.
(私たちは泳ぎたいです。)
話法の助動詞(Modalverben)とは本動詞と一緒に使われ、本動詞に意味を付け足す機能があります。
たとえば本動詞schwimmen(泳ぐ)に話法の助動詞können(~できる)を付け足すと⇒『泳げる』という意味になります。
ドイツ語の話法の助動詞は6種類。
können(~できる)
mögen/möchten(~したい)
wollen(~したい)
sollen(~したほうがいい)
müssen(~しなければならない)
dürfen(~してもよい)
おおまかにはこのような意味で使われますがこれだけではなく、2~3種類の意味がある語や、否定形や疑問形の意味を覚えるが必要があります。のちほど一つずつ紹介します。
話法の助動詞の位置は?
⇒現在形の場合、話法の助動詞が2番目、本動詞が最後。
つまり話法の助動詞の現在人称変化形+動詞の不定形。未来形の補助動詞“werden”と全く同じ使い方。
未来形:Wir werden ein neues Auto kaufen.
(私たちは新しい車を買うつもりだ。)
話法の助動詞の現在形例文:
Wir wollen ein neues Auto kaufen.
(私たちは新しい車を買いたい。)Er will auch ein neues Auto kaufen.
(彼も新しい車を買いたい。)Er kann es aber nicht kaufen, weil er kein Geld hat.
(でも彼はお金がないから買えない。)
↑ 2番目の助動詞はしっかり人称変化、最後は不定形になっていますね。
話法の助動詞は文の2番目に来るので、人称変化があります。
それでは、話法の助動詞の語をひとつずつ、疑問形と否定形の意味も含めて一緒に見ていきましょう。
話法の助動詞が難しいところは、意味が1つではないところです。しっかりと意味を使い分けるとともに、リスニングでも意味を理解し間違えないよう、注意しましょう。
日常会話でも非常によく使われる文法なので、とても大事です。
können(能力・可能性・許可・頼み・提案)
・能力:できる/できない
Er kann Latein lesen.
(彼はラテン語が読める。)
Der kleine Alex kann schon drei Wörter sagen .
(アレックスはもう3つも単語を話せる。)
Sie können die Toilette nicht finden.
(彼らはトイレを見つけられない。)
Seine neue Freundin kann nicht kochen.
(彼の新しい彼女は料理ができない。)
Ich kann den Satz nicht verstehen.
(私はこの文が理解できない。)
・可能性:できる/できない
Bei dieser Seite könnt ihr sehr schnell Deutsch lernen.
(このサイトではあなたたちは速くドイツ語を学ぶことが可能です。)
Ich kann mit dem Auto zur Arbeit fahren, weil mein Mann es heute nicht braucht.
(夫が今日は使わないから、私が車で職場に行けます。)
In einem Jahr können wir das Haus bestimmt teuer verkaufen.
(1年後にはこの家はもっと高く売れる。)
・許可:してもいい/できない
Einen Moment noch. Sie können jetzt noch nicht reingehen.
(少々お待ちください。今はまだ入れません。)
Jetzt können Sie reingehen.
(さあ、入っても大丈夫です。)
・お願い:してくれませんか?(bitteと一緒によく使われる)
Können Sie bitte zur Seite gehen?
(少し寄ってくれませんか?)
Könnt ihr mir kurz helfen?
(君たちちょっと手伝ってくれる?)
・提案:~したらどう?/~ができる(dochと一緒によく使われる)
Du kannst doch auch morgen weiterarbeiten.
(明日また続きやったらいいと思うよ。)
Was kann ich euch anbieten?
(何がいりますか?※家に来た人に対して何飲みたい?とたずねたい時に使う。)
mögen(好み・願望)
mögenは話法の助動詞としては唯一の例外で、本動詞としての機能もあります。「~が好き」「~を好む」という意味は本動詞の用法です。
・好み:~好きだ/嫌いだ
Ich mag Fisch , aber mag kein Fleisch.
