inとaufどっちだ?場所の前置詞(2)【ドイツ語文法31ー1】


「廊下に立っている」

「二階にいる」

「スマホを手に持っている」

「紙に文字を書く」

「スカイプで授業をしている」

「クリスマスマーケットにいる」

これらの文にはすべてなんらかの場所が含まれています。

廊下や二階、紙、スカイプ、クリスマスマーケットなどが場所ですね。

これらの文をドイツ語にする場合、場所の名詞の前に場所の前置詞をつけなければなりません。

 

つまりドイツ語ではたとえば

「廊下に立っている」を訳すには「廊下の上(auf)に立っている」のか「廊下の中(in)に立っているのか」という具体的な位置を言わなければならないのですね。

日本語はそれほど位置を明確にする必要がなく「廊下に」と曖昧にしてしまえますが、ドイツ語はきっちりとした場所を言わなければならず、言わない選択肢はありません。

とはいえ、廊下を足の下にあるコンクリート・・・と捉えるとaufですし、廊下は長細い部屋全体でもあるので、inとも言えるのでは?と考え始めると一体どっちが正解なのかわかりません。

 

「スマホを手に持っている」も手の中に持ってる?それとも手の上に持ってる?どちらでしょう。

具体的な手の中といえば血や肉が詰まっています。じゃあ手の上?でも握って包んだ場合でも手の上というの?

疑問だと思いませんか?今までどういう表現をしていましたか?

 

今日はそのどっちにもとれるような、どっちか分からないところを取り上げ、検討していきます。

とはいえ場所の前置詞はたくさんの種類があります。なので今回はinとaufという2つの前置詞にしぼり、「中なのか上なのか」つまりinをつけるのかaufをつけるのか問題のみを考えていきます。これでも十分すぎるぐらい複雑です。

inかaufかと改めて考えてみると、ドイツ語はどこまでもロジックに考える言語だと思う反面、矛盾しているところもたくさんあり覚えるしかない・・というところも多く、非常に多面的です。

今回はその多面的なドイツ語を存分にお楽しみください。

なお、今回は場所の前置詞の中のWechselpräposition(三格四格両方を取る場所の前置詞)の応用です。

それ何?初めて聴いたという人はまずこちらを勉強してから今回のテーマを勉強してください。

大事なことはあくまで「場所の前置詞」なため、この名詞にはかならずこの前置詞がつく・・とは決まっていません。名詞ではなく場所によってつく前置詞が変わるので、ドイツ語話者の場所の感覚を知るということが大事です。

それでは一緒に考えながら見てみましょう。下の単語は上と中、どっち?

 

世界の中?世界の上?

これらの例文はauf とつくでしょうか、inとつくでしょうか?

1)この世界にはたくさんの生物がいる。

2)この赤ちゃんは昨日、この世界に生まれてきた。

3)あの人がこの噂を世界に広めた。

4)自分はこの世界に居場所がないと感じる。

 

ドイツ語訳はこちらです。

1)Es gibt viele verschiedene Tiere auf der Welt.

2)Das Baby ist gestern auf die Welt gekommen.

3)Er hat das Gerücht in die Welt gesetzt.

4)Ich fühle mich, als ob ich in der Welt keinen Platz hätte./Ich habe das Gefühl, dass ich in der Welt keinen Platz habe.

1と2がauf, 3と4はinがふさわしいです。

1)の文はin der Weltでも間違いではないですが、しっくりくる方はauf der Weltのほうです。

この違いはなんでしょう?

1と2は「この地球上にたくさんの生物がいる」「赤ちゃんがこの地球上に生まれてきた」と言い換えられるように、世界を具体的に丸い物質と見ているのですね。地球の中に私たちは当然いないので、上=aufという選択です。

逆に3と4は世界を抽象的な空間として見ています。「私たちが生きている世界の中」とでもいいましょうか。3と4は人間の世界、または人間間のできごとであることからinが選択されていると考えていいでしょう。

しかしこれらの境界線は曖昧で、ニュアンスによってaufとinが今解説した分けられかたをしない場合もあります。が、だいたいはこの法則に乗っ取っていると考えて大丈夫です。

 

 

廊下、階、地面(床)

それでは建物はどうでしょう。建物全体であれば建物の中にいる、とはっきりわかりますが、それが床や廊下だったら?