(私は魚を食べるのは好きだけど、肉は嫌いだ。)
Den neuen Kollegen mögen wir nicht.
(私たちは新しい同僚が嫌いだ。)
話法の助動詞としてのmögenは願望「~したい・~したくない」の意味を持ちます。しかしほとんどは否定の表現をします。
・願望:~したくない
Ich mag kein Fisch essen.
(私は魚を食べたくない)
※「私は魚が好きではない」という意味ではなく、「今、魚を食べたくない」という意味です。
Ich mag nicht weggehen.
(私は帰りたくない。)
Ich mag mit dem Kollegen nicht zusammenarbeiten.
(私はこの同僚と一緒に仕事したくない。)
※「~したい」はmögenを接続法IIにした形möchtenでよく使われます。
ここではmöchten=~したい という意味だけ覚えておきましょう。
Ich möchte Schauspieler werden.
(私は俳優になりたい。)
Was möchtest du bestellen?
(何食べたい?)
Ich möchte ein Bier, bitte.
(ビールをお願いします。)
Wir möchten ihn gern kennenlernen.
(私たちはぜひ彼と知り合いたい。)
wollen, möchten(願望)
・願望:したい/したくない(比較的強い意志)
Chris will seine Freundin heiraten, aber sie will nicht.
(クリスは彼女と結婚したいけど、彼女はしたくない。)
Das Kind will abends einfach nicht ins Bett gehen.
(その子は夜、単にベッドに入りたくない。)
Ich will dich nicht stören.
(邪魔はしたくないんだ。)
※願望(~したい)にはmöchtenもwollenと同じ意味で使われ、どちらも頻度が非常に高い。
どちらを使ってもいいが、wollenのほうがより強い意志を感じる言い方である。
Der Tennisspieler will nicht gegen seinen Gegner verlieren.
(このテニス選手は相手に負けたくない。)
↑ このような強い意志を感じる場合はmöchtenはふさわしくない。
逆にmöchtenは「~したいなぁ」とか「~できたら」といった控えめ、または丁寧な言い方の願望。
Ich möchte langsam nach Hause gehen.
(そろそろ帰りたいなぁ。)
自身の願望をゆる~く伝えたいときはmöchtenのほうが相手にとっても聞こえが良い。
・予定:~しようと思っている
Wir wollen eine Reise nach Afrika machen.
(私たちはアフリカ旅行を計画している。)
Ich will mich bemühen, die Arbeit bis morgen fertig zu haben.
(この仕事が明日までに終わるよう頑張ろうと思う。)
・提案(疑問文)
Wollen wir gehen?
(もう行こうか?)
Wollen wir ein Taxi nehmen.
(タクシーで行こうよ)
sollen(忠告・提案・計画)
・忠告(主語以外の意思):したほうがいいと他人に言われている
(個人的に日本語で「するべき」と訳すことに少し違和感があります。
日本人が「~するべき」と言う場面でドイツ人はsollenを使わないから。
~した方がいい、がしっくりくる気がします。)
Herr Becker hat angerufen. Du sollst ihn zurückrufen.
(ベッカーさんから電話があった。君はかけ直した方がいいよ。)
Ihr sollt jetzt langsam mit dem Computerspiel aufhören.
(君たちはそろそろコンピューターゲームをやめたほうがいいね。)
Seine Eltern sagen, er soll Arzt werden.
(両親は、彼は医者になったほうがいいという。)
・社会的常識:~であるべきだ/あってはならない
Das soll eigentlich nicht sein.
(そんなことは本当はあるべきではない。)
Man soll kein Tiere töten.
(動物を殺すことはあってはならない。)
・提案:~しましょうか?
Soll ich das Fenster aufmachen?
(窓を開けましょうか?)
Soll ich heute Abend für uns kochen?
(今日の夕食を作ろうか?)
・~する予定である(計画)
Jedes Bundesland soll bei der Corona-Kriese selbst die Regeln entscheiden.