1)私は廊下に立っている

2)私は二階にいる

3)秋は葉っぱがたくさん地面に落ちる。

建物の中で私たちが直接足で歩いている場所のことを廊下や床と言います。

つまり廊下や床が足の下にあるのでaufがふさわしいように見えますが、廊下や床は同時に空間でもありますね。

ドイツ語訳はこちら。

1)Ich stehe gerade im Flur.

2)Ich bin gerade im zweiten Stock.

3)Im Herbst fallen viele Blätter auf den Boden.

廊下や階は空間という意味のほうが取られ「中=in」と表現されます。しかし床や地面を表すder Bodenはaufです。

これは疑問の余地がなく、auf dem Flurやauf dem zweiten Stockやim Bodenといった表現は存在しません。

 

 

バルコニー

バルコニーとは建物の一部だけれど屋根のついていない、むき出しになっている空間ですね。これは中?それとも上?

例文

1)向かい側のバルコニーで隣の人がタバコを吸っている。

ドイツ語は

Auf dem Balkon gegenüber raucht mein Nachbar.

aufを使います。im Balkonは言えません。

つまり廊下のように屋根があり空間があればin, バルコニーのように外に広がっている空間は、足元のみをバルコニーとしaufをつかうということでしょう。

 

 

いすと車いす

いす、車いす、ソファ、長椅子に座っているときはin?それともauf?

例文を見てみましょう。

1)いすに座っている

2)車いすに座っている

3)ソファに座っている

4)長椅子に座っている

5)長椅子に立っている

 

さっきのバルコニーで考えたら全部aufな気がしますね。椅子やソファの中といったら綿?が詰まっているイメージです。しかし、それで問題ないならここに出てきません。

「いす」には大きな矛盾があります。

 

これらのドイツ語は

1)Ich sitze auf dem Stuhl.

2)Ich sitze im Rollstuhl.

3)Ich sitze auf dem Sofa. / auf der Couch.

4)Ich sitze im Sessel.

5)Ich stehe auf dem Sessel.

なんといすはauf、車いすはin! 一体どう考えればいいんでしょう?

ネイティブ的な解釈によると、車椅子は必ずひじ掛けがついているから「車いすの中」って感覚があるといいます。確かにいすはついていないものもたくさんありますね。

そしてソファはauf,長椅子はinです。長椅子がinなのは、ゆったりと背もたれがあるので上に座るというよりも中に座っているような感覚を持つようです。

日本語母語者にしてみればひじ掛けがあるかどうかでは何の文法も変わらないし、気にしなくていいので「全部椅子やん!」と矛盾極まりなく思えるかもしれませんが、日本語ではないので仕方ありません。

こういう解釈を聴くとネイティブは場所の前置詞を、いつinでいつaufで・・と論理的に考えているわけではありません。しかし「これは上にいる感じ」「これは中にいる感じ」という場所の前置詞の感覚を経験を通して持っているのですね。

 

 

ネット、テレビ、スカイプ

それでは画面に映るテレビやネットはどうでしょうか。

1)私はネットで将棋ゲームをしている。

2)私たちは今、テレビでイカゲーム(韓国のドラマ)を見ている。

3)そのドラマでは数百人が殺されている。

4)ハエがずっとテレビに止まっている。

5)私はほとんどスカイプで授業している。

6)時々ラインでも授業をしている。

7)最近私はあまりフェイスブック上にいない。

 

ドイツ語訳です↓

1)Ich spiele japanisches Schach im Internet.

2)Wir schauen gerade Squid Game im Fernsehen.

3)Mehrere Hundert Leute werden in der Serie getötet.

4)Eine Fliege bleibt die ganze Zeit auf dem Fernseher.

5)Ich unterrichte meistens auf Skype.

6)Manchmal unterrichte ich auch auf Line.

7)Ich bin neulich nicht auf Facebook aktiv.

 

インターネットやテレビは画面の中の内容を見ている、または何かしているときはinです。チャット(der Chat)、ネット(das Netz)も同様にinです。

また3)映画やドラマなどの物語の中の内容を説明するときもinです。チャンネル(der Kanal)もinです。

しかしテレビでも4)のように「ハエがテレビに止まっている」というときはテレビという機械を画面ではなく物質として見ているためにaufになるのですね。日本語でもテレビの中にハエが止まっている、とは言わないが、テレビの上にハエが止まっているという人はいるのではないかと思います。

テレビの上に実際に人形などのモノが置いてあってもaufがつきますね。

しかしスカイプやライン、フェイスブックなどの固有名詞は画面の中であれ一律aufがつきます。タブレットなどもそうです。そしてその場合はゼロ冠詞になります。

 

 

本と紙

本と紙はどうでしょう。

1)この文は本に書いてある。

2)眼鏡が本の上にのっている。

3)この文はその紙に書いてある。

4)マニュアルはその掲示板に書いてある。

 

ドイツ語訳はこちら↓

1)Der Satz steht im Buch.

2)Die Brille liegt auf dem Buch.

3)Der Satz steht auf dem Papier.

4)Die Anleitung steht auf dem Schild.

 

1と2の違いは比較的わかりやすいのではないでしょうか。本に書いてある内容であればin、眼鏡が実際に本の上に置いてあるのであればaufです。もし眼鏡の絵が本の中に書かれてあるのであれば当然inですね。

それではなぜ1と3は違うのでしょうか?どちらも内容を示しているのに本はinで紙はauf。この違いは閉じれるかどうかです。ちなみに葉書などもaufですね。

紙は折りためるやん!と思うかもしれませんが、本のような閉じ方でないかぎりaufを使うと覚えておくといいかと思います。ちなみに写真もaufですね。

テキストはim Textです。

 

 

鏡と時計

鏡と時計はどうでしょう。

1)今何時か時計見てくれる?

3)私は鏡で自分を見る

 

ドイツ語訳はこちら

1)Kannst du auf die Uhr schauen?

2)Ich schaue mich gerade im Spiegel an.

 

「時計を見る」は四格をとってKannst du die Uhr schauen?にならないのか?と疑問に思った人はこちらを見てください。

時計の中にある秒針を見ているのか、時計の上にある秒針を見ているのか、どちらともとれそうですが、aufのほうです。逆に鏡の中に写る自分か、鏡の上に映る自分か・・と考えてみると日本語でも中(in)のほうかなぁという感じですね。

 

 

手の中?手の上?

それでは手はどうでしょう。

1)私はスマホを手に持っている。

2)それ両手で持った方がいいよ。

3)彼は手に入れ墨が入っている。

4)ハエが手に止まってるよ。

 

ドイツ語訳です↓

1)Ich habe mein Handy in der Hand.

2)Nimm das lieber in beide Hände.

3)Er hat ein Tattoo auf der Hand.

4)Du hast eine Fliege auf der Hand.

 

手の中・・・は具体的には身体の中ですが意思を持って手を握った状態で中に持っているものはinを使うようですね。

しかし手の上に鳥などが止まっただけの場合はauf,そして入れ墨もaufです。「手の上に入れ墨がある」といいます。

そういえば「うつぶせに寝る」ことをドイツ語の直訳では「お腹の上に寝る」と言い、「仰向けに寝る」ことは「背中の上に寝る」と言います。

身体の中であるかそうであるか、という問題ではないのかもしれません。

 

 

場所と位置

建物や今いる、または歩いている場所や位置を表すときは?