(コロナ危機では各州が各自で規制を定める予定だ。)
Kinder sollen wieder in die Schule gehen.
(子供たちは通学を再開する予定だ。)
Am Wochenende soll das Wetter so schön werden. Hast du Lust, einen Ausflug mit dem Fahrrad zu machen?
(週末はいい天気になる予定だよ。サイクリングしない?)
müssen(義務・不必要)
・義務:しなければならない
Der Schüler müssen täglich ihre Hausaufgaben machen.
(生徒は日々宿題をしなければならない。)
Ein Basketballspieler muss jeden Tag hart trainieren.
(バスケットボール選手は毎日ハードな練習をこなさなければならない。)
Ich muss zur Arbeit.
(仕事行かなきゃ。)
Ich muss unbedingt auf die Toilette.
(トイレいかなきゃ。もれそう。)
・否定形:~する必要がない
Du musst die Suppe nicht essen, wenn sie dir nicht schmeckt.
(そのスープ、美味しくなかったら食べることないよ。)
Ihr müsst mir nicht helfen, ich bin gleich fertig.
(手伝わなくて大丈夫、もうすぐ終わるから。)
dürfen(許可・禁止)
・許可:~してもいい
Lisa darf heute bei ihrer Freundin übernachten.
(リサは今日、友達の家に泊ってもいい。)
Darf ich Sie was fragen?
(あなたに質問してもいいですか?)
※könnenも同じ意味で使われるが、dürfenの方がいくぶん強い。Du darfst~…などは上から目線に聞こえるので、du kannst~(~していいよ)と言った方がいい。
In diesem Park dürfen Kinder spielen.
(この公園で子供は遊んでもいい。)
・禁止:~してはいけない
Du darfst nicht auf dem Gehweg mit dem Fahrrad fahren.
(歩行者道路を自転車で走っちゃダメだよ。)
Mann darf beim Steuer keinen Alkohol trinken.
(運転中の飲酒はしてはいけません。)
Bei Rot darf man die Straße nicht überqueren.
(赤信号のときは道路を渡ってはいけない。)
※法律的に許可されている、または禁止されているときはkönnenよりdürfenのほうがふさわしい。
本動詞を省略
これらの6つの語は、あくまで動詞を助ける“助動詞”の役割のため、正しくは必ず本動詞と一緒に出てこなければなりません。
しかし実際の会話ではよく、本動詞を省略した表現が良く使われています。
助動詞だけでも十分と意味が通じる時は、本動詞をわざわざ言わなくてもいいようです。
SNSのやりとりではほぼいつも省略されます。
しかし手紙や論文など、文章として書くときはちゃんと助動詞+本動詞の文にすることを心がけましょう。
ここでは日常でよく使われる動詞を省略した言い回しの例をいくつかあげておきます。
例)
Ich muss jetzt nach Hause(fahren).
Der Arbeiter will mehr Urlaub(haben).
Möchtest du Kaffee oder Kuchen(haben)?
Ich muss jetzt los(gehen).
※中には目的語までも省略することができます。
この表現は覚えておきましょう⇓
Ich muss mal(aufs Klo gehen).
(トイレ行かなきゃ。)
また、会話の中で
Ich kann schon, darf aber nicht.
(できるけど、してはいけない。)Ich muss und soll, will aber nicht.
(やらなきゃ、やるべきなんだけど、やりたくない)
など、いくつかの話法の助動詞の組み合わせのみで成り立つ表現もあります。
もちろんその前の会話で、目的語が何か、がわかっている場合のみです。
やらなきゃだけどやりたくない、こんな状況、けっこうありませんか?
話法の助動詞の人称変化形は今、ひとつ残らず暗記しておきましょう。
次回の文法は話法の助動詞の過去形です。
それでは練習問題をやってみましょう。回答は一番下です。
話法の助動詞の実践練習はこうやってやる↓
動画解説はこちらから↓