1)このホテルは便利な位置にある。

2)このホテルはいい地域にある。

3)今クリスマスマーケットにいる。

 

ドイツ語訳です↓

1)Das Hotel liegt in einer praktischen Lage.

2)Das Hotel liegt in einer guten Gegend.

3)Ich bin gerade auf dem Weihnachtsmarkt.

 

場所や位置については空間全体と見てinといいます。しかしクリスマスマーケットや市場を表すMarktという単語であれば外であるものの空間全体というよりは地面という意味合いが強くaufになるようですね。

ちなみに外の駐車場はauf dem Parkplatz、中の駐車場(ガレージは)in der Garageです。

 

 

道と方向

場所や位置はinでしたが道や方向は?

1)今この道を歩いている。

2)今帰り道だよ。

3)こっちの方向に行こう。

4)彼が彼女の行く道に立っている。

 

ドイツ語訳↓

1)Ich laufe gerade auf der Straße.

2)Ich bin gerade auf dem Weg nach Hause.

3)Wir gehen in diese Richtung.

4)Er steht ihr im Weg.

 

道路は廊下や床と同じように基本的にはaufです。auf dem Weg nach Hauseは「帰っている途中である」という決まり文句ですね。

しかし4の文は道なのにim Wegとなっています。これは三格の人物(ihr)の行こうとしている道の中に彼が立ってさえぎっているからです。この場合は道を彼女の進む空間と見ています。決まり表現です。

また方向は3のようにinになります。具体的ではなく抽象概念であり、空間でもあるからでしょう。

 

 

 

道を渡る(例外)

最後に例外です。道はさきほどaufと言いましたが、横断歩道などを渡る場合は例外的にaufもinも使わず、überを使います。

überとはどういう意味の場所の前置詞かはこちらに解説。

たとえば「道路を渡る」のドイツ語は

Wir laufen über die Straße.

といいます。

このStraßeは道の脇にある歩道から向こうの歩道にわたるということで、真ん中の車道はStraßeに含まれていないからでしょう。

 

 

まとめ

・必ずin(中)をとる単語

der Flur, der Stock/die Etage, das Internet, der Fernsehen, der Spiegel, die Lage, die Gegend, der Text

 

・必ずauf(上)をとる単語

der Boden, der Balkon, der Stuhl, das Sofa/die Couch, der Fernseher, Skype, Line, Fabebookなどネットメディアの固有名詞、das Papier, das Bild, das Schild, die Uhr, der Markt, der Platz, die Straße,

 

・状況によって変わる単語

die Welt, der Rollstuhl, der Sessel, das Buch, die Hand, der Weg,

 

 

その他の例文

・Ich bin gerade in der Natur.

=今自然の中にいる。

 

・Ich bin gerade im Grünen.

=今緑の中にいる。

 

・Ich bin gerade in der Landschaft.

=今のこの景色の中にいる。

 

・Im Gemüse gibt es viele Vitamine.

=野菜にはたくさんビタミンが入っている。

 

・Die Welt befindet sich in der Corona-Krise.

=世界は今コロナ危機である。

 

・Heute gab es einen Unfall auf der Autobahn.

=今日あの高速道路で事故があった。

 

・Wir stehen gerade im Stau.

=今渋滞にはまっている。

 

・Die Arbeitsplätze der Angestellten stehen auf dem Spiel.

=社員たちがクビの危機にさらされている。

 

・Legen Sie sich auf den Bauch.

=うつぶせに寝ころんでください。

 

・Ich lege mich auf den Rücken.

=あおむけに横たわる。

 

・Marco liegt im Bett und liest einen Roman.

=マルコはベッドに寝そべって小説を読んでいる。

 

 

動画解説はこちら↓

(1)

 

(2)

im Bett, auf die Toilette

ドイツ語読解一覧
ドイツ語単語一覧
ドイツ語文法一覧
文法練習問題一覧
ドイツ語動詞一覧
ドイツ語例文一覧
ドイツ語表現一覧
ドイツ語の多面性一覧
個人レッスン
ドイツ語学習トップ